打撃コーチってぶっちゃけ何しているの? ベテランコーチに直撃取材【後編】

John McMurray

打撃コーチってぶっちゃけ何しているの? ベテランコーチに直撃取材【後編】 image
※トップ画像は、1995年、マガダンがヒューストン・アストロズの選手だった頃の写真。

SN:ポール・ゴールドシュミットは2018年序盤、低調なスタートを切りました。彼はメジャーリーグを代表する素晴らしい打者ですが、彼が苦しんでいるときあなたは何かアプローチをするのですか? あるいは、彼が自分で問題を解決できると考え、本人に任せるのですか?

▶スポーツ観るならDAZNで。1ヶ月間無料トライアルを今すぐ始めよう

DM:選手たちから離れることは、クビになる良い方法です。打撃コーチは、たとえスーパースターだろうと新人だろうと、どうしたら彼らが良い打者になれるかを理解しなければなりません。それはゴールディ(ゴールドシュミット)だろうと関係ありません。

どうしたらゴールディが良いスウィングをできるか、私は知らなければなりません。彼の成功には、いくつかの要因がありました。野球に取り組む姿勢、時間通りに準備すること、優れた選球眼、そして相手投手がその日にどう彼を攻めてくるかについての理解。彼は相手投手の攻め方を理解するため、たくさんの宿題を事前にこなしています。

どうしたら彼の打撃がうまく機能するかを理解するのは、私たち打撃コーチの仕事です。彼は好調時、何をしているだろうか? なかなかヒットが打てないとき、彼は何を忘れているのだろうか? 既に成功している打者の場合、悪い癖を生み出しているのは非常に小さな問題だったりします。その悪い癖が目立つようになると、彼は良い打球を飛ばせず、打席で消極的になってしまうのです。

それは誰にでも起こりえることです。ゴールドシュミットがシーズン最初の6週間、かつてないほどのスランプに陥ったように。スランプに陥らない選手はいません。

SN:たとえば打率.240の選手がいたとして、あなたは打撃コーチとして彼の打率を.260、あるいは.270にすることはできるのですか?

DM:もちろんです。全員のポテンシャルを最大限に引き出すのがゴールです。ただ、そのためにはお互い強い意志を持っていることが条件です。もし選手が頑固で、変化を望まず、今やっていることに固執した場合、彼の可能性は小さくなってしまいます。それはおそらく、あなたが想像しているより頻繁に起きています。25歳でメジャーリーガーにでもなると、選手は既に自分がメジャーリーグの打者として成功するための全てを知っているような気になってしまうのです。そして、メジャーリーグの打者として成功するための厳しい道のりについて学ぶのです。私自身が選手としてプレーしていた頃、今自分が知っていることを当時の自分が知っていたら、と思います。なぜなら、私は当初、成功する方法を知っていると思い込んだ頑固な選手だったからです。その頑固さはときに、選手のポテンシャルに限界を定めてしまいます。

SN:あなたは現役時代、たくさんのホームランを打つわけではなく、いわば中距離打者でした。ニューヨーク・メッツでのキャリア序盤、チームにはハワード・ジョンソン、キース・ヘルナンデスという優れた打者たちがいましたが、それでもあなたは打者として生産的な働きをし、メジャーリーグで自分の居場所を確保しました。打者としてのご自身の経験は、打撃コーチとしての仕事にどう活かされていますか?

DM:私は自軍の選手たちに、学ぶことを止めないよう伝えます。打撃ケージに入り、練習をすることが大切なのはそのためです。いつ、打撃コーチや他の選手たちから自身の向上に活かせそうな話を耳にするかわかりませんから。

打者はいつも、オープンでいなければなりません。風向きの変化と共にコロコロ変えれば良いということではありませんが、それでもオープンさを保ち、より良い選手になるための変化を受け入れる意志が必要です。自分の殻に閉じこもり、自分がやりたいことだけやっていては、打者としての限界を自分で設けてしまいます。

SN:あなたはラインドライブ・ヒッター(ライナー性の打球を飛ばす打者)でした。あなたがメジャーリーグでプレーを始めた1980年代に比べて、今日はラインドライブ・ヒッターが多くありません。ホームランが大量に出るこの時代において、あなたは自身がやっていたように、野手の間を抜く二塁打を打つような打撃を教えるのでしょうか?

DM:今、それが問題です。今シーズン、球界全体で打率があまりに低い理由は、それだと思います。メジャーリーグ全体の平均打率は今年、.250以下です。とても低いです。多くの打者がボールを空中に飛ばそうとしていることが、その大きな理由です。

身体があまり大きくなく、しかし打球を飛ばそうとしている選手たちとは、一緒に改善します。二塁手や遊撃手の選手にとって、球場の最も広い部分にフライを打ち上げることは、打率を高めることにつながりません。そうする代わりに、内野手の間を抜くラインドライブを狙えばよいのです。そうすれば、ときに打球は二塁打となり、あるいはホームランになったりもします。

ホームランを打つのに最適とされる25度の打球角度を狙って打った場合、ミスをするとポップフライや空振り、あるいはファウルになります。その代わり、12度から15度くらいの打球角度を狙ってバットを振れば、内野手の頭を超えるラインドライブが打てます。そしてボールの下の方を叩いたとき、打球はスタンドまで飛びます。失敗はモチベーションになりますが、もしあなたの打率が.150で出場機会もそう多くないとしたら、何かを変えるモチベーションが生まれるでしょう。こうした変化を望む選手たちこそが、長くプレーできる選手たちなのです。

(完)

今からでも間に合う! ツール・ド・フランス2018基本情報

【DAZN関連記事】
【必読】DAZN(ダゾーン)の"トリセツ" 最新・2018年版!
ネットでプロ野球中継を視聴する方法を紹介
DAZNでのプロ野球の放送予定や試合スケジュール
DAZNでF1放送を視聴する方法は?
【最新・2018年版】F1の放送予定・レース日程まとめ
ネットでMLB中継を視聴する方法を紹介
MLBの試合日程・放送予定|テレビでの視聴も可能?/2018シーズン

原文:What do MLB hitting coaches really do? Diamondbacks' Dave Magadan explains

翻訳:Muneharu Uchino

John McMurray