手を負傷する打者が急増中、その原因は? ロンゴリアらが語る

Joe Brescia

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MLBのシーズンはプレーオフに向けて収束してきており、選手や球団運営陣は骨にヒビが入るくらいならバットにヒビが入ってほしいと望んでいる。

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手の骨ともなれば特にだ。

オープン戦以降、そうそうたる選手たち(10数人を超えて昨年の倍以上)が死球を受けて手または手首の骨折に苦しんでいる。その中にはカージナルスのマット・アダムスとポール・デヨング、マリナーズのロビンソン・カノー、フィリーズのJ.P. クロフォード、ブルージェイズのブランドン・ドルーリー、ヤンキースのアーロン・ジャッジ、パイレーツのジョシュ・ハリソン、ホワイトソックスのニッキー・デルモニコ、レンジャースのデライノ・デシールズ、アスレチックスのラモン・ラウレアーノ、ジャイアンツのエバン・ロンゴリア、メッツのケビン・プラウェッキー、レッズのエウヘニオ・スアレス、ドジャースのジャスティン・ターナーなどが含まれる。

その他にも多くの選手が手に投球を受けて骨折には至らないケガを負っている。例えば、メッツのブランドン・ニモは最近速球を手に受けた。骨折は避けたものの、人差し指を負傷して10日間故障者リスト入りすることとなった。また、アスレチックスのマット・チャップマンやインディアンスのエドウィン・エンカーナシオンという強打者も手に投球を受けて負傷した選手の一人だ。

MLBの発表によると、2014年に手を骨折した選手は6人、2015年は4人、2016年は8人、昨年は7人だった。

選手たちの手のケガが増加している理由にはいくつかの説がある。その中には投球速度の上昇(米野球データサイト「ファングラフス」によると、ストレートの平均速度は約150.8キロメートル)、打席での打者のアプローチ方法、強打者に打ち勝つために投手がより内角に投げているといったものがある。

9月になりロースター枠が40人に拡大されたことにより、多くの若手投手がスピードガンで3桁(100マイル=約161キロメートル)を記録しようと努力しているものの、依然としてコントロールには磨きをかけている最中だ。プレーオフ進出候補チームは要注意だ。スター選手がラインアップの中ではなくギプスをしてポストシーズンを過ごすことになるかもしれない。

ロンゴリアは6月のマーリンズ戦でダン・ストレイリーの速球を小指に受け、骨折の手術を受けた。療養とリハビリの後、彼は7月下旬にラインアップに復帰した。彼は過去5年間、最低でも毎年156試合に出場している頑丈な選手である。

ロンゴリアは、投手が、打ち上げ角度と打球速度を上げることを可能にする力強いスイングに対抗するために、内角に投げることを望んでいると考えている。

「内角に投げることは必要不可欠だ」。彼はそう話した。「もしそうしなければ、打者は1か所に焦点を当てることができ、バットの持ち手を内角に突き出すことを心配しなくなる。加えて、ストライクゾーンの半分が除外されれば、メジャーの打者がヒットを放つのはより簡単になってしまう」。

さらに、打者たちは外角の隅に対応するためにせり出している。それを投球速度の上昇と組み合わせると、スピードのある動くボールが柔軟性のないバットの周りに巻き付いた指と接触して何も起きないはずがない。

「たぶん多くの選手が外角に対応しようと飛び込んでいる」。ロンゴリアはそう話した。「そして、多くの投手が間違いなくこれまで以上に激しく投げてきている」

昨年のナショナル・リーグ優勝決定シリーズでMVPの一人となったターナーは、3月のオープン戦で手首に投球を受けて骨折した。

「投球方法を熟知しているベテランではなく、球速は速いがコントロールがなってない若手投手を選ぶチームのせいだろう」。33歳のターナーはそう話した。

彼は最近のカージナルス戦でも手首に投球を受けたが、重傷は免れた。

デルモニコは、レンジャースのマット・ムーアの投球を受けて右手中指を骨折。5月19日から7月20日まで故障者リスト入りとなった。投球速度の上昇を挙げたデルモニコは、カーブが来ると思っているときに内角の速球を投じられると打者は反応が遅くなると話した。

「僕のような左打者の場合、左投手に対しては可能なかぎり粘って速度の遅い球を待ちたい。時にはカウントが増えるまで快速球には手を出さないこともある。そうすると内角を攻められるんだ」彼はそう話した。「それが、僕がやられたことさ」。

ミネソタ州ロチェスターにあるメイヨー・クリニックのスポーツ医療グループに所属する整形外科医のサンジェーブ・カカー医師は手の病気を専門に扱っており、野球選手やその他のプロアスリートを診ている。そんな彼は、野球選手の手の保護が少ないと話す。

「野球選手が着けているのは比較的薄手のバッティンググローブのみです」。彼はそう話した。「グローブにはパッドが少し入っていますが、衝撃のほとんどは吸収できていません。そして、ボールが当たる時にはボールとバットの間に指や中手骨を閉じ込めていることを忘れてはいけません。衝撃の行く先はバットか骨ですが、通常は骨の方が弱く、衝撃は骨に伝わります」

「基本的に人間には肌があり、その次に腱と骨があります」彼はそう続けた。「手の甲にはそれほど脂肪が付いていません。しかし軟組織のパッドはそこには付いておらず、他の場所に付いています」。

唯一の解決法はパッドを増やすことだと彼は話す。エボシールドのような企業はパッド入りインサートと保護ガード付きのバッティンググローブを提供しており、それを使用している選手たちもいる。デルモニコも今では右手にパッド入りシールドを着けてヒットを放っている。

自身でも保護グローブを開発しているカカー医師は、この観点から似たスポーツとしてクリケットを挙げている。

「クリケットのボールは打者に迫るとき、時速152.9キロメートルです」彼はそう話した。「ぜひ、グローブと指の周りのパッドを見てみてください。野球のものよりも頑丈な作りになっています」。

現役11年のベテランでありオールスターにも3度選出されたロンゴリアは、手への投球を避ける方法を聞かれ不可能だと答えた。しかし、投手の戦略によって彼のバッティングのスタンスやアプローチ方法が変わることはないと話した。

「打席に立って怖いと思ったなら、選手としてもう終わりだ」彼はそう話した。

しかし、そんなロンゴリアも一点だけ譲歩した。彼も手のプロテクターを追加したのだ。

原文:MLB sees sharp rise in batter hand injuries; higher velocities, other factors cited

翻訳:日本映像翻訳アカデミー


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