国歌吹奏で地面を膝につけることを選んだMLB選手たちが心境を語る「物事は変わらないといけない」

Dan Bernstein

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開幕を直前に控えたMLBでは、米国内の人種差別による暴力への抗議として、オープン戦前の国家吹奏で地面に膝をつく選手が増え始めた。現在、膝をつく選手は起立する選手より少数ながら、今後はその比率も変化するかもしれない。はたして日本人選手たちはどのような対応を示すだろうか。

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2016年にNFLのクォーターバック、コリン・キャパニックが国歌吹奏の際に人種差別への抗議運動を始めた当時、MLBの大部分の選手たちはこのいわゆる「Black Lives Matter」 のムーブメントを理解することを拒んだ。例外は元オークランド・アスレチックスのブルース・マクスウェル捕手ぐらいだ。

アフリカ系アメリカ人の野球選手数が長期的な減少傾向にあること、また野球界そのものの伝統主義への貢献からすると、この件については沈黙が支配していたのはさして驚くことではなかった。

だが、昨今の米国内での抗議運動の広まりは、遅まきながらも野球界をも揺るがしているようだ。

7月21日、22日(日本時間22日,23日)のオープン戦では、サンフランシスコ・ジャイアンツの選手の多くが試合前の国家吹奏で地面に膝をついた。その中にはベテランのパブロ・サンドバルやハンター・ペンスも含まれていた。7月22日(同23日)の午後には、シンシナティ・レッズのベテラン、ジョーイ・ボット一塁手も他のチームメイトとともに国家吹奏で地面に膝をついた。ジャイアンツのゲーブ・キャプラー監督も膝をついた。

彼らがとったこの姿勢は、米国内における警官による暴力と人種間の不平等に対する抗議の高まりを象徴するものであるし、黒人への虐待が、単なる人種と社会経済的の違いに留まらないことであるとの認識が全国的に高まっていることを示すものでもある。3月25日にミネアポリス市警察によって武器を持たなかったジョージ・フロイドさんが暴行を受け死亡した事件以来、全米各地で抗議行動が巻き起こっている。

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ジャイアンツのオースティン・スレーター外野手は今週に膝をついた選手の1人だ。スレーターは「私は数か月間、この国で有色人種たちが受けている社会的な不正義について考え続けてきた。単純に、物事は変わらないといけないのだ。この国と世界中に住むすべての人たちは、肌の色に関係なく、全員が偏見から解き放たれ、同じ経験と待遇を受けることを期待する基本的な人権を持っている」と言った。

ボットは最近こう書いている。「普通であることを望むことは特権であったが、私は今後それを行使しない。その特権こそがコリン・キャパニックが ”なぜ” 国歌吹奏の際に膝をつくことを選択したのかを、私が理解することを妨げてきた。黒人のチームメイトたちの司法当局から受けた偏見や差別への怒りを、私はその特権によって無視することを許されてきたのだ」

ボットは7月21日(同22日)のデトロイト・タイガース戦の開始前、アミール・ギャレット、フィリップ・アービン、アレックス・ブランディーノらとともに膝をついた。

サンドバル、ペンス、そしてスレーターに加えて、ジャイアンツのジェイリン・デイビス外野手とアントアン・リチャードソン1塁コーチもまた膝をついた。

MLBの公式シーズンは7月23日(同24日)に開幕する。今後、ジャイアンツとレッズの例に続くチームや選手たちが出てくる可能性は大いにある。

球場の内外において、数多くのスター選手たちが「Black Lives Matter」について声をあげてきた。セントルイス・カージナルズのジャック・フラハーティ投手は今シーズンに膝をつくかもしれないと述べた。ロサンゼルス・ドジャーズのクレイトン・カーショウ投手は、ボットと同様に、数年前は多くの野球選手たちが人種差別に対する抗議運動について理解していなかったと認めている。

「コリン・キャパニックがそれを始めたときまで遡って考えると、私を含めた全員がただ理解していなかった。私たちはそれについて申し訳なく思っている。私自身も申し訳なく思っている。しかし、いや、“しかし”はやめよう。私たちはこれからもっと良い行動をとるように努める」とカーショウはオンラインスポーツ誌『The Athletic』に語っている。

(翻訳:角谷剛)

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