世の中には、不当な契約が多数ある。
フリーエージェント契約は常にリスクが伴うものだが、大金を投じたチームにとっては、時に大惨事となることもある。これは、野球界における最悪のフリーエージェント契約をランク付けする試みである。
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このランキングには、FA後にチームを移籍した選手のみをリストアップした。つまり、アレックス・ロドリゲスのヤンキースとの巨額な契約は対象外となっているので、それを踏まえていただきたい。
1. ジョシュ・ハミルトン(ロサンゼルス・エンゼルス)
契約内容:5年間、1億2500万ドル
ハミルトンのエンゼルスでの働きは、どういうわけか、署名時に提示された最悪のシナリオ以上に最悪なものとなった。レギュラーシーズンは、ケガをしていない時にも不調に苦しみ、240試合の出場で、.255/.316/.426(打率、出塁率、長打率)、32本塁打という成績に留まった。(移籍前年、テキサス・レンジャースで148試合に出場し、43本塁打を放っている)。また、ポストシーズンでは、13打席を無安打で終え、ワイルドカードで地区シリーズに進出したカンザスシティ・ロイヤルズに敗退した。
その後は、レンジャースに送り戻されるという悲惨なオフシーズンを迎えた。ハミルトンがワースト1に選ばれた理由は、同地区のライバルであるレンジャースへ出戻りさせるため、エンゼルスがハミルトンに対し、大金を支払ったからである。最悪の事態には至らなかったが、球団にとって、これ以上ひどい契約は例を見ない。
2. マイク・ハンプトン(コロラド・ロッキーズ)
契約内容:8年間、1億2100万ドル
2000年シーズン終了後、ロッキーズは投手陣の立て直しを図る決断を下し、キャリア防御率3.44の左腕ハンプトンを獲得した。球団は彼に大金を支払ったが、標高の高いデンバーは空気が薄く、変化球ピッチャーのハンプトンは絶不調に陥った。ロッキーズ在籍は2シーズンに留まり(登板62試合、防御率5.75)、その後、フロリダ・マーリンズ(当時)とアトランタ・ブレーブスとの3球団が絡む複雑な契約でロッキーズから放出された。
3. パブロ・サンドバル(ボストン・レッドソックス)
契約内容:5年間、9500万ドル
2014年、ジャイアンツで自身2度目のワールドシリーズを制したサンドバルは、そのオフにレッドソックスと三塁手としての大型契約を結んだ。2012年のワールドシリーズでは、3本塁打を含む打率.500の活躍で、デトロイト・タイガースを下した。2014年は全7戦で、打率.429、12安打の成績を残し、ロイヤルズを破りワールドシリーズを制した。
しかし、ボストンに移籍してからは、悲惨な状態だった。常に過体重で、稚拙なプレーを見せていた。レッドソックス移籍1年目は、126試合に出場し、.245/.292/.366(いずれもキャリア最低)、10本塁打の不振に陥った。体重を落として臨んだ2016年シーズンは、期待が膨らんだものの、肩の痛みでわずか3試合の出場に留まり、シーズン中の戦線復帰は絶望的となった。7月14日に、レッドソックスはサンドバルを40人枠から外す措置をとった。(2017年レッドソックスでの成績は、出場32試合、打率.212)
まだ6710万ドルの契約を残しており、レッドソックスには全額を支払う義務があったが、それほどまでにサンドバルを放出したくて仕方がなかったのだ。
4. メルビン・アップトン・ジュニア(アトランタ・ブレーブス)
契約内容:5年間、7250万ドル
5年契約が2年で終わったことを大失敗と呼ぶには十分ではないかもしれないが、アップトン(かつての登録名はB.J.アップトン)の場合はそう呼んでいいだろう。
ブレーブスに移籍してからの成績は並外れたレベルでひどいものだった(打率.198、WAR-1.7)。球団はアップトンを放出するため、オールスターに選出されたクローザー、クレイグ・キンブレルをサンディエゴ・パドレスに共に移籍させなければならなかった。そもそもアップトンとこの高額な契約を結んだことは、得策ではなかった。移籍前4シーズンのアップトンの成績は、平均打率.242、三振数はワースト3位で、ホームランも30本以下だったからだ。
2016年シーズンは、パドレスとトロント・ブルージェイズで過ごしたが、トロントでは57試合の出場に留まり、打率は.196だった。
5. バリー・ジト(サンフランシスコ・ジャイアンツ)
契約内容:7年間、1億2600万ドル
ジャイアンツ時代のジトは、ほぼ故障もなくローテーションを守り、素晴らしい活躍を見せたこともあった。しかし振り返ってみると、FA以前の3シーズンの防御率が4.05(FIP4.57)だった選手に対して、これだけ多額の資金を支払うことは得策とは言えなかったようだ。ジトは、キャリアを通じて、防御率(もしくはFIP)が4.03より良かったことはなく、ジャイアンツ在籍7年間の防御率は4.62だった。
原文:The 15 worst MLB free-agent signings of all time
翻訳:Atsuko Sawada