加熱するアメリカンリーグ東地区首位攻防戦 レイズのケビン・キャッシュ監督がヤンキースへ脅しの発言も

Joe Rivera

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ニューヨーク・ヤンキースとタンパベイ・レイズは何十年も前の質問"Where's the beef?"(大事なものはどこだ?)への答えを持っているはずだ。

9月1日(日本時間2日)の両チームの対戦はヤンキースがレイズを5-3で下しているが、ただの試合では終わらなかった。傷だらけで不調にあえぐヤンキースとアメリカンリーグ東地区の首位を走るパワー溢れるレイズの対戦はまたもや乱闘騒ぎを引き起こしてしまったのだ。

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事の発端は初回2死に田中将大がジョーイ・ウェンデルに死球を与えたことだった。これはメディアと観客からは明らかに故意の死球だとみなされる投球だった。

普段はコントロールの良いことで知られる田中が95マイル(約153キロ)の速球を打者の背中に投げるのは、いささか異常なことのように写った。田中がこの投球をした理由ははっきりしないが、これだけで事は収まらなかった。

9回にアロルディス・チャップマン投手が投じた100マイル(約160キロ)を越える危険な1球がマイケル・ブロソーの頭部近くを通過したのだ。普段から荒れ球で知られるチャップマンにしても、これは尋常な投球ではなかったように見えた。

これが故意であったかどうかは分からないが、少なくともレイズはそうであったとみなした。ケビン・キャッシュ監督は試合後に明白な脅迫ととれる発言をしている。

「ヤンキースは間違っている。特にマウンドに上がった投手たちはそうだ。審判の判断も間違っている。初回にはジョーイ・ウェンデルがぶつけられた。そのことは明らかだ。チャップマンに至っては3球も危険な球を投げた。馬鹿げたことだ。明らかに度を越している」とキャッシュは話した。

「100マイル(約160キロ)の速球が若い選手の頭をめがけて飛んできたのだ。それが何を意味するのか分かるだろう。まったくもって馬鹿げている。劣った判断であり、劣ったコーチングだ。あのような行為を選手に許すなど、指導の何たるかをまったく分かっていない。ベンチからの指示に違いない。数字がすべてを物語っている。どちらがより多くぶつけているかを数えてほしい。断言してもいいが、3年前のことはともかく、私たちの選手が故意にぶつけようと投じた球は1球もなかった。それだけだ。誰かが責任を取らなくてはいけない。最後に言っておきたいが、こちらにも98マイル(約158キロ)の球を投げられる投手がたくさんいる。それだけだ」

このキャッシュのコメントに対して、ヤンキースのアーロン・ブーン監督はいつものようにカリフォルニア風のクールな対応に終始した。

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「恐いコメントだね。あまり適切だとは思わないけど。だけど、このことについて今はあまり話したくはない」とブーンは言った。

まったくもって、このように両チームが乱闘騒ぎを起こすような状況は野球界にとってけっして望ましいものではない。これらのビーンボール(またはビーンボールと見なされる投球)とコメントに対して、誰かに出場停止処分が下されたとしても、さほど驚くことではない。

ある意味では、これはまるで質の悪いアクション映画のシナリオのようだとも言える。なぜなら、アメリカンリーグ東地区において、レイズはヤンキースの完璧なアンチテーゼを演じているのだ。低い年収の弱者集団と思われていたレイズが同地区を3.5ゲーム差のトップに立ち、同地区にあって高給取りのスター選手で固められたヤンキースの成績は振るわない。レイズがアメリカンリーグ東地区のライバル関係に波紋を起こしたのは初めてのことではなく、近年ではボストン・レッドソックスとトロント・ブルージェイズの間も穏やかではない。

ヤンキースとレイズの対戦は9月2日(同3日)にも行われる。緊張はいやがうえにも高まるが、なんとか無事に終わってほしい。

(翻訳:角谷剛)

Joe Rivera