再離脱のカーショー、懸念材料は腰の張りより球速の低下?

John Edwards

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ロサンゼルス・ドジャースのエース、クレイトン・カーショー投手が現地時間5月31日、故障者リストから待望の復帰を果たし、フィラデルフィア・フィリーズ戦で5回を1失点に抑えた。

試合終了直後、ドジャースは登板途中に腰の張りを訴えたカーショーがMRI検査を受けると発表。しかし、それ以上に不安材料になりそうなのは、カーショーの球速のようだ。 

Kershaw In Game Fastball Velocity (Career)

31日、カーショーのストレート平均球速はキャリア最低を1.4マイル(2.253キロ)も更新。それまでの最低記録は2012年、インフルエンザ罹患中のものであり、それを除外すると平均球速が実に2.6マイル(4.184キロ)も落ちたことになる。インフルエンザではない時の1試合最低平均球速(91.7マイル=147.6キロ)と232番目に悪い試合の平均(94.3マイル=151.7キロ)と同程度の大きな開きがあるわけだ。カーショーはちょうど300試合に登板しており、この開きは全登板試合の78パーセントをカバーすることになる。 

このデータだけでもドジャースのフロントを警戒させるに十分だろう。カーショーの球速は2017年を通して徐々に低下していたが、31日の数字は誰にも予期できないほど悪かった。しかも原因は腰の張りだけではない。カーショーは登板途中に症状を訴えたが、球速は最初から落ちていた。以下のグラフは31日の全投球の球速を示している。 

Kershaw In Game FB Velocity (May 31, 2018)

カーショーを苦しめている原因は、何かもっと重大なものかもしれない。試合中のストレート平均球速は投手の故障を示唆する絶好の指標だろう。ストレート平均球速は概して安定しているものだ。93〜94マイル(149.7〜151.3キロ)を出す投手は、その速度で投げ続ける。年齢と共に数字は上下するかもしれないが、変化は緩やかなものだろう。つまり短期間に球速が2〜3マイル(約3〜5キロ)も落ちるようなら、恐らく何か問題がある。 

平均球速の変化を警告と見るべき好例がある。2017年、マット・ハービーのストレート平均球速が登板中に急激に低下し、(肩の)圧力損傷と診断された結果、ハービーは長期離脱することになった。 

Harvey In Game Fastball Velocity (2017)

ジェームズ・シールズの場合、2017年初めの2試合における平均球速は92マイル(148キロ)だったが、3試合目には90マイル(144.8キロ)に低下。その直後、広背筋の張りのために故障者リスト入りしている。ネイサン・イオバルディはコンスタントに100マイル(160.9キロ)超のボールを投げていたが、トミー・ジョン手術を受けて2017年シーズンを棒に振る前の最後の登板では、ストレート平均球速94マイル(151.3キロ)を出すのがやっとだった。 

球速の低下が必ずしも負傷を意味するわけではなく、平均球速は試合ごとに変動するものだ。しかし、2マイル(3.218キロ)以上の低下は心配の種となってしかるべきだ。そのレベルの球速低下には何らかの原因があるはずで、負傷の兆候であることも多い。 

カーショーは232.2回を投げ、防御率2.13を記録した2015年以降、負傷に悩まされている。2016年と2017年にも長期離脱し、じりじりと成績が落ちている。奪三振率は低下、与四球率は上がり、2016年まで0.5本だった9イニング当たりの被本塁打数は2017年以降、2倍超の1.2本となっている。 

もし腕の故障が再発しているなら、カーショーだけでなく、すでにコーリー・シーガーとジャスティン・ターナーが負傷で離脱しているチームにとって痛手となる。良いニュースを切望するドジャースにとって、カーショーの復帰戦は期待どおりの明るい材料とはならなかったのではないだろうか。

原文:Clayton Kershaw's velocity drop should cause concern for Dodgers
翻訳:Chikako Sakamoto

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