「先発投手は打者18人まで」メッツが仰天の投手起用戦略を検討(前編)

Nick Stellini

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もしあたながツイッターかMLBネットワークで野球を追いかけているなら、既に"bullpenning"(ブルペニング)という言葉を聞いたことがあるだろう。知らない人のためにその言葉の意味を説明すると、試合で先発投手を長く投げさせずに大量のリリーフ投手をつぎ込み、常に新鮮な投手がマウンドに立って相手打者に同じ投手と何度も対戦させない戦略のことだ。

重要な1試合では、その戦略はとても合理的だ。ヤンキースは今年のワイルドカードゲームでルイス・セベリーノを1回途中で降板させ、勝利を収めた。この戦略の支持者たちは、プレーオフ以外の試合でもこれが採用されるのを期待している。メッツはそうしようとしている。

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『Newsday』のマーク・クレイグによると、メッツは来季、先発投手を打者が二巡するまでしか投げさせない方法を採用することを検討している。ノア・シンダーガードとジェイコブ・デグロームのみ、この方針から除外される。

もしメッツがこのアプローチをプレーオフで取るなら、それは理解できる。しかし、レギュラーシーズンの戦略としてはあまり論理的ではない。

打者が二巡するまでというのは、アウト数にすると18だ。もし先発投手がひとりもランナーを出さなかったら、6イニングとなる。最高の状況を想定しても、ローテーションが一巡する間の3試合で、メッツは各試合で最低3イニングをリリーフ投手に任せることになる。より現実的に、特に健康問題、それからシンダーガードとデグローム以外のメッツ投手陣のクオリティを考えると、4イニングは5イニングはリリーフ投手が稼動すると見た方がよい。それはブルペンにとってかなりの重労働だ。シンダーガードとデグロームが毎回7イニングや8イニングを投げるのでないならば、特にそうだ。

今のところ、メッツは3人しか信頼できるリリーフ投手を有しておらず(ユリウス・ファミリア、AJ・ラモス、ジェリー・ブケビンス)、その誰もが複数イニングを投げることに慣れていない。マット・ハービー、スティーブン・マッツ、ザック・ウィーラーという先発投手3人の他に、複数のイニングを投げれる先発投手をロングリリーフに回すという手はある(ラファエル・モンテロ、ロバート・ジセルマン、ポール・セワルド、セス・ルーゴ、クリス・フレクセン)。

もし彼らがその役割を担うとしても、メッツは5日に1回使われるだけの選手に8つのロースタースポットを費やすことになる。8人のブルペン投手とするにしても、短いイニングを投げるリリーフ投手と4人のベンチ入り選手のために5つのスポットしか残らない。短期決戦なら、それで良いだろう。しかし、もしロングリリーバーがトラブルに陥ったらどうする? たとえば4回、ジセルマンか誰かが登板して打たれまくったとしよう。メッツは彼にイニングを稼がせるのか、それとも試合を救うために降板させるのか? 覚えておいて欲しいのは、彼らは翌日の試合のために少なくともロングリリーフできる投手をひとりは残しておきたいのだ。あるいは、短いイニングを投げるリリーフ投手をつなぎ合わせて乗り切る?

ポイントは、この戦略はブルペンへの負荷が大きすぎるということだ。メッツの先発投手たちは昨季、メジャー全体で4番目に少ないイニングしか投げず、テリー・コリンズ監督率いるブルペンは夏頃にガス欠となった。結局、メッツ投手陣は2017年シーズン、メジャー全体で3番目に多く失点し、ワースト3の防御率を記録した。

メッツは今、さらにリリーフ投手たちを酷使しようとしている。この戦略が一体どうやって、シーズン終盤の8月や9月まで持続できるというのか?

後編につづく)

Nick Stellini