伝説の指名打者、エドガー・マルティネスの功績(第3話)

Ryan Spaeder

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オルティスは、見逃すことのできない数字を数々残している。一方、マルティネスは、同じように数字を残しているにも関わらず、なぜか注目されていない。

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オルティスの541本塁打は、もちろん素晴らしい数字だ。しかし、マルティネスが今野球に戻り、665打席連続で塁に出ない場合に限り、オルティスがマルティネスのキャリア出塁率を上回ることができる。キャリアWARに関しては、マルティネスの162試合は、オルティスの234試合に匹敵する。

さらにマルティネスは、オルティスよりも出場が353試合少ないにも関わらず、キャリアrWARは12.9優れている。おまけに、オルティスが打率、出塁率、長打率でマルティネスの成績(.312/.418/.515)を上回ったのは2007年シーズンの1度だけだ。

東海岸のレッドソックスでプレーしたオルティスにスポットライトが当たる一方で、西海岸のマリナーズでプレーしたことは、殿堂入りに影響するのかどうか、マルティネスに聞いてみた。

彼はもちろんそんなことは言わず、シアトルでのキャリアを懐かしく思い出しながらこう述べた。「僕のプレーを見たことのない人もいると思う。西海岸の試合は、東海岸の人たちがベッドに就く時間に始まるからね。マリナーズの試合中に東海岸の多くの人は寝てたんだよ。」

これは、オルティスよりマルティネスを支持する議論ではない。両者を含める必要があるのだ。既に殿堂入りを果たしている指名打者は存在する。フランク・トーマスとポール・モリターだ。トーマスはキャリアの大半を、モリターはキャリアのおよそ半分をDHとしてプレーした。彼らは殿堂入りを果たしたのに、なぜマルティネスは入らないのか?

答えは単純だ。トーマスとモリターは、殿堂入りの基準となるベンチマーク、500本塁打と3,000本安打をそれぞれ達成している。2人はキャリアWARでマルティネスを上回っている。(モリター75.4、トーマス73,7、マルティネス68.3)しかし、162試合ごとのWARでは、マルティネスが5.38で、2人より優れている(トーマス5.14、モリター4.55)。

総合的には、トーマスがこの中で最高の打者であることは認めたいが、彼は誰よりも優れた打者で、歴代トップ10くらいに入る選手だったので当然だ。マルティネスが、モリターをはるかにしのぐ選手だったことは事実だ。

いくつかの重要な数字を見てみると、マルティネスがトーマスとモリターにいかに近い存在かを知ることができる。

フランク・トーマス :.301/.419/.555 (156 OPS+)、154 wRC+、.416 wOBA

ポール・モリター :.306/.369/.448 (122 OPS+)、122 wRC+、.361 wOBA

エドガー・マルティネス :.312/.418/.515 (147 OPS+)、147 wRC+、.405 wOBA

守備の良し悪しがチームに与える影響は明らかだ。殿堂入り選手の中で、守備でチームに損失を与えた選手と言えば、ウィリー・スタージェル、ハーモン・キルブルーとテッド・ウィリアムズが思い出される。それは守備力の負債と言える。2020年に殿堂入りが確実視されているデレク・ジータ―は、恐らくその最たるものだと言えるだろう。

一方マルティネスは、守備につかないことでチームを助けた。それは彼が守備力の低い選手だったからではなく、ケガを避けて打撃力を持続し、スタメンを守るためだった。

マルティネスは、殿堂入りを果たしている選手は皆、全力を尽くしチームに貢献していたのだと主張している。

「一塁かレフトの守備につくこともできたし、指名打者じゃなくてもプレーし続けただろう」彼は語った。「故障を繰り返していたから、最初はDHとして復帰した。当時、守備のうまいマイク・ブロワーズが三塁を守っていたんだ。彼は打撃も良かった。そこでチームは、三塁にマイクを置き、僕をDHで起用する方針を決めたんだ。」

もちろん逆に、守備力を高く評価され殿堂入りを果たした選手もいる。オジー・スミス、ルイス・アパリシオ、ビル・マゼロスキーやフィル・リズートなどだが、彼らの攻撃力の低さはしばしばチームの足を引っ張った。

マルティネスは、もちろん彼らを擁護してこう言った。「殿堂の中には、守備に優れている選手のための場所があるのだと思う。オマー・ビスケルのような選手は、高い守備力で失点を防いだ。バットで得点しても、守備で失点を防いでも、チームの勝利につながるんだ。どちらか一方が苦手であってもね。」

選手名

BR(打撃得点)

FR(守備得点)

オジー・スミス

-116.8

238.7

ルイス・アパリシオ

-197.3

148.6

ビル・マゼロスキー

-161.5

147.2

フィル・リズート

-29.9

115.5

オマー・ビスケル

-244.3

127.6

エドガー・マルティネス

+531.5

17.2

第4話へ続く)

 

Ryan Spaeder

Sporting News contributor Ryan Spaeder is the creator and owner/operator of the popular Twitter account Ace of MLB Stats (@theaceofspaeder).