ワンダー・フランコとは何者か? レイズ傘下のMLBトップ有望株選手がついにメジャー昇格

Edward Sutelan

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野球ファンが待ち望んでいた瞬間がついにやってきた。

6月20日(日本時間21日)、タンパベイ・レイズはMLBトップ有望株選手のワンダー・フランコをメジャー昇格させると発表した。フランコは6月22日(同23日)から始まるボストン・レッドソックスとのシリーズからチームに合流する。

レイズ公式ツイッター: “ワンダー”フルなニュースがあります。

3Aダーハム・ブルズ公式ツイッター:
「この部屋にいる誰かにとって、特別な瞬間がやってきた」
ブレイディ・ウィリアムズ監督がワンダー・フランコとチームメイトにフランコのメジャー昇格を伝えた瞬間。
おめでとう、ワンダー!

今シーズンのMLBは何人もの有望株が大活躍を見せている。フランコはその仲間入りをする最後の大物だ。フランコが有望株選手ランキングでトップにいなかった最後の年は2018年である。その年のMLBパイプライン公式ランキングNo. 1はトロント・ブルージェイズのブラディミール・ゲレーロ・ジュニアであり、No. 2はサンディエゴ・パドレスの遊撃手フェルナンド・タティス・ジュニアだった。その前の年は大谷翔平がNo. 1で、ロナルド・アクーニャ・ジュニアがNo. 6だった。

フランコがレイズのユニフォームに袖を通す前に、この野球界最新のトップ有望株選手についておさらいしておこう。

 

フランコは5ツール・プレイヤーである

いささか使い古された表現ではあるが、フランコについてはまさしくそれに相応しいとしか言いようがない。

MLBパイプラインでは選手の能力を20-80点のスケールで評価している。それによれば、フランコは5つすべての分野で50点以上の評価を得ている。長打力は60点。送球力と走力は55点、守備力は50点、そしてミート力は最高点である80点である。最高点はめったに見ることがない。

フランコは確かにこの高い評価を受けるに相応しい選手だ。3Aでは直近5試合で4本の3塁打を打ち、盗塁も決めているのだから。2020年はマイナーリーグ全体が新型コロナウイルスの影響で中止となった。その前年の2019年シーズン、フランコは1A と1Aアドバンスドに出場した合計114試合で18盗塁を記録した。

マイナーリーグ公式ツイッター:
38試合で6本の3塁打ってすごくないか?
ワンダーってヤツだよ。

長打力についてはどうだろうか。フランコはスイッチヒッターである。スピード感溢れるスイングでどちらの打席からも長打を打つことができる。17歳でデビューしたルーキーリーグでは、61試合で11本の本塁打を放ち、長打率は.587だった。18歳で迎えた2019年シーズンでは9本の本塁打を記録し、20歳の今シーズンは3Aにおいて38試合で7本の本塁打だ。

その本塁打もフェンスをぎりぎりで越えるようなものではない。

三振数が歴史的な多さになっている昨今において、フランコのミート力は群を抜いている。三振率は最悪だったときも11.6%に留まっており、それ以外にこの数値が10%を超えたことも、四死球率を上回ったこともない。ボールをバットに当てる技術が高いだけではなく、選球眼の良さでも知られている。マイナーリーグで出場した全213試合で、フランコは95の四球を選び、74三振しかしていない。これらすべてを総合して、マイナーリーグ通算成績は打率.333、出塁率.400、長打率.538である。

フランコの課題は守備力だと思われていた。本来のポジションはショートだが、レイズはセカンドとサードも経験させてきた。シーズン序盤、有望株選手の中でも守備力の高い遊撃手として知られているテイラー・ウォールズがメジャー昇格した一方、スカウティング・レポートではフランコの送球力を平均以上と評価し、十分に遊撃手が務まるとしている。もしショート以外のポジションを任されるとしたら、フランコはそれでも持ち前のスピードを生かして、平均以上のセカンドかサードになれるだろう。

 

フランコはまだ若い

今週フランコがメジャーデビューを果たすと、現在のリーグ最年少選手になる。

フランコはここまで非常に速いペースで昇格してきた。マイナーリーグの同一レベルで62試合以上過ごしたことはなく、2Aレベルは飛び級でスキップした。

そしてフランコはずっと以前から無名であったわけではない。大谷が2018年にメジャー移籍を発表する前、2017年の段階でフランコはMLBパイプラインの最優秀海外有望株選手に挙げられていた。2017年7月2日にフランコは契約金382万5千ドル(約4億2千万円)でレイズと契約した。そのときフランコは16歳だった。

海外から来たトップ有望株選手はマイナーリーグ入りした当初は苦しむことが多いが、フランコは早くから米国での野球に適応できることを示した。そしてすぐに野球界全体の有望株選手として見られるようになった。

 

フランコは野球一族の出身である

ボー・ビシェット、キャバン・ビジオ、そしてコディ・ベリンジャーのように、フランコの血統には野球がある。そしてゲレーロ、タティス、そしてアクーニャのように、フランコ一族の名前は野球界に広がっている。

父のワンダー・フランコは1990年代にマイナーリーガーだった。兄のワンダー・ハビエル・フランコとワンダー・アレクサンダー・フランコも同様にマイナーリーグでプレイした。ハビエルはカンザスシティ・ロイヤルズ傘下で始まり、2018年にサンフランシスコ・ジャイアンツ傘下でキャリアを終えた。アレクサンダーはヒューストン・アストロズ傘下で始まり、2019年にジャイアンツ傘下でキャリアを終えた(これらの情報はスポーツ専門局『ESPN』による)。6月22日(同23日)、レイズに昇格するワンダー・サミュエル・フランコは家族の中で初めてのメジャーリーガーとなる。

だが、米国でプロ野球選手になったフランコ一族の親戚は他にもいる。叔父のウィリーとエリックのアイバー兄弟はどちらもメジャーリーグでプレイした。ウィリーはキャリア5年のうち3年をレイズで過ごし、エリックはキャリア12年のうち10年をロサンゼルス・エンゼルスで過ごした。

 

フランコはブラディミール・ゲレーロ・ジュニアと比較されてきた

2人の若い有望株選手がどちらもマイナーリーグ階層を駆け上がり、No. 1の評価を得たのであるから、彼らが比較されることは避けられない。

ゲレーロとフランコはどちらも海外ドラフトで高額の契約金を得て、すぐにマイナーリーグきっての強打者に成長した。2人とも打撃力80点の評価を得て、タイトルを争うようになった。そして2人ともアメリカン・リーグ東地区の組織に所属し、内野の左側を守る選手でもある。

比較は選手としての総合力か、あるいは打撃力に着目するかによって変わってくる。フランコはオールラウンド・プレイヤーだ。それに比べると、ゲレーロの走塁力と守備力は平均以下と見られてきた。ゲレーロはある意味、次世代のミゲル・カブレラなのだ。

MLBパイプラインはメジャー球団経営者らに2020年はどの選手が最優秀であるかを尋ねて回った。フランコは総合的に優秀な選手であり、ゲレーロは打者として優れているという評価がもっとも多かった。

もう1つ重要なことだが、フランコのような有望株選手はデビュー後すぐに活躍するとは限らない。ゲレーロはメジャー昇格後最初の2年間を安定した打撃成績を残したが、それでも野球ファンの多くは期待外れの感想を抱いた。ところが今シーズンのゲレーロはアメリカン・リーグ最優秀選手賞(MVP)の筆頭候補で、なによりもまだ22歳なのである。

マイナーリーグにあまり注目してこなかったMLBファンは自分の目で確かめることができる。レイズとブルージェイズは7月2日から4日にバッファローで、そして7月9日から11日にはセント・ピーターズバーグで直接対決するからだ。

(翻訳:角谷剛)

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Edward Sutelan

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Edward Sutelan joined The Sporting News in 2021 after covering high school sports for PennLive. Edward graduated from The Ohio State University in 2019, where he gained experience covering the baseball, football and basketball teams. Edward also spent time working for The Columbus Dispatch and Cape Cod Times.