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長い年月がかかったが、ヤーミン・マーセイディーズ(あるいはメルセデス)はついにメジャーリーグの舞台へと辿り着いた。
現地時間4月3日(日本時間4日)の夜、8回にロサンゼルス・エンゼルスのセンターを守るマイク・トラウトにフライボールを捕球されるまで、マーセイディーズは8打数8安打だった。 この時点で既にこのシカゴ・ホワイトソックスの新人キャッチャーは野球界にセンセーショナルな騒ぎを巻き起こしていた。その前日の試合では5打数5安打、この日は3打数3安打で、サイクルヒットにあと3塁打のみと迫っていたのだ。
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マーセイディーズの完全な開幕ダッシュは歴史的な出来事でもあった。スポーツ歴史研究所の『Elias Sports Bureau』によれば、1900年から現在に至るまでの近代野球の歴史の中で、マーセイディーズは史上初めて8連続安打でシーズンをスタートした打者となった。
一体、ヤーミン・マーセイディーズとは何者なのか? そして如何にしてアメリカン・リーグのトップチームの一員となったのか?
マーセイディーズが表舞台に登場するまでの長い道のり
マーセイディーズは28歳で、既にプロ野球選手として10年のキャリアを持っている。ドミニカ共和国から海外フリーエージェントとしてワシントン・ナショナルズと契約したのは2011年3月のことだ。だがその10年間のすべての期間でメジャーリーグ傘下組織に所属していたわけではない。2013年8月にナショナルズから解雇され、翌2014年シーズンは独立リーグでプレイしたのだ。
この時のマーセイディーズは独立リーグの中でもあまり高度とはいえない環境に身を置くことになった。米国の南西部にあるユナイテッド・リーグとペコス・リーグから這い上がらなくてはならなかったのだ。そんな苦難の独立リーグ時代、両リーグ合わせて61試合に出場し、17本のホームランを放ち、OPS 1.124の成績を残した。その数字に注目したボルティモア・オリオールズとマイナーリーグのフリーエージェント契約を結んだのは2014年9月のことだ。
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それから3年後、ホワイトソックスは2017年にマイナーリーグのルール5ドラフトでマーセイディーズを獲得した。このようにいくつかの球団組織を渡り歩きながら、マーセイディーズはマイナーリーグの上部階層に上がってからも強打者としての活躍を続けると同時に、守備力にも磨きをかけた。2019年には3Aシャーロット・ナイツでプレイし、ホームラン17本、OPS 1.033の成績を残した。
マーセイディーズは昨シーズンにホワイトソックスの代替施設へ招待され、2020年8月2日には1打席ながらメジャーデビューも果たした。
3番目のキャッチャーとしてホワイトソックス開幕ベンチ入り
マーセイディーズはホワイトソックスの開幕ロースター26人枠にぎりぎりで滑り込んだ。ホワイトソックスはマイナー契約キャッチャーのジョナサン・ルクロイに代わってマーセイディーズを選んだ。レフトを守るエロイ・ヒメネスが故障で長期離脱したこともあって、トニー・ラルーサ監督はマーセイディーズを主に右の代打として起用するつもりだった。
キャッチャーとしてのマーセイディーズは本来ならヤズマニ・グランダルとザック・コリンズの控え選手である。グランダルは春季キャンプ中に膝を痛め、コリンズは今では半ば指名打者(DH)としての役割を期待されている。ヒメネスの代役として、新人のアンドリュー・ボーンが外野を守ることが増えたためだ。こうしたすべての事情が重なり、マーセイディーズが打席に立つチャンスが回ってきた。9打数8安打の大活躍があったからには、今シーズン前半はマーセイディーズが先発メンバーに入る機会は多くなるに違いない。
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MLB公式サイトによれば、「キャッチャーでもDHでも、トニー(ラルーサ監督)が私をラインアップに入れてくれるなら、いつでも大丈夫なように準備するだけだよ。どんなポジションでもベストを尽くす。それしか考えていないよ」とマーセイディーズは報道陣に語っている。
マーセイディーズはホワイトソックスの期待に応えている。3日と4日の両試合ではDHとして出場したのだ。
ドミニカ共和国で春季キャンプに向けて腕を磨く
マーセイディーズはドミニカン・ウィンター・リーグの常連だ。昨シーズンで7年目となったが、その間ずっとティグレス・デル・リセイに所属している。昨シーズンは95打席に立ち、レベルの高い投手たちを相手に、2本のホームランを放ち、打率.276、出塁率.326、長打率.368の好成績を残した。
マーセイディーズの家族は母国から見守っている。
「ジュニアが最初のヒットを打った時(3日)、家の建物が壊れるかと思ったよ。皆が飛び跳ねて、大声で叫んでいたからね。嬉しかったよ。そして、2本目、3本目、4本目、5本目と続いただろう。ただただ嬉しくてね」と父親のヤーミン・マーセイディーズ・シニア氏はシカゴ・サン・タイムズ紙に語っている。
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そして老マーセイディーズ氏はシカゴ・サン・タイムズ紙にこうも語っている。息子がマイナーリーグで苦しんでいた数年前、野球を続けるようにと説得したことがあったという。
「父親として、息子を負け犬にすることはできない。夢を諦めさせることはできない」
(翻訳:角谷剛)