ヤンキースの知られざるパワーヒッター、D・グレゴリアスが頭角を現した理由【前編】

Shlomo Sprung

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ニューヨーク発-ディディ・グレゴリアスは、ここ3シーズンで球界屈指のショートに成長した。それまで在籍していたアリゾナとシンシナティでは有していなかった長打力を、ヤンキースで伸ばしたのだ。

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ファングラフスによれば、2016年シーズン開始以降、グレゴリアスはショートの中でホームランが4位、打点が3位、長打率が5位、WARが7位、得点が8位、守備防御点とUZRが10位となっている。2018年シーズンは10試合出場、42打席に立った時点で、アメリカンリーグで出塁率、長打率、OPS、塁打、得点、四球でトップに立っている。

2015年、デレク・ジーター引退後ヤンキース最初の先発ショートとなったグレゴリアスは、ニューヨークでの最初のシーズンにホームラン9本を打った後、どのようにして、そのポジションでトップクラスのパワーヒッターに成長したのだろうか。

「僕は何も変えていない。ずっと同じアプローチを採ってきた」とグレゴリアスはスポーティングニュースに語った。「おそらく外野の間に飛ばすこと以外は何も変わっていない。僕がやろうとしているのはそれだけだ。どんな投球に対しても、ライナー性の打球をフェアゾーンに打つことだけを心がけていて、そこから修正を加えていくんだ」。

何も変えていないとグレゴリアスは主張するが、ここ2年、彼の長打力の数字が急上昇したことを説明できる大きな変化が1つある。下記で裏付けられるフライの増加だ。

年   ライナー比率  ゴロ比率  フライ比率  ホームラン/フライ比率(%)

2015   21.2     44.7    34.1     6

2016   19.6     40.1    40.3     10.4

2017   20      36.2    43.8     12.1

2018   17.2     34.5    48.3     21.4

グレゴリアスのライナー比率はほとんど変わっていないが、フライ比率はホームランが9本だった2015年から、25本打った2017年にかけて10パーセント近く上昇している。そして、彼のフライが増えるにつれ、そのうちホームランになる比率も上昇している。近年の野球界のパワー上昇傾向と合致するかのように、グレゴリアスも打球を打ち上げるようになっており、得点をたたきだす能力に大きな改善が見られる。

「キャリア初期の頃は、ライナー性の打球を外野の間に運ぶミートに徹したタイプの打者だったのが、中軸を打ち、得点をもたらす長打力のある怖いバッターへと成長したのだと思う」とヤンキースの内野手、ニール・ウォーカーは言う。「このスポーツでは簡単なことではないんだけどね」。

故郷のキュラソーで子どもの頃から一緒にプレーし、対戦もしてきたオリオールズのオールスター二塁手、ジョナサン・スコープは、グレゴリアスは試合で必ず最高の力を発揮してくる選手で、相手はそれを覚悟する必要があったと言う。

「彼は若い頃から常にいいバッターだった」とスコープは言う。「あとはいかに時間をかけてチャンスや経験を積むことができるかだ。今の彼は毎年進歩しているよ」

後編へ続く)

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