ゲリット・コールとニューヨークの野球ライターたちはMLBでも類を見ないほどに険悪な関係となっている。6月16日(日本時間17日)にバッファローで行われたトロント・ブルージェイズ戦で勝ち投手となった後、このニューヨーク・ヤンキースのエースはまたしても粘着物質と回転数についての質問を浴びせられた。
最初に攻撃の口火を切ったのはスポーツ専門局『ESPN』のマルリー・リベラ記者だった。リベラ記者はコールに回転数が再び下がったのはなぜかと尋ねた。コールはこの質問に対して最初は口ごもった。それは先週ニューヨーク・ポスト紙のケン・ダビドフ記者にスパイダー・タックを使ったことはあるかと尋ねられたときと同じようであった。
「分かってほしい。僕たちはただルールに従って競技をしようとしている。コミッショナーが今後そうすると通達したようにね。回転数はすべてではない。回転数は高くなくても、良い投球をすることはできる」とコールはリベラ記者の質問に答えた。
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コールの回転数は先週やや落ちた。それはMLBがボールに異物を塗布する投手を取り締まることを明らかにしてからのことだ(実際の検査は6月21日から開始される)。野球データ解析サイト『Baseball Savant』のデータによれば、ブルージェイズ戦でのコールの4シーム速球の回転数は2,485 rpm だった。この数値はコールのシーズン平均2,549 rpm をやや下回る。それでもコールはブルージェイズ打線を8回2失点に抑えて、ヤンキースの3-2での勝利に貢献した。
次の攻撃を行ったのはニューヨーク・ポスト紙でダビドフ記者の同僚であるジョエル・シャーマン記者だった。シャーマン記者はコールにMLBがシーズン途中で取り締まりを始めることについてどう思うかと尋ねた。コールはこの質問に対して長い回答を行った。それは先週コールが言ったことの繰り返しでもあった。粘着物質は野球というゲームの部分として何十年にも渡って認められてきた、という主張だ。
「その目的には僕も合意する。一貫して合意する。多分すべての選手たちも、少なくとも僕が話したことがある選手たちは、この件についてリーグが考えていることと同じ意見だ。だけど、繰り返すようだけど、過去の20年か30年かずっとこのリーグで慣習になってきたことも忘れないでほしい。シーズン途中で大きな変更を行うのは誰にとっても困難なことになる。僕は故障について少し心配している。タイラー(・グラスノー)と話した後は特にね。これについては状況を良くするために何かできることを望んでいる」とコールは言った。
When Gary Sanchez hit the go-ahead, two-run home run in the seventh, Gerrit Cole knew he had to dial it back in. pic.twitter.com/KRWYkKdWSu
— YES Network (@YESNetwork) June 17, 2021
グラスノーとコールはピッツバーグ・パイレーツでチームメイトだったことがある。グラスノーはMLBが取り締まりを始めると出場停止処分の対象になることを恐れていた。それまで行っていたロージンと日焼け止めを混ぜることを止めざるを得なくなるからだ。グラスノーはボールをより強く、そしてより深く握りこまなくてはいけなかったことが、肘靱帯を損傷する原因になったと述べている。
コールはこの件についてリーグ機構は選手たちの声に耳を傾けるべきだと主張する。
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「コミッショナー事務所はどうか僕たち選手と会話を続けてほしい。なぜならボールを投げるのは僕たちであって、彼らではないからだ。僕たちはこの状況の専門家だし、コミッショナー事務所の目的には合意もしている」とコールは言った。
「僕は選手たちが怪我をするのは見たくない。ボールがすっぽ抜けて打者の頭に飛んでいくのも見たくない」と、コールは続けた。投手が握りを強くする助けを失うと、そうしたことが起こり得ると言うのだ。
Gerrit Cole on whether an allowable universal gripping substance beyond rosin is needed:
— James Wagner (@ByJamesWagner) June 17, 2021
(In other parts of the postgame interview, he said he talked to & felt for Tyler Glasnow, that many will have to adapt their pitching now, & that it’s possible to pitch well w/o high spin.) pic.twitter.com/MhsH2nCI6e
「あのボールを握るのはとても大変なのさ。腹立たしいことだけどね。それこそが、ほとんどの選手が何かを使ってきたことの理由のひとつだ。投手であっても、野手であっても、だよ。そうやってボールにコントロールをつけてきたのさ」
(翻訳:角谷剛)