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2018年9月29日(日本時間30日)、私のなかでのニューヨーク・メッツの物語が一巡した。
私のメッツファン歴は1995年9月5日までさかのぼる。私が生まれた日だ。
初めて行ったメッツ戦で覚えていることは試合前にやったことばかりで、試合のことは何も覚えていない。その日はダブルヘッダーで、2試合とも寝ずに見たことで両親を感心させたと聞いているのだが、あまり覚えていない。実を言うと、メッツファンとしての記憶は2006年あたりまでないのだ。
全てのファンは、そのスポーツと「恋に落ちた瞬間」というのがあるものだと信じている。私にとってそれは2006年9月18日のことだった。
メッツがフロリダ・マーリンズを倒し、ナ・リーグ東地区を制覇したのだ。シャンパンまみれでシガーを吸う、満面の笑みを見せた25歳のデイビッド・ライトとホセ・レイエスが今でも目に浮かぶ。私にとってあの写真は象徴的なものなのだ。あの瞬間、私とメッツ、そしてデイビッド・ライトとの恋物語が本格的にスタートした。
先に言っておくと、メッツファンでいることは決していつも楽ではなかった。どのチームのファンもそうだが、辛い時期には忠誠心を守るために忍耐強さ、根気強さ、献身性を多く必要とする。
2006年にナ・リーグ東地区の優勝を決めたのち、メッツはセントルイス・カーディナルズに7試合の激戦を演じた末に敗退しており、メッツファンとして最初の悲嘆を経験した。
その後、多くの悲嘆が続くこととなった。
2007年と2008年は両年とも1ゲーム差でプレーオフを逃し、ライトとレイエスを中心に王朝を築くチャンスが失われてしまった。その後レイエスはフリーエージェントとしてチームを去り(くしくもマーリンズに移籍)、私が愛した2006年のチームから残っていたのはライトだけだったのだ。メッツを応援するのは決して楽ではなかったが、常に楽しいものではあった。勝とうが負けようが、メッツへの愛が揺らぐことはなく、ライトは常にそこにいた。
ライトの素手によるキャッチ、サヨナラホームラン、オールスター出場とガッツポーズ、全てを鮮明に覚えている。ライトのエナジーとリーダーシップは刺激的なものだった。彼がいるだけでメッツの戦力は向上していた。
ライトはスタッツや成績だけでは物語ることができない。彼は常にメッツとファンに対し、感謝と愛情を見せ続けた真のリーダーなのだ。敗戦やケガが重なる辛い時期でも、彼は常に希望の兆しであり続けた。
ここ2年間で1度の先発出場という形で彼を引退させてしまうのは不公平にすら感じる。最終選で、ライトは四球とフライアウトで0-1で終わった。三塁で4イニングを守り、1死だけ記録したのだ。
この最後の先発試合は彼のキャリアや、彼の選手としての功績をまるで表していない。
シティ・フィールドはライトが登場するたびに歓声で震えていた。彼が大画面に映し出されるたびに「デイビッド・ライト」コールが巻き起こった。
9月29日(同30日)の試合には約44,000人のメッツファンがキャプテンのために集まった。ライトがヒットを打つかどうかなどは関係なかった。重要だったのは彼が再び打席に立ち0-1という成績を記録するチャンスがあったということだ。これまでそれすら見られるか分からなかったのだ。
苦しい時期を経験していただけに、ライトファン、野球ファンとして彼とレイエスが最後に再び内野の左側を守るのが見られたのは本当に特別な瞬間だった。
来シーズンはいろいろな意味でこれまでと違ったものになるだろう。ライトがロースター入りしないだけでなく、リハビリすらしないのだ。あの内野の左側は二度と見られないのだ。
2018年9月29日、私の中でのニューヨーク・メッツの物語が一巡した。
13回までの死闘の末に、メッツはマーリンズに勝利した。2006年と同じだ。
しかし今回はシャンパンやシガーはなかった。シーズン1試合を残して、メッツはナ・リーグ東地区でアトランタ・ブレーブスと14ゲーム差の4位。試合後のお祝いは地区制覇に対するものではなく、彼を愛しリスペクトするファンへのデイビッド・ライトの挨拶に対するものだった。
キャプテンによる、所属した唯一のチームへの最後のお別れだ。
🚨 LIVE 🚨 #OurCaptain has a message for you, #Mets fans. https://t.co/jjS9x7a21p
— New York Mets (@Mets) 2018年9月30日
この日のことを私は忘れないだろう。時代の終焉だ。ライトがロースターに名を連ねる最後の機会だ。メッツファンがいつか来ると分かっていながらも、まだ心の準備ができていなかった日だ。
私が覚えている限りでは、誰かに夢の仕事は何かと聞かれると私はいつも「メッツで仕事をしてデイビッド・ライトにインタビューする」というものだった。私は現在23歳。このコラムがその夢を叶えるのに最も近しいものとなるだろう。
キャプテン、ありがとう。これがとにかく言いたかった。ニューヨーク・メッツを愛するきっかけになってくれてありがとう。常に信じる気持ちを保たせてくれてありがとう。この12年間、一番好きな一番好きな選手でい続けてくれてありがとう。ファンがフランチャイズ・プレイヤーに求めるものを全て体現してくれました。デイビッド、あなたを応援できたことを誇りに思います。
二度と背番号5は現れない。二度とデイビッド・ライトは現れない。
いい思い出も、悪い思い出も、ありがとう。一生感謝します。
新たな時代が始まる中、メッツファンはとにかく信じ続けるのだ。
原文:Goodbye to David Wright, the reason I fell in love with Mets baseball
翻訳:Reo Onishi
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