マイナー選手が球界きってのコメディアンとして名を馳せる話【前編】

Jacob Janower

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2016年からミルウォーキー・ブリュワーズのソーシャルメディアチームの一員としても活躍しているティム・ディラードは、その間、自身が球界で成功を収めるのは難しいのではないかという考えを抱いていた。

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ブリュワーズ傘下のチームに所属しているベテラン投手のディラードは、マイナーリーグでのシーズンを終えた後、チームのソーシャルメディア活動のために“招集”された。彼が提案した「ブリュワーズ・ナイト・ライブ」の動画は「サタデー・ナイト・ライブ」(アメリカで人気のバラエティ番組)を模したもので、選手たちが登場し、デイビット・スターンズGMとオーナーのマーク・アタナシオもカメオ出演するというものだった。しかし、ディラードはそこに足りないものがあることに気付いていた。

それは、ブリュワーズ専属の伝説的アナウンサー、ボブ・ユッカーを動画に出演させることだった。ディラードは古くからユッカーのことを知っていたが、彼が常にカメオ出演に好意的ではないことも知っていた。彼の出演には説得が必要となったが、最終的にはユッカーに「ミラー・パークから生放送、今夜はサタデーナイト」と言わせることに成功した。

野球界のコメディアンとしての立場を確立したディラードは、このことを「これまで経験した中で最もクールなことの一つ」と呼んだ。

彼は「ブリュワーズ・ナイト・ライブ」にユッカーを登場させたときのことを懐かしそうに振り返ったが、これはディラードがこれまでに作り出した多くのコメディー動画の一つに過ぎない。

インスタグラムとツイッターを合わせて7万人以上のフォロワー(マイナー選手にしては少なくない)を楽しませているディラードは、しばしば短編動画を投稿しており、動画内では、彼とコロラド・スプリングス・スカイ・ソックスのチームメイトが映画やテレビ番組のマネをしている。

「僕はそれをゲリラ撮影と呼んでいるんだ」。ディラードはスポーティングニュースの取材にそう答えた。「スマホを持って、“録画”を押して、バカみたいに演じる。編集するまではひどい出来だが、映画やCMの音声や歌を足すとどうなるかは分かるだろ? まるで僕らが俳優みたいに見えるんだ。たいていの場合は動画に野球の要素を加えているよ」。

数々の動画を通して、ディラードはFOXスポーツウィスコンシンのゲスト解説者としての仕事をすることになっただけではなく、ユニビジョン・ディポートチャンネルでラテン音楽を披露することにもなった。

ディラードは、コメディー界のレジェンドであるジム・キャリーやウィル・フェレルなどに着想を得ており、彼のお気に入りの動画のいくつかが「エース・ベンチュラ」、「俺たちニュースキャスター」、「俺たちダンクシューター」といった映画を元にしていることにも驚きはない。

他にもディラードの印象的なパロディーとしてセプテンバー・コールアップを元にしたものがあり、悲しい曲と共に大リーグ昇格を逃したトリプルAのチームメイト数名を悲しそうに映している。

「動画のコンセプトを立てた時、部屋の中には4~5人がいて、僕たちは10~15分間笑い続けたよ」。ディラードはそう話した。「悲しい子犬のような見た目をして、サラ・マクラクランの曲を流す。そこに『毎年、わずか3パーセントのマイナーリーガーのみが大リーグに保護されています』といったような統計を出すんだってね」。

「あれは短い動画の中で多くの衝撃を与えていたから、少なくともマイナーリーガーの中では最も受け入れられた動画だったね」

チームメイトからもしばしば動画の提案を受けるというディラードだが、とある重要なルールを設けているという。

「もしもアイデアを提供したら、何らかの形で動画に関与しなくてはいけないんだ」。彼はそう話した。「カメラの前に立つ必要はないかもしれないが、少なくともカメラを持ったり、小道具を作ったりしなくてはいけない」。

* * *

人々を楽しませるために動画を作成することは、ディラードにとって目新しいことではなかった。

幼少期、彼と彼の2人の兄ジェフとアンディーは、祖父母へのクリスマスプレゼントとして、寸劇を演じたり、歌を口パクしたりする映像を録画して祖父母を楽しませようとしたのだ。それは現在ディラードがやっていることと非常に似ており、撮影方法はVHSカムコーダーをVCRにつないだ旧式のものだった。

現在は、スマートフォンによって過程が簡略化された。ディラードは、かつて人気を博した「ダブスマッシュ」というアプリをロッカールームでチームメイトに勧められたことから動画制作を開始した。しかし、「アップデートごとに改悪されていった」ことを理由にそのアプリからは離れていった。

以降、ディラードは動画を配信するためにソーシャルメディアを活用している。ソーシャルメディアは彼が作品を公表する際の重要なツールだ。

ディラードは、ツイッターに登録する以前から、アスリートがウェブ上で受けるであろう非好意的な反応についてチームメイトから学んでいた。2013年、彼がペンシルベニアの独立リーグで活路を見出そうと試練の時を迎えていたとき、彼の妻はソーシャルメディアに登録するように彼に話した。そして、ディラードはそれを試してみることにした。

「あなたの野球人生はもう終わりかもしれない。もしそうなれば、次のキャリアがどんなものであれソーシャルメディアを活用してコネクションを広げておくべきかもしれないわ」。ディラードの妻エリンはそう言ったという。

彼のツイッターは、以下のツイートから始まった。

感じが良く親しみやすいソーシャルメディア上でのディラードの存在は、ファンたちにも受け入れられてきた。それは、ソーシャルメディアに積極的に取り組む彼の気質に影響されたものだった。

「何をするのであれ、僕はそれを楽しむためだけにやるという考えに至った」。ディラードはそう話した。「僕は政治に興味がないし、それに関する発言もできない。時事問題にも加わりたくない。本当だ。頭の中に何かが浮かんで、それが面白いと思ったら、僕はただそれを試してみるんだ」。

後編へ続く)


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