プロの野球選手を夢見る子どもたちに、大人たちがすべきこと【前編】

Christopher Carelli

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「ゾッとするよ」

投手としてメジャーリーグで26年も活躍したトミー・ジョンは、Sporting Newsに対し、自身の名前が冠された側副靱帯再建手術を受ける球児たちを蝕む伝染病についてそのように表現した。

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トミー・ジョン手術の57%は、両親が未来のマックス・シャーザーやクレイトン・カーショーだと信じる15歳から19歳の子どもに施される。いったいどれだけの保護者とコーチたちが、夢を叶えるため限界に挑もうとした子どもたちをケガから守る基本的なヘルス・マネージメントに失敗するのだろうか?

ドラフトで指名されてプロ選手になる高校生の割合は1%以下、カレッジ・ベースボールとなると10%にまで上昇するが、率直に言ってその確率は極端で、そもそも指名されただけではマイナーではプレーできてもメジャーリーガーにはなれない。

それでも、球児たちに壮大な夢を抱かせ、子どもの成功を祈る親の心を動かす“アメリカン・ドリーム”が野球界にはある。ユース世代に向けた野球産業は、メジャーリーグにつながる手段として設備やチームを保護者に売っているのだとジョンは言う。

もうひとつの“アメリカン・ドリーム”、つまり大金を稼ぐという側面は、全身(の疲労度)に焦点を当てない練習計画に加えて、成長期のアスリートの身体には耐えがたい試合時間の長さがケガの原因になっているという現実を覆い隠しがちである。

「アスリートの中でのエリートを生み出すというユース・スポーツ界の試みは成功しているものの、育成のルールを破ったことで彼らの身体は機能不全に陥っている」ジョンの息子で、「Minimize Injury, Maximize Performance: A Sports Parent's Survival Guide.(ケガの可能性を最小にして力を最大に発揮するには:子どもを持つ親への指南書)」の著者であるトミー・ジョン医師は、ユース世代のスポーツ産業が持つ150億ドルもの市場規模のプレッシャーが若手アスリートの身体にのしかかっていることをSporting Newsに話した。

子どもたちとその保護者の間には、片時も集中を切らさず競技に打ち込まないと、1年365日にわたって全力で取り組む選手に遅れを取るという観念が作り出されている。

ジョン医師は厳しいユース・スポーツ市場を生き抜く選手とその保護者、そしてコーチたちに先を見越してケガを防いでいくよう積極的に働きかけている。その結果として、彼の提唱する「心身を健全に維持する方法論」を用いるエリートが出てくることを信じている。

「今はまだ全然違うプレーヤーでも、(ケガをしなければ)やがて最高のレベルに達するかもしれないアスリートを探しているんだ」とジョン医師は言う。「野球選手に限らずね」。

ジョン医師が作ったプログラムは、子どもたちの成功やキャリア形成(最低でもスポーツ奨学金を得る機会)を願うと同時に、彼らが健康でいることも望む保護者を後押しするだけでなく、「保護者」として誠実になれるようデザインされている。

「保護者は鏡を覗き込んで自己分析するべきだ」と彼は言う。

メジャーリーグで成功したトミー・ジョンは、まずエキスパートから学ぶことが必要だと考え、保護者に対して一連の質問を投げかける。

「誰が最高の投手だと思いますか?」と聞くと、マディソン・バムガーナーかカーショーという返事が多い。

「彼らは一年を通して休まずに投げ続けますか? シーズンが終わるとそのまま来季へのトレーニングをはじめますか?」答えはもちろん、ノーだ。

そして、息子のジョン医師が子供どもの健康を懸念する保護者にトドメを刺す。

「もし世界最高の投手に休養が必要だとすると、あなたのお子さんはもっと休む必要があるとは思いませんか?」

後編へ続く)

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Christopher Carelli