プレーオフ打率4割超え、ヤシエル・プイーグの成熟

プレーオフ打率4割超え、ヤシエル・プイーグの成熟 image

元記事:Dodgers see matured Yasiel Puig, quirks and all: 'As focused as I've ever seen him'

(公開日:2017年10月20日)

著者:Jared Wyllys

 

傲慢な態度や奇妙な癖は変わらず、今もバットを放り投げながらも、ヤシエル・プイーグは1年前の彼と同じ選手ではない。

4年前に期待と興奮の中でロサンゼルスにやって来てから、この外野手は漫画のような強靭な肉体に反して、安定した成績を残し続けることができなかった。2016年8月、彼はトリプルAのオクラハマ・シティに送られ、そこでマイナーリーグのチームメイトたちとパーティーをして批判を受けた。ショータイムは終わったかに見えた。

プイーグは誤解を招きやすい選手だ。しかし、カメラに向かっての派手なパフォーマンス(ファウルを打ったときでさえバットを放り投げる)は相変わらずな一方で、2017年のポストシーズンにおける彼の存在感、生産性は、彼の人間的な成熟によるものだ。それは、彼のキャリアを救うことになるだろう。

今、プイーグは再びショータイムを演じている。そして、彼はドジャースが1988年以来のワールドシリーズに進出する大きな理由だ。

「今季は僕ができるベストなプレーをした」ナショナル・リーグ優勝決定シリーズ第1戦で二塁打と本塁打を放った後、プイーグはレポーターに言った。「監督やチームメイトが大いに助けてくれた。それが今年、僕が良いプレーをできて、再びプレーオフに戻ってくるチャンスを得た理由だ」

プイグが言うチャンスとは、デイブ・ロバーツ監督によってもたらされたものだ。プイーグはトレードで放出される選手の候補として噂されていたが、ロバーツ監督がもう一度彼にチャンスに与えるよう求めた。そのギャンブルは今のところ投資に見合ったものになっているが、プロセスはまだ終わっていない。

リグレー・フィールドでのリーグ優勝決定シリーズ第4戦の試合前に行われた打撃練習中、ロバーツ監督はプイーグが打撃練習を終えた後に数分の話をした。ロバーツ監督はプイーグに、打席で呼吸をコントロールし、感情を抑えることの重要性を告げた。

「彼はまだ成長過程で、今結果が出始めているんだ」ロバーツ監督はスポーティングニュースに語った。「彼は素晴らしいシーズンを送り、打席と守備の両方で高いクオリティを見せた。今、彼はとても高いレベルでプレーしている」

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2016年9月にメジャー復帰したプイーグは、その年のプレーオフで苦しんだ。ワシントン・ナショナルズとの地区シリーズではヒットを打てず、カブスとのリーグ優勝決定シリーズでも僅か4安打に終わった。しかしこの秋、彼は打率.400以上を記録し、ヒットの半分以上が長打だ。

レギュラーシーズン、そしてプレーオフの2ラウンドを通じて、ショータイムが返ってきた。

「彼は今まで見た中でもっとも集中している」ロバーツ監督は言った。「私たちは彼のエナジーについて話をするが、彼の集中力についても話をする。このポストシーズン、彼は素晴らしい仕事をしている」

一体、プイーグは何が変わったのだろうか? エナジーは失っていないが、集中力も失っていない。

「彼は一球の大切さを理解し、シーズンが進むごとに、それをより深く理解しているのだと思う」ロバーツ監督は言った。「スイッチを変えるのは簡単ではない。今はポストシーズンで、一球が大切なんだ」

プイーグは2017年、キャリアでもっとも多く試合に出て、OPS.833をを記録した。オールスターに選ばれた2014年以来最高の数字だ。このプレーオフ、彼はこれまでの10月より遥かに良い成績を出している。彼はここまで6打点、6四球を記録しており、これは過去のポストシーズン通算で記録したよりも多い。彼のチームメイトたちも気付いている。

「彼がスタートした場所から今に至る道のりは、ややこしいものだと思う」クレイトン・カーショウは言った。「でも……今年は本当に、彼は周囲からの信頼を勝ち得ていると思う」

ロバーツ監督は、プイーグが信頼を勝ち得る上でもっとも大きな存在だった。カーショウは、それがプイーグのフィールド上でのアウトプットにつながっていると言う。

「彼のプレーを見ればわかる…… 人々は彼のハートに最大の関心を持っていると、彼は思っている」カーショウは言った。「でも同時に、このポストシーズン彼の集中力、そして決定力は、今まで見たことがないレベルのものだ。彼の才能も踏まえると、本当にスペシャルな選手なんだ」

そしてカーショーは、ブイーグがボックススコア上に現れる以上の選手であることを知っている。プイーグが打撃練習中にドジャース先発陣のワインドアップを真似するとき、カーショウたちは笑う。それは楽しく、チームメイトたちを楽しませている。

「彼のエナジーと感情に、僕らは力をもらっている。それは良いリーダーシップだ。外面的にわかりやすいリーダーシップではないけど、彼のエナジーと感情は、僕らにとって大きなものなんだ」彼は言った。「それはときに愉快で、ときに僕らに力を与えてくれるんだ」