采配に愕然とするファン
ドレッセン監督が投手交代でブランカを示すと、球場のジャイアンツファンでさえ愕然としていた。素晴らしいカーブとシンカーを駆使してジャイアンツを完封した第2戦のヒーロー、クレム・ラビンもウォーミング・アップしていたのだ。
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ジャイアンツのフロントに近しいファンは、家に帰ると家族にこう言った。「すごい! なんて素晴らしい試合だろう。でも試合で監督が投げるのは見たくないものだね」。ボールを「投げる」という意味ではなく、不可解な采配をして試合を「投げる」という意味だ。
野球という競技における最大のドラマは、プレーオフの最終戦で待っていた。もしジャイアンツが負けていたとしても、不屈の精神で夢を追い求めたジャイアンツは国民を魅了したことだろう。シーズン最後の週にドジャースがボストンでの4戦のうち3戦を落とすまで、ジャイアンツはいつ優勝を逃すともしれない無情な日々を送っていた。もしドジャースが勝っていたら、プレーオフで決定的な一撃を食らうこともなくチャンピオンとしてもてはやされていただろう。しかしドジャースには前評判の高さと追い抜かれたときの羞恥心というプレッシャーも付きまとっていた。
そしてジャイアンツは実際にやってのけた。ドジャースではなくドレッセン監督のミスが多すぎたという声があった。誰が何をしたにせよ、選手たちは責められるべきではない。彼らは挫折してはいないのだ。
ジャイアンツに優勝を奪われようとしていることに気づくのは遅すぎたが、ドジャースは勇敢に戦った。ジャイアンツがブレーブス戦に勝利して優勝を決めた後にドジャースはレギュラーシーズンの最終戦に臨み、延長14回にジャッキー・ロビンソンの一打でフィラデルフィア・フィリーズを下したのだ。
しかし、13.5ゲーム差をつけていたドジャースが1度しか勝てなかったのに対し、ジャイアンツはシーズン最終日とプレーオフ最終戦で2度のペナントを勝ち取った。
プレーオフ第3戦では、トムソンがブランカからスタンドまで一直線に飛んでいった打球を放つまでジャイアンツの優勝の望みは薄かった。
先発のニューコムが素晴らしいピッチングをしたドジャースは、ジャイアンツ先発のサル・マグリーからロビンソンが初回にタイムリーヒットを放って先制した。ジャイアンツは7回にニューコムをとらえて同点に追いついたが、ドジャースは8回に3点を取り返した。先頭のピーウィー・リーズとデューク・スナイダーの連打からマグリーのワイルドピッチで1点が入り、それからアンディ・パフコとビリー・コックスが4対1とする貴重な追加点を叩き出して試合は決したかに思われた。
それからファンがフィールドへ
しかしジャイアンツも9回にアルヴィン・ダークとドン・ミュラーの連打でニューコムを攻め立てた。チャンスに強いモンテ・アーヴィンがポップフライでアウトになり、「産みの苦しみ」だったかとドジャースファンは胸をなで下ろしかけたが、ホワイティ・ロックマンの2塁打で1点を返された。そこでドレッセン監督が動き、トムソンに一発を浴びているブランカをマウンドに送るという信じがたい選択をして、自軍ファンのみならずジャイアンツファンをも唖然とさせた。
ブランカは2球しか投げなかった。初球でストライクを取ったが、2球目で大惨事が起こった。そうして、ジャイアンツが9戦を残した時点で難攻不落の5ゲーム差をつけていたドジャースは、勝敗表の数字に囚われることなく全力を尽くしたチームに苦杯をなめることとなった。
プレーオフ第1戦では、ジャイアンツの先発ジム・ハーンがドジャースを5安打に抑えた。ドジャースは元カブスのアンディ・パフコのソロホームランでリードしたが、トムソンがブランカから放ったツーランで逆転を許してアーヴィンのソロでダメ押しされた。ジャイアンツが最高の試合をした一方、4つのダブルプレーがあったドジャースは無気力に見えた。
しかしジャイアンツも10-0で負けた第2戦は5つのエラーを犯した。ロビンソンはジャイアンツ先発のシェルドン・ジョーンズからツーランホームランを放ち、二番手のジョージ・スぺンサーからは3-0にリードを広げるタイムリーヒットを打った。ギル・ホッジスは6回にスぺンサーからシーズン40本目、パフコは7回にアル・コーウィンからシーズン30本目のホームランを打ち、アル・ウォーカーは9回にツーランを放ってライトスタンドの観客を一掃した。
10月3日の最終戦はトムソンのものだった。マグリーを救援したラリー・ジャンセンが勝利投手となったが、チームメートが彼を讃えるまでには時間がかかった。誰もがトムソンに気を取られてあらゆることを忘れてしまったのだ。ジャイアンツに負けたドジャースファンがドレッセン監督を忘れようとしたように、ニューヨーク・ヤンキースとの期待外れのワールドシリーズさえもが忘れられてしまった。
(完)
原文:From the archives: Bobby Thomson's pennant-winning homer sets new high in drama
翻訳:Kaito Kato
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