ブリュワーズが他球団に見せた「ビジネスの流儀」(前編)

Nick Stellini

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2017年、86勝をあげ前シーズンよりも勝利数を13も伸ばしたミルウォーキー・ブリュワーズ。シーズン終了直前までは、ワイルドカードゲーム進出に十分な勝率も維持していた。若いタレントと有望な若手選手を多く抱える彼らは、近いうちに大きなことを成し遂げそうだ。

1月25日までにブリュワーズが獲得した選手は、ブーン・ローガン、ヨバニ・ガヤード、ジョーリス・チャシーンといった中堅選手3人のみ。どのチームも異例の停滞を見せていた今オフの移籍市場だが、さすがにこの補強メンバーだけで春季キャンプ入りするのは無謀な策だ。

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しかし状況は変わってきたように見える。ブリュワーズは、泥沼と化したマイアミ・マーリンズからクリスチャン・イエリッチを救い出し、続けざまにロレンゾ・ケインとも契約した。2人の強力な選手の加入によって新たな時代の幕開けを迎えようとしているブリュワーズ。だが、これで終わりではない。次は、ペナントレースで勝利から遠のいている先発投手の獲得に動くだろう。

ブリュワーズが選手の獲得に積極的なことは驚くことではない。チームの本来あるべき姿だ。

急な活躍をしたり、一発屋で終わりそうな不安定なチームが、選手を獲得しないでどうするというのだ。ブリュワーズのようなチームは、移籍市場にしっかりと門戸を開かなくてはいけない。今年活躍しそうなチームはブリュワーズのみではないが、策略的に行動している唯一のチームといえるだろう。

今のところ、ブリュワーズは良くやっている。ケインはいまだに優秀なセンターであり、バッターとしても人並み以上ではある。イエリッチは、移籍金の安さからは想像もできないほど投打ともにすばらしい。そして、両者とも移籍後のスタジアムのほうが打者側有利とされている。イエリッチは長打力よりもミート力に定評があるが、守備側有利なマーリンズ・パーク以外での長打率は.465を記録している。元本拠地のマーリンズ・パークでは.396と数字を落とすが、2018年は彼のバットからたくさんの放物線が描かれることになるだろう。

しかし、ここのところブリュワーズの外野手は飽和状態だ。ライアン・ブラウンがレフトにいることを考えると、才能を伸ばしてきているドミンゴ・サンタナやブレット・フィリップスは、ベンチかAAA要員となるだろう。球団としては、怪我の多いブラウンの控えを一人は確保しておきたい。その筆頭候補だったルイス・ブリンソンは、イエリッチとのトレードに使われ、マーリンズへ移った。120wRC+で昨シーズンを終えたサンタナは、正確にはただの控え選手とは呼べないだろう。フィリップスもレギュラーになれるだけの才能は備えている。

つまり、二人は魅力的なトレード要員だ。おかげで、ブリュワーズはマーリンズとの交渉の後にも良い見通しを立てることができる。先発や中継ぎの獲得も簡単に話を進めることができるだろう。だが、今すぐに移籍可能な先発を見つけるのは難しい。タンパベイ・レイズにはジェーク・オドリッジなど適正価格の選手がいるので、理論上はトレードも可能だ。だが、クリス・アーチャーを獲得するには、マーリンズにトレード移籍してしまったブリンソンかモンテ・ハリソンが必要だっただろう。カンザスシティ・ロイヤルズのダニー・ダフィーや、デトロイト・タイガースのマイケル・フルマーも可能性はあるが、おそらくどちらも少し値が張る。

後編につづく)

Nick Stellini