「フィールド・オブ・ドリームス」球場はどこにある? MLBが名画の舞台を再現した球場のすべて

Edward Sutelan

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シカゴ・ホワイトソックスとニューヨーク・ヤンキースが、2021年フィールド・オブ・ドリームス・ゲームで対戦した(編注:9-8でホワイトソックが勝利した)。だが、それは1989年の映画『フィールド・オブ・ドリームス』(日本では1990年公開)で実際に使われた伝説の球場そのもので行われたわけではない。

代わりに、MLBは映画の舞台からさほど遠くない場所に新たな球場を建設したのだ。

それでもアイオア州ダイアーズビルの同球場を訪れる観客は映画で見た元の球場に歩いていくこともできる。「シューレス・ジョー」がトウモロコシ畑の中から現れた、あの球場だ。そして試合中の選手たちもトウモロコシ畑を背にプレイすることになる。仮説球場の外野は金網フェンスと窓を挟んでトウモロコシ畑と隣接しており、数エーカー先まで見渡すことができるのだ。

8月12日(日本時間13日)に歴史的な1戦が行われた球場についてのすべての情報は以下の通りだ。

「フィールド・オブ・ドリームス」球場はどこにある?

  • 所在地: アイオア州ダイアーズビル

ホワイトソックスとヤンキースはアイオア州ダイアーズビルに建設された仮設球場で対戦した。仮設球場は映画の舞台となった元の球場に隣接し、8000人の観客を収容できる。

仮設球場は1919年のホワイトソックスと映画を模してデザインされた。かつてのコミスキー・パークに似せて作られ、外野席の窓からはライト後方に広がるトウモロコシ畑を眺めることができる。そして仮設球場から映画『フィールド・オブ・ドリームス』の元球場まで歩いて行ける通路もある。

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映画で実際に使われた球場で今回の試合が行われない理由はシンプルだ。MLBの球場規定に合わないためである。MLB公式サイト『MLB.com』によると、元の球場はMLBの試合を行うには狭すぎ、またトウモロコシ畑では大量のボールが失われるであろうということだ。

映画『フィールド・オブ・ドリームス』の公式サイトでは、元の球場は内野の塁間やマウンドから本塁までの距離はMLBの規定通りではあるが、本塁からレフトは300フィート(約91.4メートル)、センターは350フィート(約106.70メートル)、そしてライトは315フィート(約96.0メートル)であると記している。ちなみにMLBで現在も使われている最古の球場フェンウェイ・パークはレフトフェンスまでの距離は310フィート(約94.5メートル)だが、そこにはグリーン・モンスターと呼ばれる高い壁が作られている。そしてライトフェンスまでは302フィート(約92.0メートル)、センターフェンスまでは390フィート(約118.9メートル)である。

もし元の球場でボールがトウモロコシ畑に転がるたびにエンタイトル・ツーベースにするか、あるいはトウモロコシ畑に飛び込んだボールをすべてホームランにするとなれば、ホワイトソックスの先発投手ランス・リン、ヤンキースの先発投手アンドリュー・ヒーニー、そして両チームの救援投手たちの防御率は著しく悪化するだろう。

「フィールド・オブ・ドリームス」球場の大きさは?

MLB機構はホワイトソックスとヤンキースの1戦のために、全く新しい球場を建設した。レフトとライトの両翼フェンスまでの距離は335フィート(約102.1メートル)、センターフェンスまでは400フィート(約121.9メートル)、そして左中間及び右中間の最深部までは380フィート(約115.8メートル)であると、MLB.comは記している。

現在MLBで使われている球場のなかでは、ブッシュ・スタジアム(レフト約102.4メートル、センター約121.9メートル、ライト約102.1メートル)とトゥルーイスト・パーク(レフト約102.1メートル、センター約121.9メートル、ライト約99.1メートル)に近いサイズだ。

仮設球場のデザインはかつてのコミスキー・パークに似せて作られたが、フィールドのサイズはそうではない。1910年に開場したコミスキー・パークは両翼ポールまで363フィート(約110.6メートル)あったし、センターフェンスまでは420フィート(約128.0メートル)だった。これは現在なら最大のMLB球場になるであろうサイズだ。1986年には改装されて、両翼ポールまで347フィート(約105.8メートル)に、センターフェンスまでは409フィート(約124.7メートル)にそれぞれなったが、それでも2021年シーズンなら最大級になる。

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映画で使われた元の球場のサイズ

MLBが映画で使われた元の球場で試合を行わないことを決めた理由の1つは、その球場が小さすぎることである。

(ケビン・コスナー演じる)レイ・キンセラが球場を作ったとき、どうやら打者有利の状況を望んでいたらしい。その球場はレフトが300フィート(約91.4メートル)、センターが350フィート(約106.7メートル)、ライトが315フィート(約96.0メートル)しかない。レフトとセンターの距離はメジャーで最短であるし、ライトの距離は5番目に短い。それより短い距離を持つ球場はドジャー・スタジアム(約91.4メートル)、フェンウェイ・パーク(約92.0メートル)、オラクル・パーク(約94.2メートル)、そしてヤンキー・スタジアム(約95.7メートル)だ。さらに言えば、外野にフェンスがないため、強く野手の間を抜けた打球はすべてエンタイトル・ツーベースになってしまう。この球場で試合を行うと、かなりの高スコアになってしまうだろう。

もし観客が映画で使われた球場を見たいと思うのなら、仮説球場からトウモロコシ畑の中に作られた通路を通って、歩いていくことができる。1989年以来、この球場は無料で観光客を迎え入れてきた。ダイヤモンドに足を踏み入れることもできるし、キンセラ一家が住んでいた農家のツアーもある。

仮設球場の最大収容人数は?

MLBがこの試合のために建設した仮設球場は8000人の観客を収容できる。MLB.comによれば、試合終了後に観客席は一旦解体され、将来使用される機会のために保存される。(編注:MLBのロブ・マンフレッド・コミッショナーは2022年中に再びフィールド・オブ・ドリームス・ゲームを行う意向を発表している)

限られた入場人数のせいで、チケットの値段は高騰した。シカゴ・サン・タイムズ紙が8月11日(同12日)に報じたところによれば、チケット再販サイト『TickPick』での平均価格は1326.19ドル(約14万6千円)であり、最高値は3972ドル(約43万9千円)に達し、最低価格でも1220ドル(約13万5千円)になるだろうということだ。なお、チケット購入者はアイオア州に住所を持つ人だけに限られている。

その代わり、どの席もフィールドレベルからさほど離れておらず、入場者は思う存分に観戦を楽しむことができる。

(翻訳:角谷剛)

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Edward Sutelan

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Edward Sutelan joined The Sporting News in 2021 after covering high school sports for PennLive. Edward graduated from The Ohio State University in 2019, where he gained experience covering the baseball, football and basketball teams. Edward also spent time working for The Columbus Dispatch and Cape Cod Times.