ニューヨーク・メッツのハビアー・バエズがファンへ親指を向けるジェスチェーで抗議

Edward Sutelan

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ハビアー・バエズとニューヨーク・メッツの他の選手たちはニューヨークのファンから浴び続けているブーイングに苛立っている。

そして彼らはメッセージを投げ返すことに決めた。メッツがワシントン・ナショナルズに9-4の大差で勝利した8月29日(日本時間30日)、4回に2点ホームランを放ったバエズはホームベースを踏む際に両手の親指を下に向けるジェスチャーを見せた。フランシスコ・リンドーアとケビン・ピラーを含む他のメッツ選手たちも試合中に同じポーズを真似た。試合後にバエズは、それはブーイングへの抗議だったと述べた。

バエズは以下のように語った。「僕たちはマシーンではない。調子が悪いときもある。三振した時にブーイングを浴びることは、気持ちの良いものではない。それで僕が落ち込むことはないけど、ファンにも知っておいてほしい。僕らが成功した時に、同じことをやり返してみるから、どんな気持ちになるかを知ってほしいのさ。僕たちはチームとして勝ち、チームとして負ける。本当はファンもそのなかで大きな役割を担うべきだ。僕の考えを言うならば、ファンも態度を改めるべきだ。僕はファンのためにプレイする。ファンを愛している。だけどファンがあのようなことを続けるのなら、それはチームに余計なプレッシャーをかけることに他ならない。それは僕らが望むことではない」

メッツのサンディ・オルダーソン球団社長は同日夜に声明を発表し、バエズのコメントとジェスチャーは「まったく許容できるものではなく、今後も黙認されることはない」と言った。

「メッツのファンが最近のチームのパフォーマンスに対して苛立っていることは理解できます。選手たちも球団組織も同じように苛立っています。しかし、シティー・フィールドでファンは彼らの不満を表現するすべての権利を持っています。ブーイングをすることはすべてのファンの権利なのです。ファンに対して否定的な意味を込めたジェスチャーをすることは、プロ選手にあるまじき行為であり、メッツはどのような選手にもそれを許しません。私は選手たちやスタッフと話し合い、このメッセージを私自身から彼らに伝えます。メッツのファンは忠実で情熱的で知識もあり、何よりも彼ら自身を表現することを望んでいます。私たちはファンの1人1人に対して愛情を持っています」とオルダーソンは述べた。

シーズン開幕前のメッツへの期待は大きかった。リンドーア、カルロス・カラスコ、そしてジェームズ・マッキャンをオフシーズンに獲得し、ナショナル・リーグのサイヤング賞を2度受賞したジェイコブ・デグロムや2019年同リーグ新人王のピート・アロンゾらと、強力な中核選手層を作り上げたはずだったからだ。だがデグロムはシーズン序盤に歴史的な好成績を挙げたものの、その後は故障で長期離脱したままだ。チームの打撃陣はメジャー20位の93 wRC+と低迷している。メッツの総年俸は1億9800万ドル(約218億円)で、その合計金額はロサンゼルス・ドジャースとニューヨーク・ヤンキースに次ぐものだ。ドジャースとヤンキースは最近調子を上げており、どうやらプレイオフ進出がほぼ視野に入ってきているようだ。

メッツのファンが、球団オーナーも含めて、チームの最近のパフォーマンスに失望したとしてもやむを得ない。7月25日の段階では、メッツの戦績は51勝44敗だった。ナショナル・リーグ東地区の首位を4ゲーム差で守っていたし、『ファイブサーティエイト』によればプレーオフ進出の確率は62%だった。しかし、8月に入ると、チームの成績は大幅に下降した。今月ここまでの戦績は8勝19敗で、シーズン通算では63勝67敗となり、同地区の順位は3位にまで落ちた。『ファイブサーティエイト』によれば、現在のプレーオフ進出確率は僅か2%である。

バエズはトレード期限ぎりぎりでシカゴ・カブスからメッツへ移籍した。それ以降の成績はOPS が.710、三振率が33.3%と振るわず、特に最近はまったくタイミングの合わない空振りのシーンが話題にもなった。

報道陣からバエズのジェスチャーとコメントについて問われたメッツのルイス・ロハス監督は、試合中にその意味を知らなかったと答えた。ロハスはまた、チームに課せられた仕事は「試合に向けて準備をして、ファンが望む最高レベルのプレイを見せること」だとも言った。

「我々は勝ちたい。それは球団のため、自分たちのため、フロントオフィスのため、オーナーのため、そしてファンのためでもある。それこそが我々が集中するべきことだ。ハビアー(バエズ)はきっとこの経験から学ぶだろう。なぜならこれは彼にとって未知のことだからだ。彼が今までいた場所とは違う、ここ(ニューヨーク)に来た選手は皆が通り抜けなくてはいけないことだ。ハビアーはとても良い選手だし、とても良い青年だ。きっとこのことは彼にとって良き経験になる」

ピラーはツイッターを更新し、ファンにブーイングしていたわけでなく、ジェスチャーの意味を大げさに見ないでほしいと述べた。

メッツの別のピッチャー、マーカス・ストローマンはピラーのツイートに反応し、メディアはいつも騒ぎを起こす何かを探していると非難した。

「こんな話に振り回されるのはもうやめよう。全部フェイクの下らない噂だ。今日俺たちは勝った。それが一番重要なことだ。過ぎたことは過ぎたことだ。次に向けて準備しよう。俺たちチームはそうやってこの1年を戦ってきたのだから」

(翻訳:角谷剛)

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Edward Sutelan joined The Sporting News in 2021 after covering high school sports for PennLive. Edward graduated from The Ohio State University in 2019, where he gained experience covering the baseball, football and basketball teams. Edward also spent time working for The Columbus Dispatch and Cape Cod Times.