2週間前、私はマイク・トラウトの2014年シーズン(彼が最初のアメリカンリーグMVPを受賞した年)と、トラウトの2018年シーズンの比較をツイートした。私の趣旨は、年間最高の賞を獲得したあとでも、トラウトがどれだけ飛躍的に改善したかを示すことだった。
どういうわけか、レッドソックスファンは、そのツイートをムーキー・ベッツに対する軽視と受け取った。そして、論争になった。
ここで、その論争を更に深めようではないか。もちろん、今からシーズン終了までにはたくさんのことが変わりうる。これは最終的な順位がどうなるかを予想するものではなく、単に、この争いの形勢が現在どうなっているかを見るものである。数字は、いつものように、Baseball-ReferenceとFanGraphsの提供によるものだ。
※スタッツなどデータの数字は、原文公開日の8月7日時点のもの
1.マイク・トラウト(ロサンゼルス・エンゼルス)
成績:打率.309/出塁率.459/長打率.624、OPS+197、30本塁打、21盗塁、82得点、60打点、wRC+191、ISO.315、bWAR7.8、fWAR7.6
MVPとなり得る根拠:トラウトは野球界最高の選手としての地位をしっかりと確立した。そして、今回の手首のケガが本当に小さな問題であるならば(彼は8月6日にコルチゾン注射を受け、日々様子を見ながら出場を判断するとされている)、キャリア最高のシーズンを記録することになるかもしれない。MVPを2回受賞し、bWARが9.0以上を記録したことが4シーズンもある選手にとっては、これはものすごいことである。
もちろん、2018年のトラウトは、今年のアメリカンリーグMVPを2012~2017年までの自分自身と争っているのではないことを断っておく必要がある。彼は、すばらしい年を過ごしている傑出した選手たちと争っているのである。
そして……彼はWARでメジャートップ(Baseball-ReferenceとFanGraphs両方の計算において)であり、OPS、OPS+、出塁率、四球、出塁数、敬遠、wRC+、wOBAでも、メジャートップだ。アメリカンリーグでは、打率、長打率、ISO、得点、塁打、ホームラン、盗塁成功率で5位以内だ。
ところで、論争を起こした例の私のツイートはこちら。
Mike Trout won his first AL MVP award in 2014.
— Ryan Fagan (@ryanfagan) 2018年7月30日
In 157 games that year, he had a 7.6 bWAR, 36 homers, 16 stolen bases, 83 walks and a .377 on-base percentage.
In 106 games this year, he has a 7.9 bWAR, 29 homers, 20 stolen bases, 98 walks and a .462 on-base percentage
Yep. pic.twitter.com/1TC7FB3kJf
マイク・トラウトが最初のアメリカンリーグMVPを受賞したのは2014年
その年は157試合でbWAR7.6、36本塁打、16盗塁、83四球、出塁率.377を記録し
た。
今年は106試合でbWAR7.9、29本塁打、20盗塁、98四球、出塁率.462を記録している。そういうこと。
2.ムーキー・ベッツ(ボストン・レッドソックス)
成績:打率.342/出塁率.428/長打率.652、OPS+184、26本塁打、21盗塁、89得点、58打点、wRC+186、ISO.310、bWAR7.1、fWAR6.7
MVPとなり得る根拠:2016年のア・リーグMVP投票ではトラウトに大差をつけられての2位に終わったベッツ。だが、以下のことに注目してほしい。2018年にベッツがたたき出している成績のほとんどは、2016年のそれを霞ませる程のものだ。これは聞き覚えのある表現だっただろうか?
2016年のベッツは打率.318、31本塁打、26盗塁、OPS.897だった。今年は、現時点で打率.342、26本塁打、21盗塁、OPS1.080を(すでに)記録している。球界のベストプレイヤーの一人としてベッツを含んでいない野球談議は、今すぐ方向修正するべきだ。
さて、レッドソックスファンが好んで持ち出す話題について議論しよう。彼らが指摘するのは、ベッツは球界のベストチームでプレーしている。つまり、彼らはエンゼルスはトラウトの有無にかかわらずプレーオフ進出を逃すため、ベッツの方が有利だと言う。私は、投票権を持つ全ての人の好みを把握していると主張するわけではないが、過去の世代では“プレーオフでの跳躍”が第一に考えられていたが、今日それは、人々の優先順位リストの中では非常に低い位置づけとなっていることは自信を持って伝えることができる。私が参加した2014年のナ・リーグMVP投票でも、所属チームの最終順位は単なる補足情報に過ぎなかった。MVPとはリーグで最高の選手を称える賞であり、チームメイトが苦戦しているからといってのけ者にするのは愚かな行為だ。むしろ、ラインナップで前後の選手が苦戦しているときに攻撃面で優れた成績を上げるのは難しい。よって、エンゼルスの問題は、実際にはトラウトの後押しとなるかもしれない。
3.ホセ・ラミレス(クリーブランド・インディアンス)
成績:打率.300/出塁率.410/長打率.629、OPS+172、33本塁打、26盗塁、78得点、83打点、wRC+174、ISO.329、bWAR7.4、fWAR7.5
MVPとなり得る根拠:米スポーツ情報サイトThe Athleticのジェイソン・スタークが指摘している通り、ラミレスはア・リーグ史上初めて(MLB史上2人目)リーグ内での最多本塁打(現時点で首位タイ)、最多長打(単独首位)、最多盗塁(首位タイ)を同時に達成する選手になる可能性がある。これだけでも信じられない記録だ。さらに、彼はひたすら右肩上がりに成長している。昨年、彼は152試合でbWAR6.9、29本塁打、83打点、17盗塁、OPS.957を記録してア・リーグMVP投票3位に終わった。だが、上の段落をご覧いただければ分かる通り、今シーズンの彼は110試合出場時点ですでに昨年記録した数字を凌駕するか、その数に並んでいる。ただただ信じられない。
その他の活躍選手
フランシスコ・リンドーア(クリーブランド・インディアンス)
8月初旬の時点で27本塁打、96打点、17盗塁、bWAR6.5を記録している彼は、例年であればMVPの最有力候補となっているだろう。しかし、今年はリンドーアは良くて4番手だ。今年は、“最高”になるのが難しい年なのだ。
マット・チャップマン(オークランド・アスレチックス)
今年のチャップマンのbWARがすでに6.2を上回っていることはおそらく誰もが知らなかっただろう。彼は打撃面で非常に優れた活躍をしている(97試合出場で15本塁打、OPS+137)。しかし、エリートと呼ぶに相応しい活躍をしているのは守備面での方だ。おそらく、今年から複数年連続でのゴールドグラブ賞獲得を果たすことになるだろう。
J.D. マルティネス(ボストン・レッドソックス)
これまでにレッドソックスが獲得したフリーエージェント選手の中から、マルティネス以上に初年度から活躍した選手を見つけるのはかなり難しいだろう。彼はMLB首位タイ(ホゼ・ラミレスと同数)の33本塁打と単独首位となる93打点と塁打数261、そして、首位に迫る打率.324とOPS1.033を記録している。だが、まだ8月初旬であることと、ラミレスが指名打者としてすでにbWAR4.8を記録していることを考えてほしい。ボストンの伝説的DHのデビッド・オルティーズがシーズンを通してbWAR5.2(マルティネスが軽々と超えるであろう記録)を超えたことが何度あるかご存知だろうか? 2度のみだ。話は以上だ。
クリス・セール(ボストン・レッドソックス)
彼はア・リーグ首位となる防御率2.04とFIP2.07を記録しており、彼の奪三振数(9回当たり13.2回)は完全に常軌を逸している。ア・リーグには傑出したシーズンを送っている先発投手が多くいるが、これまでのところセールがその中で一番だ。
アーロン・ジャッジ(ニューヨーク・ヤンキース)
この論争の場では、数週間の離脱はMVPのチャンスに大きな打撃を与えることになる。ジャッジは極めて好調だが、彼もその例外ではない。
ホセ・アルトゥーベ(ヒューストン・アストロズ)
もしも彼がヒザのケガによって戦線を離脱すれば、2017年のア・リーグMVPと同じことが起きるだろう(編注:前年のMVP受賞者が故障する)。彼はまたもすばらしいシーズンを過ごしている(打率.329、OPS+141)が、長打率はわずかに落ちている。お分かりの通り、MVPに向けた競争はこれまで通り激しいものだ。
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原文:AL MVP race: Mike Trout vs. Mookie Betts vs. Jose Ramirez in incredibly compelling contest
翻訳:日本映像翻訳アカデミー