ダルビッシュの呟きから考える、日米スポーツメディアの違い

Muneharu Uchino

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現在ワールドシリーズに出場しているロサンゼルス・ドジャースのダルビッシュ有が、NPBにおける沢村賞の選考基準に疑問を呈した。

 

 

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今年の沢村賞は菅野智之(読売ジャイアンツ)が受賞したが、ダルビッシュは菊池雄星(西武ライオンズ)も受賞に値するという持論を展開した。

 

 

沢村賞は現状、プロ野球OBにより構成される選考委員5名により選出される仕組みになっている。
それ故、選考結果は彼らの主観に大きく左右されることになる。

 

 

 

たとえばMLBのサイヤング賞は、全米野球記者協会(BBWAA)の記者30名の投票により選出される。

どの記者が誰に投票したのかも、全てわかるようになっている。
納得感のない投票を行った記者がいたら「なぜその選手に投票したのか?」と説明を求められることもある。

これは日米の野球文化、スポーツジャーナリズムの大きな違いといえよう。

アメリカのメディアには原則、記事には記者の署名が入る。
「この文章は誰が書いたのか」という責任の所在を明確にするためだ。
スポーツに限らず、国際的にはジャーナリズムの基本的な姿勢だろう。

一方で、スポーツ紙など日本のマスメディアだと、無記名の記事が掲載されることも少なくない。
記者個人の名前よりも先に会社名、媒体名が出てくるため、記者の責任を追求しにくいという現実がある。

メジャーリーグでも、一部の記者による不可思議な投票が問題になることはある。
しかし、その場合は「私はこういう理由でこの選手に投票しました」という、客観的で論理的な説明を求められる。
「なんとなく」では認められない文化があるので、メディアの成熟も含めたスポーツ文化の発展につながる土壌がある。

 

 

ダルビッシュが提言するように変わっていくためには、まず日本のメディアが変わっていくことが必要なのではないだろうか?

Muneharu Uchino