スポーティングニュース選出のア・リーグ新人王はヤンキースのアーロン・ジャッジ

Joe Rivera

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ヤンキースの右翼手アーロン・ジャッジがスポーティングニュースによる2017年のアメリカン・リーグ新人王に選出された。これは同リーグのプレーヤーたち140人の投票で選ばれるもので、
スポーティグニュースでは1946年以降このアワードを発表している。

アーロン・ジャッジを放出しろ。

それは、ジャッジの2016年のデビュー当時のさえないパフォーマンスに見かねた一部のヤンキースファンが突きつけた意見だった。いきなり、ホームランでデビューするという快挙を演じたジャッジだったが、2016年のシーズンを最終的には27ゲームに出場し、4本のホームランと.179の打率で終えた。

そしてその1年後、彼はスポーティングニュースのア・リーグ新人王を、ほぼ満場一致の投票を得るまでに成長した。MLBの新人記録を塗り替える52本の本塁打を放ち、.422の出塁率、.627を長打率の成績である。ジャッジは彼の仲間のア・リーグ・プレーヤーによる140の票のうち138票を集めたのである。

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ヤンキースファンは選手の成長など待ってくれない。どんなことをしてでも勝てというメンタリティは、“ザ・ボス”のジョージ・スタインブレナーに由来するものであり、フランチャイズのあらゆる面に浸透している。スタインブレナーからの驚かされる“コア4”という制限が90年代に打ち立てられた一方、ジーン・マイケルと残りのヤンキースのフロントオフィスからの圧力をうけながら、2017シーズンのコアが必要に迫られて構築されてきた。

ジャッジはそのパズルのピースのひとつとして組み込まれていた。それは、彼がなしてきた成績から明らかだったのだ。しかし2016年はそのとおりにはいかなかった。実際に、その計画が始まる前、ジャッジはマイナーリーグにいて、この24歳のなにものでもなかった男はなんの信用も得ていなかったのだ。

ヤンキースGMのブライアン・キャッシュマン以上にジャッジの資質に対する疑いの目に、不満を抱いていたものはいない。

「アーロン・ジャッジは、1年前、100人の候補者の次にいる存在だった」と、キャッシュマンはスポーティングニュースに明かしている。「昨年の夏、サンディエゴでのフューチャーゲームに彼は招待されなかった。そのため、サンディエゴが保有してた外野手のハンター・レンフローを変わりに招待した。私はそのことに怒り、彼をここに出すべきなんだ、とわめいたよ」

ピンストライプのユニフォームを着てフルシーズンを過ごした最初の年に、ジャッジは派手な成績を残し、その2016年のフューチャーゲームに出るべき人間だったことを証明した。1.049のOPS(出塁率と長打率を足し合わせたスタッツ)、そして128得点はア・リーグトップ。127四死球もア・リーグトップである。

52本のホームランは今さら言及することもないだろう。そしてそれらとともに、MLBトップの208三振を記録している。また、8.2というメジャートップのfWAR(そのポジションの代替可能選手に比べてどれだけ勝利数を上積みしたかのスタッツをFanGraphsが算出したデータ)も残しているのだ。

ジャッジの貢献はこうした攻撃面だけではないのである。ジャッジは9度の得点機を阻止し、FanGraphsには、MLBの先発右翼手の中で5位にランクされている。

「彼は単にバッターとして貢献してきただけではないと私は言い続けてきた。彼はすでに完成された選手なんだ」と、ヤンキース監督ジョー・ジラルディはア・リーグ優勝決定シリーズ第5戦の前にメディアに話している。「彼は、ディフェンス面でも多大な貢献のできる選手だ。しかも走者としてもすぐれている。あの若さで、非常に多くの場面で適切なプレーができる。このような大舞台でもね。そうしたことを非常に注意深く処理できる能力に、私は驚かされているんだ。これ以上ないほどすばらしいよ」

しかし、フィールド上のそうした記録以上のものがジャッジにはある。グレッグ・バードとゲイリー・サンチェスがジャッジの前にMLBデビューを果たしていたが、野球選手たちのカベが彼らの前には立ちふさがっていた。

それを乗り越えるには、単にいい選手というだけではダメで、何かが必要なのだ。ジーターのファンたちはそれについて知っている。態度、カリスマ性、そしてメディアとの関係。ジャッジのそれはまさにデレク・ジーターと同じだった。

確かに、パーソナリティはベースボールの世界で勝利に直結するものではない。しかし、それはクラブハウスに必要ななにかを提供する、それも確かなのだ。ハート、クラス、勇気がこのごろのよくできた映画と本のクールなキーワードであったかもしれないが、それらが必ず何かを生むわけではない。しかし、それらはリーダーシップを若いプレーヤーの集団に持ち込むことには役に立ったのである。

ジャッジがそれらすべてのクオリティを示したことは、はじめてのシーズンを過ごしている選手として特別なことといえる。とくにニューヨークのこのチームにおいては。

「ジャッジのような仲間がいると、落ち着くんだよ」と、ヤンキースの三塁手トッド・フレーザーはア・リーグ優勝決定シリーズ第3戦のあとにメディアに話している。「まるで10年、いやそれ以上、一緒にいるようなんだ。彼はまったくでしゃばるわけでなく、ね」

アーロン・ジャッジは、ヤンキースの次の大スターになれるだろうか? それを語るにはまだ早い。

しかし、2017シーズンが示したことに沿えば、彼はヤンキー・スタジアムの外野席にたくさんの友を増やし、マウンドの上には多くの敵を作るだろう。

ジャッジのこの章の受賞はヤンキースとしては9人目。1996年のデレク・ジーター以来となる。

投票結果

1. アーロン・ジャッジ、ニューヨーク・ヤンキース:138票
2. アンドリュー・ベニンテンディ、ボストン・レッド・ソックス:1票
3. ユーリ・グリエル、ヒューストン・アストロズ:1票

今週のスポーティング・ニュース・アワード予定

月曜:新人王
火曜:年間最優秀カムバック選手と年間最優秀監督
水曜:両リーグオールスター・チーム
木曜:年間最優秀選手

原文:Yankees' Aaron Judge wins Sporting News AL Rookie of the Year

Joe Rivera