原文公開日:2018年4月24日
※データの数値は、すべて日本時間4月27日現在。
本当ならボルチモア・オリオールズは去年、2018年シーズン終了後にFA資格を得るスーパースター、マニー・マチャドをトレードに出すべきだったかもしれない。
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ご存知のとおり、それは実現しなかった。このボルチモアの野球チームは去年の4月、15勝8敗と好調なスタートを切った。オールスター休みの時点ではワイルドカードの位置からわずか4ゲーム差、ノンウェーバーのトレード期限である7月31日の朝時点では5.5ゲーム差だった。満足できるオファーがなかったのかもしれないし、奇跡的な追い込みでプレーオフに滑り込めると信じたのかもしれないが、いずれにしても彼らは昨シーズン、彼をトレードしなかった。
オリオールズはシーズンオフにもマチャドをトレードしなかった。ところが筆者は、そんな彼らを責めるつもりはないのだ。チームの幹部(そしてファン)は、2018年にワイルドカードの望みを抱いていた。プレーオフ進出の最有力候補でないことは確かだが、ボルチモア打線には本物の打力がある。ディラン・バンディはローテーション1番手にふさわしいボールを持っているし、2名のFAが加わったローテーションは少なくとも合格点には見える。ツインズは2017年、85勝でワイルドカードの座を獲得したし、シーズン中にいくつかツキが味方すれば、ボルチモアもその数字に近づくことは考えられないことではなかった。
オリオールズはこのシーズンオフ、戦力を維持してもう一度プレーオフ進出を狙うことを選択した。マチャド、ザック・ブリトン、ブラッド・ブラック、そしてチームの要、アダム・ジョーンズは全員2018年シーズン終了後にFAになるし、ファームシステムも、ほとんどのランキング機関の発表で、下から3分の1にランクされていた。そんな彼らのシーズンオフの戦略は賢明なものだったのだろうか? きっと違うだろう。しかし、私には理解できる。本当に理解できるのだ。この先数年は本当に苦しくなるという時に、プレーオフ進出争いをしようとしているチームを壊すことなどとてもできない。
だが、その2018年プレーオフ進出の望みはというと…ほとんど消えてしまった。彼らは6勝19敗(4月27日現在)。シーズンオフに、ほぼ全ての戦力を放出したマーリンズでさえ5勝しているのだ。
日々、データを更新しているファングラフスは、オリオールズのポストシーズン進出の可能性は現在0.1パーセントとしている。確かにまだ4月だし、奇想天外なことが起きたことも過去にはある。だが、オリオールズが争いから脱落して、しばらく時間が経つ。いよいよマチャドに対して決断をする時が来たのだ。その理由は、チームが悪いスタートを切ったことの他に、マチャドのバッティングが現在、絶好調ということがある。
マチャドは打率.344(メジャー5位)、ホームラン8本(メジャー3位タイ)、OPS1.092(メジャー5位)だ。昨シーズンまで三振とフォアボールの比率がキャリア通算で2.50だったが、今年は1.14(フォアボール14個で三振16個)に下がっている。fWARは1.6で、メジャー4位タイ。マチャドがMVP有力候補のようなプレーをし、ディラン・バンディ(6回先発して防御率1.42、FIP 2.82)が全ての先発投手で4位タイのfWAR(1.2)をマークしているのに、オリオールズはいまだに6勝19敗。もう、撤退する頃合いだ。
3億ドル以上のFA契約を要求できるマチャドは来シーズン、オリオールズではプレーしない。それはすでに決まっている。オリオールズはマチャド(とジョーンズとブラック)を売り込むのに、ノンウェーバーのトレード期限の7月31日まで待つべきではない。
(後編へ続く)