ポストシーズンに入り、ニューヨーク・ヤンキースのアーロン・ジャッジと、ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平のMVPレース決着への議論が本格的に始まっている。ア・リーグ記録62本塁打のジャッジと、ベーブ・ルースを遥かに超える15勝34本塁打で投打W規定数到達の大谷。両者をどう評価するのか、議論の基になる様々な分野の数字をエドワード・ステラン(Edward Sutelan)記者が解説する。
今年も喧々諤々のア・リーグMVPレース
アーロン・ジャッジはMLB史上最高のひとつに数えられるべき打撃成績を残した。大谷翔平は二刀流選手の可能性を誰もが予測できなかったレベルにまで高め続けている。
2022年MLBレギュラーシーズンが終了した今、投票者たちはこの2人のどちらがアメリカン・リーグの最優秀選手賞(MVP)に相応しいかを選ばなくてはいけない。
ジャッジがロジャー・マリスのシーズン61本塁打(1961年)を抜いたことで、多くのオッズメーカーがジャッジ有利を予想する。しかし、選考は終わったわけではない。昨年のMVP受賞者である大谷は投手成績を昨年より伸ばしながら、打者としてもリーグ屈指のパワーヒッターとして活躍したのだ。
スポーティングニュースでは、ジャッジと大谷が残したシーズン成績を多方面から解析してみた。データ元は『Baseball Savant』、『Baseball Reference』、そして『Fangraphs』の各野球データ解析サイトである。
アーロン・ジャッジ vs. 大谷翔平:パワー
大谷のパワーは2022年も並外れていたが、この分野に関してはどちらが優れているかは議論の余地がない。もちろん、MLB史上6人目となるシーズン60本塁打を達成した選手に軍配が上がる。
ジャッジの方が長打数もはるかに多く、そして平均してもっと強い打球を放った。
ジャッジ | 成績分野 | 大谷 |
---|---|---|
62 | 本塁打数 | 34 |
90 | 長打数 | 70 |
0.686 | 長打率 | 0.519 |
0.375 | IsoP | 0.246 |
95.9 mph | 平均打球速度 | 93.0 mph |
118.4 mph | 最速打球速度 | 119.1 mph |
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アーロン・ジャッジ vs. 大谷翔平:スピード
スピードに関しては優劣がつけがたい。ジャッジの方が盗塁数と内野安打数が多いが、大谷の方が足は速いのだ。
今シーズンのジャッジは盗塁数を大幅に増加させた。昨年までの6シーズンで合計盗塁数は24個だったのだ。その一方で、今シーズンの大谷は盗塁数が大幅に減った。2021年は26個だった。
ジャッジ | 成績分野 | 大谷 |
---|---|---|
16/19 | 盗塁成功/試行 | 11/20 |
10 | 内野安打数 | 9 |
27.3 フィート | 秒速 | 28.3 フィート |
4.66 秒 | 1塁到達速度 | 4.08 秒 |
アーロン・ジャッジ vs. 大谷翔平:出塁能力
パワー同様、出塁能力に関しても両者の優劣に議論の余地はあまりない。ジャッジは首位打者争いをするほどの打率を残したうえ、四球数でも群を抜いている。相手投手たちがジャッジにストライクを投げることを恐れたためだ。
しかし、打席での忍耐力に関しては大谷に分がある。大谷にはチャンスが与えられたときにそれを逃さない能力がある。
ジャッジ | 成績分野 | 大谷 |
---|---|---|
.311 | 打率 | .273 |
.425 | 出塁率 | .356 |
15.9% | 四死球率 | 10.8% |
25.1% | 三振率 | 24.2% |
29.2% | 空振り率 | 28.2% |
23.1% | ボール球スイング率 | 28.3% |
アーロン・ジャッジ vs. 大谷翔平:守備
ジャッジと大谷は2人とも守備記録を残した。ジャッジは外野手としてセンターとライトを守った。今シーズンの大谷は投手としてマウンドに上ったときだけの守備記録だ。昨シーズンは外野を守ったこともあるが。
ジャッジは、今シーズンも外野手全体で77パーセンタイルと評価された。打撃だけではなく、守備力も卓越しているのだ。
ジャッジ | 成績分野 | 大谷 |
---|---|---|
2 | アウト数平均比 | -- |
-0.6 フィート | ジャンプ力平均比 | -- |
92.3 mph | 送球速度 | -- |
アーロン・ジャッジ vs. 大谷翔平:投球
この分野は比較の仕様がない。しかしMVPの選考には大谷の投手としての成績は判断材料に入らなくてはならない。ジャッジの外野手としての守備力がそうであるようにだ。
大谷はアメリカン・リーグのサイヤング賞候補にも名前が挙がっている。スポーツブックの『Caesars Sportsbook』によると、そのオッズは+10000と可能性は低く、4位タイとなっているが。
ジャッジ | 成績分野 | 大谷 |
---|---|---|
-- | 投球イニング数 | 166 |
-- | 防御率 | 2.33 |
-- | FIP | 2.4 |
-- | 奪三振数 | 219 |
-- | 対打者打率 | 0.203 |
-- | 平均球速 | 87.1 mph |
アーロン・ジャッジ vs. 大谷翔平:貢献度指数
ジャッジと大谷を比較する方法は多数あるが、そのなかで最も重視されるべきはWAR(そのポジションの代替可能選手に比べてどれだけ勝利数を上積みしたか)やWPA(チームの勝利にどれだけ寄与したか)といった指標だろう。
大谷のWARとWPAを評価するには困難が伴う。これらの指標には大谷が生み出している余分のベンチ入り選手枠は考慮されないのだ。その枠は平均以下の選手に替わるものと思われるのであるが。
Baseball Reference とFangraphsそれぞれが算出した両者の指標は以下の通りである。大谷の指標は投手と打者に分かれて算出されている。
ジャッジ | 成績分野 | 大谷 |
---|---|---|
10.6 | bWAR | 3.4 (打者)、 6.1 (投手) |
8.1 | bWPA | 2.2 (打者)、 3.4 (投手) |
11.4 | fWAR | 3.8 (打者)、 5.6 (投手) |
7.71 | fWPA | 2.17 (打者)、 3.35 (投手) |
原文: Aaron Judge vs. Shohei Ohtani: The key stats you need to know in the 2022 AL MVP debate
翻訳:角谷剛
編集:スポーティングニュース日本版編集部
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