アルバート・プホルスはなぜ引退するのか。カージナルスのレジェンドは700本塁打挑戦は来季復帰の動機にはならないと明言

David Suggs

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今季で引退するセントルイス・カージナルスのアルバート・プホルスは、たとえ700本塁打が未達に終わっても、そのために来季もプレイすることはないという。その理由について、デビッド・サッグス(David Suggs)記者が解説する。

プホルスの引退への固い意志

アルバート・プホルスのキャリアは長く曲がりくねった道だった。

それは非常に輝かしく始まった。最初の10年はメジャーリーグの歴史でも他に類を見ないほどの個人成績で彩られている。2001年から2011年までの間に、プホルスは86.6 bWARを積み上げた。シーズン平均で約8 bWARである。セントルイス・カージナルスでの第1次在籍時代、プホルスは基本的に毎年MVP級の活躍を続けたのだ。

その後は転落が待ち構えていた。ロサンゼルス(エンゼルスおよびドジャース)におけるプホルスのキャリアは大いなる失敗となった。度重なる故障がこの比類なきアスリートを蝕み、成績不振が当たり前のようになってしまった。

プホルスの時代は終わったと誰もが思った。しかし、引退前の最終シーズンを過ごすためにブッシュ・スタジアム(カージナルズの本拠地)に戻ってきたプホルスは生き返った。主に対左投手の打者として起用されると、まるで全盛期の頃のように打ち始めたのだ。

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プホルスが本塁打を量産し始めると、ファンはさらに期待を高めていった。そう、プホルスは通算700本塁打に近づいているのだ。それだけではない。今のプホルスを見ていると、現役生活をさらに続けることもできそうだ。

しかし復活したプホルスは自らのキャリアプランを変えようとはしていない。3月に、プホルスは2022年シーズン終了をもって現役から引退することを表明した。オールスター後に打撃成績が急上昇しても、その決意に変わりがないことを繰り返し述べている。

それでは、プホルスはなぜ引退するのだろうか。スポーティングニュースはその疑問に答えてみる。

プホルスはなぜ引退するのか

42歳のプホルスは現役最高年齢のMLB選手である。そのキャリアは1999年から始まっている。単純に言えば、次のステップに足を踏み出す時なのだ。

プホルスがカージナルスに復帰したことを、全米中の野球ファンは心温まるニュースとして受け取った。「ザ・マシーン」(プホルスの愛称)が古いチームメイトであり、同じくカージナルスのレジェンドである、ヤディアー・モリーナとアダム・ウェインライトと合流し、一緒に最後のシーズンを戦うというのだ。まさにハリウッド映画のような筋書きに思えた。

プホルスは復帰について尋ねられるたび、唯一の目的はカージナルスがもう一度ワールドシリーズを制覇することに貢献するためだと答えてきた。

「私が追いかけているものが何かを知っているだろう。もうひとつの優勝リングだ。それこそが私がセントルイスとファンたちのために追いかけているものであり、今年の契約を結んだのはそのためだ」

最近の好調ぶりにもかかわらず、プホルスは今年が最後のシーズンになることを繰り返し述べている。

「私は引退する。通算本塁打が693本でも696本でも700本になっても、そのことは変わらない。その数字にはこだわってはいない。もし22年前に、私がこれだけの本塁打を打つことになるだろうと誰かが言ったら、きっとその人は狂っていると思っただろう。私は素晴らしい野球人生を送ることができた」とプホルスは『USA Today』紙のボブ・ナイチンゲール記者に言った。

プホルスはこの決断は最終的なものだとも述べた。2022年シーズンの後、フィールドに戻ってくることはない。

先月、プホルスは「私はもう十分やった。契約したときにそう発表したことを嬉しく思う。本当に、私は何も変えない」とナイチンゲール記者に言った。

どうやら、プホルス自身はメジャーリーグで成し遂げたいと願っていたことを達成したのだろう。42歳で現役生活の幕を下ろすことに満足しているようだ。

アルバート・プホルスは700本塁打に到達するか

9月20日の時点で、プホルスは通算698本の本塁打を記録している。カージナルスは今シーズンあと14試合を残している。700本目に到達するまでの時間は十分にある。

カージナルスのオリバー・マーモル監督はプホルスが700本塁打を達成する瞬間をその目で見たいと述べたことがある。しかし、今シーズンここまで、マーモル監督はプホルスを主に左投手を相手とした場面に限って起用してきた。その決断は大きな効果を生んだ。プホルスの対左投手に限った打撃成績は打率.356、出塁率.408、長打率.760なのだ。1.168 OPSとはアーロン・ジャッジの対左投手OPSより100ポイント以上も高いのである。

プホルスはさらに調子を上げてきている。スポーティングニュースのシミュレーションでは、プホルスが今シーズンここまでのペースを守れば、700本塁打に到達する確率を40.9%と予測している。

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もしプホルスがカージナルスの残り全試合に出場すると、その確率は62.2%にまで上がる。プホルスに運が味方する可能性は非常に高いと言えるだろう。

原文: Why is Albert Pujols retiring? Cardinals legend says pursuit of 700 home runs won't motivate 2023 return
翻訳:角谷剛
編集:スポーティングニュース日本版編集部

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David Suggs is a content producer at The Sporting News. A long-suffering Everton, Wizards and Commanders fan, he has learned to get used to losing over the years. In his free time, he enjoys skateboarding (poorly), listening to the likes of Stevie Wonder, Marvin Gaye and D’Angelo, and penning short journal entries.