なぜ2021年オリンピックの野球米国代表チームにMLB選手が含まれていないのか

Joe Rivera

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もしこの夏、あなたがオリンピックの野球競技で米国代表チームの試合をテレビ観戦していたら、多分こんな疑問が頭に浮かぶことだろう。

その疑問とは、「この選手は一体誰なの?」である。

オリンピック野球米国代表チームには何人かのジャーニーマン(MLB球団をいくつか渡り歩いた選手)がいることはいるが、ベンチ入りしている選手たちのほとんどはメジャー経験がないマイナーリーグ選手で占められている。

残念なことに、野球界を代表するスター選手たち、つまりマイク・トラウト、ブライス・ハーパー、アーロン・ジャッジらのような選手は、日本で金メダルを狙う米国代表チームに名を連ねていない。

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野球界の最高峰にいる選手たちがオリンピックに参加できない理由は極めてシンプルだ。
 

MLB選手がオリンピックに参加しないのはなぜか?

WWE(世界最大のプロレス団体)のビンス・マクマホン代表がかつて言ったように、「すべてはカネだ」、である。

日本のトップ野球組織である日本プロ野球はオリンピック期間中に公式シーズンを中止している。その一方で、MLBは自分らが抱えるスター選手たちを米国代表チームに送り込むために2週間の休止期間を設けようとはしない。ほとんどのMLBチームは傘下のスター選手たちがオリンピックで競技することを望んでいないのだ。

2020年、MLB機構、MLB選手会、そして国際野球連盟はあるルールに合意した。メジャー40人枠に入っていない選手のみにオリンピック参加を認めるというものだ。つまり若手有望株選手たちは参加することができるということだ。その選手がメジャー40人枠に入っていなければ、ではあるが。

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単純に言えばこういうことだ。MLBとそのチームは、スター選手たちを他の場所でプレイさせたり、あるいは長期に及ぶ怪我のリスクにさらさせることで、金を失いたくないのだ。

結局は、最盛期を過ぎた元MLBオールスター選手たちと若い有望株選手たちでチームを作りあげることになる。ファンは特に感心はしないだろうが。

オリンピックにスター選手たちを派遣しない代わりに、MLBは野球を発展させるために別の世界大会を開くことを提案した。それがワールド・ベースボール・クラシック(WBC)だ。WBCは今までに4回開かれた。いずれも春季キャンプが始まる前か、その最中にである。2020年に予定されていた大会は新型コロナウイルスの影響で延期となり、次回の予定は立っていない。

オリンピックに参加できないことに不満を持つスター選手もいる。フィラデルフィア・フィリーズのブライス・ハーパー外野手もその1人だ。

ハーパーは2020年にスポーツ専門局『ESPN』の取材に応じ、「これは僕にはまるで喜劇に見えるよ。2020年オリンピックが日本で行われる。そこにメジャー選手たちを派遣しない? 冗談だろう?」と述べている。

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「野球と言うスポーツをできるだけ発展させたいと望みながら、たった2週間分の金を失いたくないと言うだけの理由で、僕たちがオリンピックに出場することを許可しない? まったく馬鹿げているよ」ともハーパーは言った。

(翻訳:角谷剛)

Joe Rivera