なぜ、今季のMLBストーブリーグは動きが鈍いのか?(後編)

Ryan Fagan

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1. ぜいたく税の懸念

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しかしこれは、多くの球団に影響を与えるものではない。2017年にぜいたく税を支払ったのは、6チーム(ロサンゼルス・ドジャース、ニューヨーク・ヤンキース、デトロイト・タイガース、ボストン・レッドソックス、シカゴ・カブス、サンフランシスコ・ジャイアンツ)に留まったからだ。年俸総額トップ2の球団、ドジャースとヤンキースは、2018年はぜいたく税の基準額(1億9700万ドル)を超えないことを目標にしており、そのことがFA市場へのアプローチに影響を与えている。現時点では、ニーズに合うFA選手がいたとしても、2チームとも獲得には動いていない。高額な投手を獲得するよりも、年俸を基準額内に抑えることの方が重要だと考えながら、今はじっと待っているのだ。レッドソックスは、2018年もまた、基準額を上回ることになるだろう。特にマルティネスを獲得した場合は確実にオーバーする。しかし、基準額を大幅に上回って、ペナルティを多く支払うことは回避するはずだ。パーフェクトな補強だと思われたエリック・ホズマーの代わりに、一塁手のミッチ・モアランドと再契約を結んだことからも、それは明確だ。

ヤンキース、ドジャース、レッドソックスとタイガースのようなチームがFA市場に積極的でない理由はこうだ。エージェントは、速やかなオファーと決断を彼らに強要できないからだ。例えば、「明日になれば、ヤンキースが8000万ドル出すから、今日のうちにアレックス・カッブと7000万ドルで契約すべきだ」とは言えない。これは1つの例に過ぎないが、もちろん我々は、実際に何が起きているのか知る由もない。アリエータとダルビッシュからハウィー・ケンドリックとオースティン・ジャクソン、マット・ガーザとラージャイ・デービスに至るまで、同じことが言える。これが大きな原因ではないかもしれないが、一因であることは確実だ。

2. 辛抱強いフロント

市場には非常に多くの選択肢があるため、チームは選手をじっくりと吟味している。先発投手が欲しい場合、かなりの金額を出せばアリエータやダルビッシュが獲得できる。リン、カッブ、アンドリュー・キャッシュナー、ジェイソン・バルガス、ジェレミー・ヘリクソン、ハイメ・ガルシア、R.A.ディッキー、ウェイド・マイリー、クリス・ティルマンも獲得可能だ。1億5000万ドルをアリエータもしくはダルビッシュに使うか、もしくは同じ1億5000万ドルでカッブとリンを獲得する方がいいのか?もしくは、12月にアリエータもしくはダルビッシュを1億5000万ドルで獲得するのか、1月末まで待って、1億2000万ドルに減額することを願った方がいいのか?

彼らが辛抱強く待っている理由の1つは、間違いなく、FA市場のトップ選手の多くに疑問符がついているからだ。アリエータとダルビッシュは優れた投手だが、彼らには問題がある。故障や大きい舞台での弱さだ。2017年、マルティネスは確かに活躍したが、守備はいまいちで、数年後にはDHになるかもしれない選手である。ナ・リーグのチームがそのような選手に多額な報酬を支払うかどうか悩むのは当然だ。ホズマーは素晴らしい選手だが、1億5000万ドルは高すぎる。彼は年間本塁打が25本を超えたことはなく、2016年のOPSは.761で、その年の一塁手の平均OPS.781を下回っている。その他も枚挙にいとまがない。「あの選手と契約しておけば良かった」と後悔する要因は、それほど大きくない。

1つか2つの契約が締結されれば、ドミノが倒れるように契約ラッシュが訪れるかもしれない。しかし辛抱強いフロントは、まだ事を起こさない。2週間ほどは動きがないかもしれない。注目すべきは、このスローダウンの原因の1つに、チーム間の結託がうわさされていることだ。その基本的な兆候があることは理解している。今オフがそれを見極める指標になるとは思わないが、来季のオフシーズンも同じように動きが鈍い場合、その陰謀論も間違ってはいないだろう。

3. 来季のオフシーズンの要因

我々は2018年のFAについて延々と話をしてきた。

リスト上位の選手だけでなく、15位から30位までの大きな影響を与える選手についても取り上げた。今オフの出費を抑えて、次の11月と12月に大金を使うというのなら、実に納得がいく。マイク・ムスタカスのためにぜいたく税を支払う価値はないが、その資金でマニー・マチャドを獲得する価値はある。同じことが、アリエータ/ダルビッシュとクレイトン・カーショウとダラス・カイケルにも当てはまる。ヤンキースが、2018年シーズン、三塁手のトッド・フレイジャーと3年契約を結ばなかった理由は、マチャドもしくはジョシュ・ドナルドソンとの2019年以降の長期契約を望んでいるからだ。

今オフに契約に至った選手たちを見れば納得できるだろう。たくさんのリリーフ投手がFA契約を成立させている。優勝争いに絡むチームなら、リリーフ投手は何人でも欲しい。しかし、三塁手や外野手や一塁手は多すぎても困るのだ。

(完)

原文:MLB trade rumors: Why has this Hot Stove season moved at a glacial pace?

翻訳:Atsuko Sawada

 

Ryan Fagan

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Ryan Fagan, the national MLB writer for The Sporting News, has been a Baseball Hall of Fame voter since 2016. He also dabbles in college hoops and other sports. And, yeah, he has way too many junk wax baseball cards.