くだらない? ツインズが相手のバントにご立腹のワケとは【後編】

Ryan Fagan

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その後、ドジャーの発言に対する反発は早かった。が、それは予想通りだろう。なぜなら、世間は野球の不文律に対して激しく非難するのが大好きなのだ。格好のカモだ。9回でルーキーのシスコがセーフティーバントを打ったことに対してなぜドジャーは納得できないのか? たとえ何回でも、どんな点数でも、塁に出ることが野球というゲームではないのか?

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記者団はそれらの反発に対してドジャーに質問した。

「オリオールズは、ツインズが盗塁するつもりがないと考えてランナーにリードを許した」とドジャーは地元紙「パイオニア・プレス」に語った。「セーフティーバントを打ったり、盗塁や、点を入れることも簡単にできた。世間はこの出来事の本質を理解していない」。

その言い分は理解できる。オリオールズは8回裏で0-7、2アウトをとったあとツインズのライアン・ラマーを一塁で抑えなかった。その引き替えに、ラマーは盗塁や点を入れることを試みなかった。オリオールズは公の場では負けを認めていなかったが、似たようなものだった。

しかし、シスコが打席に立ったとき、ツインズは守備シフトを敷いた。ツインズはシスコにヒットを打たせるのを阻止しようとしていたのだ。だが、結果的にそれが仇となり、三塁線が空いてしまったのだ。

ツインズはシスコに対して戦略を打ったが、シスコがその戦略を利用するとは予測できなかったのか?

正直くだらないし、偽善的だ。

もし、ツインズが定位置で守備を敷いていて、シスコがセーフティーバントを試みたらどうなっていたか? 不愉快に思うだろうが、シスコのセーフティーバントは守備シフトに対しての模範的な行動となった。シスコはチャンスを逃すつもりはなかったし、三塁手にとられるつもりもなかった。シスコのバントは強かった。もし、ツインズが定位置についていたら、恐らくシスコが一塁に到達する前にアウトになっていただろう。

ツインズはシスコをアウトにしたかった。そしてシスコは一塁に早くつきたかっただけだ。

野球とは、そういうゲームだ。 

(完)

原文:Baseball's unwritten rules: Why Twins were upset with Chance Sisco's bunt, and why they were wrong
翻訳:日本映像翻訳アカデミー

Ryan Fagan

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Ryan Fagan, the national MLB writer for The Sporting News, has been a Baseball Hall of Fame voter since 2016. He also dabbles in college hoops and other sports. And, yeah, he has way too many junk wax baseball cards.