UFC代表ダナ・ホワイトに直撃インタビュー

Michael McCarthy

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UFCがペイパービュー以外ではテレビ放映を禁止されていた頃、ダナ・ホワイトは10年以上も配当金を支払うという戦略的決定を下していた。
 
積極的に攻める姿勢を持つUFC代表は、2005年に米ケーブル局『スパイクTV』で放映を開始したリアリティー番組『The Ultimate Fighter(ジ・アルティメット・ファイター)』を誕生させた。ホワイトは、初めてケーブルテレビで総合格闘技を放映するためにリスクを取ったのだ。

この過程で、ホワイトはより重要なものを生み出している。それが『TUF』。現在、米テレビ局『Fox Sport』のチャンネル『FS1』で放映されている、ファーム制度でありUFCのための国内マイナーリーグだ。マイケル・ビスピンやネイト・ディアス、そしてラシャド・エヴァンスなどの未来の王者への流れを、ホワイトは確実に構築した。

10年以上の時間が経ち、彼は『Dana White's Tuesday Night Contender Series』でも同様の手法を用いている。この新番組はUFC会員向けOTTサービスであり、新しいオーナーとなる米エンターテイメント企業『WME/IMGグループ』の大規模なOTT戦略の一部でもある。

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昔からある番組を作るのは簡単だ。この番組では各回、ラスベガスでの試合を放映している。ファンではなく、友人や家族だけが観戦する。将来有望な選手や自身のキャリアに弾みをつけたいベテラン選手が出場している。

いわゆる「ショルダー番組」と呼ばれ、大きな試合のための番組としてカギを握っている。ファンはペイパービュー(有料放送)を見るため、高い視聴料を支払う前に選手のパーソナリティを知りたがっている。

ホワイトは「コンテンダーシリーズ」にヒップホップを合わせることを思いついた。視聴者はUFC殿堂入り選手ユライア・フェイバーの試合開始の声と共に、アイコン的ラッパーのスヌープ・ドッグが解説する別の画面をクリックし見ることができるものだ。

全会員がこの「スヌープカメラ」のファンではない。軽量級のアル・アイアキンタは、スヌープが選手達をからかうこの手法を好んでいない。

ホワイトはもちろん、スヌープは「スゴイ」と話している。

スポーティングニュースでは、「Snoop-Cam」についてホワイトのインタビューを行い、同時に8月26日(日本時間8月27日)のコナー・マクレガー対フロイド・メイウェザーJr.のボクシング対決について、そして米テレビ局『Fox』とのUFCの放映契約について話を聞いた。

Sporting News(以下、SN):ケーブル番組で「アルティメットファイター」で行ったことを「コンテンダーシリーズ」を通してデジタルでも実行する。つまり、各選手のパーソナリティを前面に押し出そうとしているのでしょうか。

ダナ・ホワイト(以下、DW):そのつもりだよ。多くの才能ある選手がいる。全員と契約することはできない。私は外に出て、そのタレントを見つけていた。新しい才能を作り出すのに役立つ番組を始めることを考えていたんだ。LA(ロサンゼルス)でのパーティー会場で偶然、スヌープに出会った。スヌープは「やあ、試合の解説をしたいと思っているんだよ」と、言ってくれたんだ。そこで、「君に解説してもらいたいよ。けれど、試合解説は難しいよ」とも、伝えたんだ。それで、私はこのコンセプトを実行すべく取り組み始めたんだ。こうやって、「コンテンダーシリーズ」を考えたんだ。

SN:それで、どうやってスヌープは、新生「ハワード・コーゼル(毒舌で有名なスポーツキャスター)」になったのでしょうか。

DW:確かに素晴らしいよ。最初から録画された試合であることに注目してほしい。ボクシングやボクシングの番組を見るなら、実際に、その時に行われている試合を見る。することは皆一緒だろう。1975年から『HBO(米テレビ局)』でボクシングの試合を見ているなら、変わったことは高画質になった、と言うことだけだ。全く一緒なんだ。何も変わっていない。スポーツというボクシングのコンテンツ、もしくは制作に限っては何も新しいものを生み出してはいない。私がいつもしたいと思っているのは、ファンのために全く違う観戦方法を生み出すことなんだ。戦いとともに出来ることはたくさんある、というだけなんだ。だから、私はいつでも改革を進め、何か違って新しくて面白い、興奮を誘う何かを見つけようとしているんだ。

SN:テレビでは、スポーツが成長傾向にあり、視聴者にアナウンサーやカメラアングル、チームなどの選択肢を増やしています。

DW:もちろんそうです。誰もが、「Snoop-Cam」を見るという選択ができるんだ。親しい友人と一緒にソファに座って、スヌープとともに試合について話すことができる、というような感じだよ。その後、今までのように詳しい解説で見ることもできる。

SN:フロイド・メイフェザー対コナー・マクレガーの記者会見を、最高の席で見ることができました。これは凄い事なんですよね。

DW:信じられないほど素晴らしいことだ。私や現場にいた人だけでなく、ファンやメディアからの反応も素晴らしいものでした。私や熱狂的で、真面目な格闘技のファンにとって4つの都市、そして3カ国で2人の素晴らしいメンタルの駆け引きを見ることが出来た。ファンが詰めかけていたんだ。私にとってはとても特別なチャンス。素晴らしい体験だった。どのプロダクションにも属していなかったから、私は何もする必要なかった。その場に行って、会見聞く。私がすべきことはこれだけだった。

SN:2人の選手やその周囲、殴り合いやイスが使われる等の心配はありましたか。

DW:初日にして、私は普通じゃない場所に足を踏み入れていました。ブルックリンでは今までで一番白熱していたのは明らかだったし、激しい乱闘になるところだった。その後、ロンドンではコナーはフロイドの頭に触れたんだ。私はそれにスリルを感じなかったね。

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SN:UFCは『Fox Sports』と『FS1』と良い関係を保っていますか。

DW:最初からずっと『Fox』とは素晴らしい関係だった。『Fox』は放映したいと考えていたネットワーク局だったからね。彼らの仕事にはとても満足しているよ。

SN:『Fox』とUFCの7年間にわたる契約は2018年に満了しますね。『Fox』と契約を続けたいと考えているのでしょうか、それとも複数のテレビ局から選ぶつもりですか。

DW:分からないね。最後、どう終わるかを見るつもりだ。正直なところ、この件に関してアリ(・エマニュアル、WME/IMGの共同CEO)よりも適任者はいると思うかい? アリがUFCを買収しなかったとしても、アリが私のためにこの件を進めていたと思うよ。

SN:第2のコナーやロンダ・ラウジーとなる選手がいると思いますか。

DW:私は第2のコナーやロンダがいるとは思っていない。別のビッグスターは出てくるだろう。けれども、現時点ではこの2人のような選手はいない。4年前、誰も彼らのことなど知らなかった。フロイドについて望むことは言えるはずだ。フロイドがデビューして4年の頃にコナー・マクレガーと近いレベルにはいなかったし、コナー・マクレガーが稼ぎだすほどの金額を稼いでもいなかった。

コナーのことはユニコーンと呼んでいるよ。彼と同じような選手は決して現れない。しかし、別のスター選手なら出てくるだろう。それが、私に出来ることなんだ。私のビジネスと過去6年間してきたことを見ると、皆いつでも「チャック・リデルが引退したら大変だろう。その後、何をするつもりなのか?」といった言葉や「ジョルジュ・サンピエール引退の時も、UFCはどうなるか?」などを聞いてきた。もちろん「アンデウソン・シウバの引退の時には、どうなるの?」とも聞かれたよ。答えは「ああ、他のスター選手が出てくるよ」だったよ。

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SN:マクレガーやラウジーのように活躍していく新しい才能を見つけるために、「コンテンダーシリーズ」のようなTV番組に出来ることはありますか。

DW:もちろん。私がいる限り、すべきことのひとつなのが、新しい才能を見つけることだ。可能な限り、同じものではなくクールな戦いをたくさん見せれるよう新しい道を作り出し、見つけていくつもりだし、新しい才能を発掘するためのパイプラインもいつでも探していくよ。

 

Michael McCarthy

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Michael McCarthy is an award-winning journalist who covers Sports Meda, Business and Marketing for Sporting News. McCarthy’s work has appeared in The New York Times, Sports Illustrated, The Wall Street Journal, CNBC.com, Newsday, USA TODAY and Adweek.