メイウェザーが直面した7度の危機

Brendan Bradford

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49戦無敗のフロイド・メイウェザーはこれまで20年間、全く負ける気配を見せなかった。

40歳のメイウェザーは今週末(日本時間8月27日)、UFCのスーパースター、コナー・マクレガーとラスベガスのTモバイル・アリーナで対決する。勝利すれば、ロッキー・マルシアノの49戦無敗の記録を超える。

一方、マクレガーはメイウェザーをノックアウトして誰も成し得なかった偉業を達成すると豪語している。

マクレガーはこれまでも恐れを知らない言葉を発し、多くの場合、それを実現して見せた。

しかし、メイウェザーはジョゼ・アルド、エディ・アルバレス、チャド・メンデスといった総合格闘技の選手とは違う。メイウェザーは生涯で一度しかノックダウンを取られていない。しかもそれは疑わしい判定だった。

メイウェザーの鉄壁の防御を打ち破ることは本当に不可能なのだろうか?

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100%不可能とは言えない。メイウェザーこれまで7度、敗北の危機に直面したことがある。


<2001年3月26日 対カルロス・ヘルナンデス戦>

WBCスーパーフェザー級の7度目の防衛戦。メイウェザーは6ラウンドでヘルナンデスの頭部にフックを浴びせた際、左手を負傷した。当時「プリティーボーイ」のニックネームで知られていたメイウェザーは痛みをこらえながら背中を見せ、グローブをマットに付けた。レフリーのデール・グレーブルはノックダウンを判定し、8カウントを数えた。結局、審判員の全員一致の判定でメイウェザーが勝利している。

これがメイウェザーが生涯で唯一、判定を受けたノックダウンだった。

<2002年4月20日 対ホセ・ルイス・カスティージョ戦>

メイウェザーは全員一致の判定勝ちだったが、ボクシングファンや専門家はカスティージョが不当な扱いを受けたと考えている。おそらくそれは正しいだろう。この時、練習中に肩を故障していたメイウェザーは序盤、優位に試合を進めていたものの、カスティージョは中盤以降、アッパーでメイウェザーを凌駕していた。

メイウェザーにとって初のライトウェイト級の(135ポンド)試合だった。『コンピュボックス(ボクシングのスタッツ会社)』によると、パンチの合計数はカスティージョが203とメイウェザーの157を大きく上回っていた。メイウェザーはこの年の後半、カスティージョと再戦して再び勝利している。

<2004年5月22日 対でマーカス・コーリー戦>

サウスポーのコーリーは第3ラウンドと第4ラウンドで強力な左ストレートを何本も浴びせ、メイウェザーは防衛能力の真価が問われた。

メイウェザーは一方的な全員一致の判定で勝利した。だが、専門家の多くは、より大きなサウスポーはメイウェザーの弱点になりかねないと指摘している。まさにマクレガーがそうである。

<2006年4月8日 対ザブ・ジュダー戦>

メイウェザーはこのウェルター級のタイトル戦で全員一致の判定勝ちを果たしたものの、序盤の数ラウンドではジュダーに打ち込まれた。第2ラウンドでメイウェザーは、サウスポーのジュダーが繰り出すチェックフックを食らい、グローブがマットをこすった。レフリーのリチャード・スティールは、メイウェザーがすべって転んだと判断し、生涯2度目のノックダウンは免れた。

ジュダーは第4ラウンドで再びメイウェザーをとらえたが、メイウェザーは後半、優勢に試合を進めた。

「メイウェザーはサウスポーに弱い」という説は、この試合が根拠になっているようだ。

<2010年5月1日 対シェーン・モズリー戦>

これもメイウェザーの全員一致の判定勝利だったが、序盤に波乱があった。モズリーは第2ラウンドで右のオーバーハンドパンチを見舞い、メイウェザーは立っているのが精一杯という状況になった。このラウンドの終盤にも大きな打撃を受けた。

だが、メイウェザーが劣勢だったのはこのラウンドだけだった。結局、118-109、119-110、119-110と3-0の全員一致によるメイウェザーの判定勝ちで幕を閉じた。

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<2012年5月5日 対ミゲール・コット戦>

メイウェザーのピンチはたくさんありすぎて、どの時点が一番危険だったかを指摘するのは難しい。だが、非常に珍しいことに、メイウェザーの鼻から出血したのは激しい戦いだったことを物語っている。序盤で傷つき、コットと互角の戦いを強いられたが、次第に調子を取り戻して全員一致の判定勝利をもぎ取った。後日、メイウェザーはコットに、これまでの生涯で最も困難な戦いだったと述べている。

<2012年9月13日 対マルコス・マイダナ戦>

先に行われた初戦でメイウェザーはマイダナを甘く見た結果、ギリギリの判定勝ちにもつれ込んだ。この第2戦では、メイウェザーは第3ラウンド終了間際にマイダナの強力な右のオーバーハンドパンチを食らってぐらついた。ラウンド終了間際の一瞬の隙を突かれたミスだった。その後は冷静な試合運びで全員一致の判定勝利を奪った。

これらの試合から判断すると、マクレガーは序盤から攻め込み、卑劣な乱闘に持ち込むことが重要だろう。

彼にそれができるかどうかは、また別の問題だが。

 

Brendan Bradford