6月19日、国内キックボクシング団体の『RISE』と『K1』による対抗戦『THE MATCH 2022』(東京ドーム)で、RISE世界フェザー級王者・那須川天心(なすかわ てんしん)とK1ワールドGPフェザー級王者の武尊(たける)による『世紀の一戦』が行なわれ、天心が5-0で判定勝利。5万6000人を超える観客が見守るなか、ボクシング転向前のキックボクシングラストマッチを有終の美で飾った。
キックボクシング界の最強ファイター同士のライバルストーリーが、約7年の歳月をかけてついに決戦の地にたどり着いた。
天心が所属する『RISE』と武尊が所属する『K1』は、同じ国内キック団体としてライバル関係にあり、天心が武尊との対戦実現を掲げた当時は、容易に交われる状況にはなかった。しかし、2018年頃から武尊からも天心を意識する発言が表立ち、次第に組織同士でも両者の対決に向けて動き出すと、2021年12月24日、正式に天心vs武尊が決まった。
その約半年後となる6月19日、世紀の一戦の舞台となる『THE MATCH 2022』は東京ドームという国内最高の舞台で実現した。日本のキックボクシング(立ち技格闘技)界においても久しぶりのメガイベントであり、天心vs武尊以外にも、RISEとK1の精鋭たちによる全16試合が組まれた(全試合3分3ラウンド・延長1ラウンド制)。
フジテレビによる地上波放送が5月31日に突如キャンセルされ、ABEMA PPVによる有料視聴の独占生中継のみとなったものの、大会のチケットは最前列の300万円シートを含め、即日完売。当日の発表によると入場券売上となるゲート収入は約20億円に達したという。さらに発表された5万6000人を超える観客動員は、コロナ禍で苦境にある興行界においては、まさしくメガイベントたる数字となった。
11時のオープニングマッチから約11時間に及んだイベントは、世紀の一戦に向けて次第にボルテージをあげていった。リングサイドにはフロイド・メイウェザーとのエキシビション戦が決まった朝倉未来、K1レジェンドの魔裟斗ら格闘技関係者をはじめ、天心の親友である東京五輪スケートボード金メダリストの堀米雄斗や、長嶋一茂、菅田将暉、EXILEのTAKAHIRO・武井咲夫妻、横浜流星ら芸能関係者、HIKAKINやはじめしゃちょーら有名YouTuberらが見守った。旧K1やPRIDE、RIZINの系譜を感じさせる壮大な煽りVTRを経て、武尊から入場となった。
【🔴LIVE】#THEMATCH2022
— ABEMA(アベマ) (@ABEMA) June 19, 2022
ついにこのあと 天心VS武尊⚡️
多くの著名人らも見守る
"世紀の一戦"
那須川天心か、武尊か、#THEMATCH 2022で
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18日の前日計量では、天心は57.95kg、武尊は58kgのリミットでクリアしたが、普段60kgで戦う武尊にとってはシビアな減量だった。計量後の会見では、これまでで一番厳しかったと明かし、「(フェイスオフ)でポーズを決めるのもつらかった」と話した。
一方、矢沢永吉の『止まらないHa〜Ha』で入場した天心は、前日の会見で、この一戦をボクシング転向ラストマッチという意味合いも込めて、「漫画で言う最終回」と表現した。両者が今後再戦することはないことから、リベンジの機会のない戦いとなる。両者が対峙すると、東京ドームに轟くような歓声があがった。
【🔴LIVE】#那須川天心 vs #武尊#天心武尊 戦が開幕🔥
— ABEMA(アベマ) (@ABEMA) June 19, 2022
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【 天心vs武尊 】
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6年の熟成を経たこの戦いに"続編はない"
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第1ラウンド開始となると、天心が距離を取り、踏み込みとカウンターで流れを作ろうとする。インファイターの武尊は様子をうかがいながらも間合いを詰めるが、ラウンド終盤、強引すぎたか、天心のフルスイングのカウンター左フックでダウンを奪われた。
ゴングに救われた武尊は、第2ラウンドで仕切り直しをはかるが、接近戦で両者がバッティングし、天心が右額をカットし流血してしまう。ドクターチェックが入ると場内は固唾をのむが、試合続行へ。その後も武尊はなりふり構わずインファイトに持ち込み、クリンチから上手投げのようにして天心をマットに倒した。武尊はこれで警告を受けた。
第3ラウンドも泥臭い接近戦で体力を削りにくる武尊に対し、天心はカウンターで確実に当てていく。打たれながらも前に詰めていく武尊だが、パンチが空を切る回数も多く、決定打を与えられない。最終ラウンドは大歓声のまま時間切れ。5人のジャッジ全員が優勢と評価した天心が判定勝ち(5−0)となった。天心は涙を流しながら「出会えて良かった」と口にし武尊と抱き合うと、武尊も第2ラウンド以降の荒れたファイトについてか「ごめんな」と詫びると、万感の表情で「頑張ろうなお互い」とつぶやいた。
42戦42勝0敗という記録でキックラストマッチを終えた天心は、「本当に本当にありがとうございます!」と武尊や関係者、そしてファンに感謝すると、「幸せです」と感無量の言葉を述べた。自身が去る日本キックボクシング界にこの盛り上がりを終わらせないで欲しいと願うと、最後にこの日が『父の日』ということで、父・弘幸さんとも抱き合った。
試合後、天心は「すべて終わったという感じです」と話し、しばらく格闘技から完全に離れて休養する意向を示した。本格的なボクシング転向のスケジュールは現段階で明らかになっていない。
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