メディーナスピリット、再検査でも禁止薬物陽性…バフォート調教師のキャリアにも影響か

神宮泰暁 Yasuaki Shingu

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現地時間5月1日開催の米国クラシック3冠のひとつであるケンタッキーダービーを制した、メディーナスピリットの禁止薬物再検査の結果が陽性だったことが同6月2日に判明した。複数の欧米メディアが伝えた。これによりメディーナスピリットの優勝取り消しが確定的となった。

ダービー翌日の検査で、レース2週間前からの投与が禁じられている禁止薬物のベタメタゾン(ステロイド系抗炎症・免疫抑制薬)の反応が出た。この時点で米国競馬回で殿堂入りする著名な調教師で知られるボブ・バファート氏には、ケンタッキーダービーなどを主催するチャーチルズダウン社の競馬場への2年間の管理馬出走停止が出ていた。5月9日、バファート氏は不正行為を否定し、メディーナスピリットの皮膚感染症治療のための軟膏にベタメタゾンが含まれていたと主張していた。

今回の再検査でも陽性という結果を受け、チャーチルズダウン社はバフォート氏に対し、無期限の出場停止を下した。同5日開催の3つ目の3冠戦ベルモントステークスへの出走許可も降りず、さらには2023年まで米国の大きなレースに参加できなくなる。

英高級紙『The Guardian』は、チャーチルズダウン社代表のビル・カースタンジェン氏の声明をとりあげ、「馬と騎手の安全を危険にさらしたり、スポーツの完全性を危うくする行為や薬物違反は容認しない」という断固とした姿勢を示した。「サラブレッド競馬に対する世間の信頼とケンタッキーダービーの評判を脅かしている」という言葉にその強い憤りが滲んでいる。

メリーランド州、ニューヨーク州の競馬場もチャーチルズダウン社の決定に追随することが予想され、同紙は、三冠を達成した名調教師であるバフォートのキャリアに引導を渡す可能性があるとも指摘した。

対するバファート氏側も反証のための追加検査を行い、関節に注射されたものではなく治療用軟膏が原因であることを証明しようとしている。しかし、ケンタッキー州の規則では、関節への注射と軟膏の違いなどで罰則を区別していないため、ベタメタゾンの陽性反応が出れば即ち失格になるという認識が持たれているようだ。

現段階では今も調査が進行中であるとされ、ケンタッキー州競馬委員会は「公正さと透明性を重視し、調査の終了時にメディアと一般の人々に情報を提供する」という声明にとどめている。

このままメディーナスピリットの陽性が認定されケンタッキーダービー失格・優勝取り消しが確定すると、1968年のダンサーズイメージ以来、2例目となる。

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神宮泰暁 Yasuaki Shingu

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日本編集部所属。ボクシング・格闘技担当編集者。