性的虐待の米体操チームドクターに禁錮175年

Bob Hille

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1月24日、米国体操協会およびミシガン州立大学体操部の元医師ラリー・ナサールが性的虐待で禁錮40~175年を言い渡された。この事件により、数年間はスポーツ界に波紋が広がるだろう。

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ローズマリー・アキリーナ裁判官が判決を読み上げ、長い1週間が終わった。ミシガン州インガム郡巡回裁判所では、7日間で156人の被害者自身による証言が行われ、7件の性的虐待行為が認められた。ナサールは無罪を主張していた。

裁判官は、法廷にいた被害女性らに対し、「あなた方はもう被害者ではありません。サバイバー(生還者)なのです」と語りかけた。

このサバイバーの最後の1人が火曜に証言をした。インディアナポリス・スター紙でナサールの性的暴行を初めて公にした元体操選手のレイチェル・デンホランダーだ。デンホランダーは「女性たち、少女たちが一丸となって自分たちのために戦ったのは、他の誰もがそうしようとしなかったからです」とナサールに直接語りかけた。

54歳のナサールは児童ポルノ所持によってすでに禁錮60年の判決を受けていたが、裁判官からさらに最低25~40年の禁錮をつきつけられた。そして裁判官は判決を下す際、最低の中でも長期の方を選んだ。ナサールは、ミシガン州イートン郡で告発された3件の性的虐待でも無罪を主張しており、インガム郡での裁判の後、それらの件についても判決を受ける予定である。

「今あなたの死の宣告に署名しました」と裁判官は言い、ナサールが彼女に向けて書いた手紙を読んだ。その手紙の内容は、ナサールが自分の行いに対して反省していないことを裏付けるものであった。

ナサールは判決前、彼を非難した法廷の女性たちに、「あなた方の言葉は、私の感情に甚大な影響を与え、芯まで私を揺さぶりました。同時に、私が感じているものは、あなた方皆さんが感じている痛みやトラウマ、精神の崩壊とは比較にならないことも理解しています」と語った。

「起きてしまったことに対する私の謝罪の気持ちの大きさと深さを言い表すことはできません。書くことも伝えることも不可能です。残りの日々、あなた方の言葉と共に過ごします」

はっきりしているのは、ナサールの残りの日々のほとんどは、確実に格子の向こう側にあるということだ。証言を聞いた痛ましい1週間の中で、裁判官は犠牲者の1人にそう言った。

この事件では多くの女性が証言したが、そのほとんどはかつて、練習中や大会で負った負傷を治療してもらうために、専属の医師であったナサールと会っていた。彼女たちはナサールの虐待によりうつ状態や不安に悩まされ、医師を信用するのが難しくなったと言う人もいた。

ナサールを止めるための対策が不充分だったことには皆が同意したものの、進み出て自分たちの体験を語る彼女たちの声には、にじみ出る強さがあった。その中には、オリンピック選手アリー・レイズマンもいた。

「私たち女性のグループに対し、あなたは長期にわたって非情な虐待をしてきました。今のあなたは暴力そのものであり、人ではない。状況は変わったの、ラリー。私たちはここにいる。私たちには声がある。どこにも行かない」とレイズマンはナサールに言った。

この事件はすでに、米国体操協会にもかなりの影響を及ぼしており、さらに、米国オリンピック委員会やミシガン州立大学もその渦中にいる。多くの女性たちが、ナサールを20数年にわたって雇用したこれらの組織もナサールと同罪だと非難した。

それに関してはいずれの組織も否定しており、発覚してすぐにナサールの性的虐待について当局に報告したと主張している。

しかし、米国オリンピック委員会は、スコット・ブラックマン会長の書面の中で、この件が女性に及ぼす影響を認めた。「ナサールの聴聞におけるアスリートたちの証言が終わり、被害者たちの目を通して悲劇が浮き彫りになりましたが、それは我々が最も恐れていたことよりも悪いものでした」。

「このひどい男が起こした痛みについて、我々は遺憾に思います。また、スポーツの夢を安全に追いかける機会があなた方にもたらされなかったことについても遺憾に思います。あなた方を失望させた者の中に、本来味方であるべき私たちがいたのです」

原文:Larry Nassar sentenced to 40 to 175 years for criminal sexual conduct
翻訳:日本映像翻訳アカデミー

Bob Hille

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Bob Hille, a senior content consultant for The Sporting News, has been part of the TSN team for most of the past 30 years, including as managing editor and executive editor. He is a native of Texas (forever), adopted son of Colorado, where he graduated from Colorado State, and longtime fan of “Bull Durham” (h/t Annie Savoy for The Sporting News mention).