現地時間6月21日、米PGAツアーは『トラベラーズ選手権』(コネチカット州、TPCリバーハイランズ)の会場で参加選手に対して、シーズン方式を1月開幕・12月閉幕に戻す案や、看板大会の賞金増額、リブゴルフと同額の賞金2500万ドル(約34億円)規模の新設大会などリブゴルフ対抗策をみられるプランを説明した。一方、かねてから噂があったブルックス・ケプカ(米国)とアブラハム・アンセル(メキシコ)のリブゴルフ参加が欧米メディアで報道された。
PGAツアーがリブゴルフ対抗策を実施へ
米PGAツアーのジェイ・モナハン会長(コミッショナー)は、23日開幕の『トラベラーズ選手権』の会場で参加選手ら向けの説明会を開いた。まず、現在の9月上旬に閉幕し、2週後に新シーズンが開幕する年内年またぎ方式を、以前の1月開幕・12月閉幕に戻す案を説明したという。十分なオフの期間もなくシーズンが切り替わることもあり、選手サイドからは少なからず不満があったという。
さらに、先日の全米オープンでは賞金総額が昨季から500万ドルアップの1750万ドル(約23億6000万円)になったが、今後も少なくとも8つの看板大会で賞金総額を2000万ドル(約27億2500万円)ベースに増額するとした。これに加えて、ランキング上位者に限定した予選落ちのない大会を新設し、こちらの賞金総額は2500万ドル(約34億円)規模となる見込みだとした。
サウジアラビア政府の資本による新リーグ『リブゴルフ』では、1大会賞金総額2500万ドルで、3日間予選なしの個人・団体戦方式でのレギュラーシーズン7戦とマッチプレイ式の最終戦で全8戦を予定している。その開幕戦(ロンドン、センチュリークラブ)では、シャール・シュワーツェル(南アフリカ)が個人優勝賞金400万ドルと団体優勝で75万ドルを加えた475万ドル(約6億4000万円)を獲得していた。
リブゴルフのCEO兼コミッショナーのグレッグ・ノーマン(オーストラリア)は、同リーグの世界ゴルフランキング(OWGR)認定を申請する意向を示しており、認可されれば、PGAツアー大会は別としても、主催者が違う4大メジャー(マスターズ、全米プロ、全米オープン、全英オープン)への参加も見込める。ただ、OWGRの理事にはPGAツアーのモナハン会長も含まれており、現実的に認可される見込みは薄いとされている。
こうした背景から、今回のPGAツアーの改正案は少なくとも2023年内までに迅速に実行されるとしており、リブゴルフへの対抗心を如実に現したものとなった。
それでも流出は止まらず…メジャー4勝のB・ケプカの参戦報道
しかし、PGAツアーの説明会と同じ日に、現世界ランク19位でメジャー通算4勝のブルックス・ケプカ(米国)のリブゴルフ参戦が欧米メディアで一斉に報道された。ケプカは弟のチェイスが開幕戦に参加しており、当初から参戦の噂があった。同20位のアブラハム・アンセル(メキシコ)も参戦報道があり、アンセルに関しては間もなくリブゴルフから公式発表があった。
Welcome @Abraham_Ancer 👊#LIVGolf pic.twitter.com/VWtuR8CLRk
— LIV Golf (@LIVGolfInv) June 21, 2022
両者はブライソン・デシャンボーやパトリック・リード(いずれも米国)らとともに第2戦ポートランド大会(6月30日開幕、オレゴン州、パンプキンリッジGC)から参戦するとされる。ケプカについては、デシャンボーらと同様の100万ドル(約1億3600万円)の手付金を得たとも報道された。
一方で、参戦の噂があがっているコリン・モリカワ(米国)は自身のTwitterでPGAに留まることを宣言し、リブゴルフ参戦を完全否定した。
To state for the record, once again, you all are absolutely wrong. I’ve said it since February at Riviera that I’m here to stay on the @PGATOUR and nothing has changed. Now if you’ll excuse me, I’ve got some cereal to pour in my milk
— Collin Morikawa (@collin_morikawa) June 21, 2022
28歳のデシャンボー、31歳のリード、アンセル、32歳のケプカと、20代後半から30代前半の脂の乗った選手たちの加入により、リブゴルフは当初のピークアウトしたベテランのエキシビションリーグというイメージから脱却しつつある。リブゴルフは近日中に第2戦の出場者を発表するとしており、そのなかには新たな選手の名もあるという。アンセルとともに正式発表されなかったため、それがケプカである可能性が高い。
PGAツアーは傘下の会員たちに改善案を提示したが、ハードなツアースケジュールや通常大会の賞金の少なさなどが変わらない限り、今後も有力選手の流出が続くことが予想される。ゴルフ界の分断はより明確になりつつあるようだ。
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