現地時間5月31日、サウジアラビア政府から資金提供を受ける新ゴルフリーグ『リブゴルフ』が「リブゴルフ・インビテーショナルシリーズ・トーナメント」の参加者リストを公表した。新リーグ支持者のフィル・ミケルソンの名はなかったものの、2年前にマスターズを制したダスティン・ジョンソンの名にメディアからも驚きの声があがった。日本人では日本ゴルフツアー機構選手会会長の谷原秀人らの3名の名前が並んだ。
元世界1位のレジェンドであるグレッグ・ノーマン(オーストラリア)を旗振り役に、1大会の賞金総額2500万ドル(約32億3000万円)という巨額マネーを掲げて発足された新ゴルフリーグ『リブゴルフ』の開幕戦参加陣容がついに明らかになった。
PGAツアー、DPワールド(欧州)ツアーは、新リーグ構想に当初から否定的な見解をみせ、もし会員の選手が出場すればペナルティを課すことを示唆していた。PGAは5月上旬に新リーグ出場申請をすべて却下したが、5月31日に発表された42人の参加者リストには、表明していた元世界1位のリー・ウエストウッド(英国)やマスターズ覇者のセルヒオ・ガルシア(スペイン)、全米プロゴルフ選手権覇者のマルティン・カイマー(ドイツ)や、全米オープン覇者のグレーム・マクドウェル(北アイルランド)、マスターズ覇者のシャール・シュワーツェル(南アフリカ)ら、メジャー制覇者の名が複数確認された。
なかでも驚きだったのが、2016年度全米OPおよび2020年度マスターズ覇者であるダスティン・ジョンソン(米国)だろう。世界ランクトップ150から26人が参加するという触れ込みの新リーグだが、事前に明らかになっていた選手層はシニアクラスに差しかかるベテランや中堅プレーヤーがほとんどを占めており、実質的にマイナーリーグという受け止められ方をしていた。そんななかでジョンソンは2020年のマスターズ以降、勝利から遠ざかってはいるが、37歳の現時点で世界ランク13位にあるトップ選手だけに、米スポーツ専門メディア『ESPN』もジョンソンの新リーグ参加を「最大の驚き」として伝えている。
一方で開幕戦にエントリーしたと報道されていたミケルソンの名はなかった。全米プロ出場辞退の際、代理人から100%出場するわけではないという声明が出されており、本人が3月に述べた言葉通り、「しばらくゴルフから離れる」ようだ。
そのミケルソンのPGA批判と新リーグへの支持発言(一方で暗殺行為や人権侵害行為を行なうサウジアラビア政府について批判していた)が騒動となった2月末、ジョンソンは「PGAツアーでプレーする機会に感謝している」として、新リーグ参加意思は示していなかった。しかし、ジョンソンは代理人を通して31日に声明を発表した。ジョンソンはPGAツアーで問題を抱えたことはなかったが、新リーグ参加は、代理人いわく「彼と彼自身の家族の最善の結果になると判断した」という。
なお、ジョンソンは同日、自身のSNSアカウントに契約するゴルフギアのプロモーション動画を投稿したが、リプライには落胆したファンからの「フォロー解除します」「Sell Out!(裏切り者!)」といった批難の言葉並んでいる。
Gotta love it when you can flight your ball through the wind. @taylormadegolf #LoveIt #TP5x pic.twitter.com/8UH0989uM7
— Dustin Johnson (@DJohnsonPGA) May 31, 2022
リブゴルフ・インベストメントCEO兼コミッショナーのノーマンは、参加者リストのリリースのなかで「フリーエージェントがついにゴルフにやってきた。私たち全員が愛するスポーツに、新しいオープンな競争をもたらすことによって、歴史の流れを変えるムーブメントを始める機会です」と高らかに宣言している。リリースでは、新リーグが資本的に傘下におくアジアツアーだけでなく、PGAツアー、欧州ツアー、サンシャイン(南アフリカ)ツアー、オーストラリア(PGA)ツアー、日本ゴルフツアー機構(JGTO)に出場する選手に対して「歓迎する」というアプローチを引き続き示している。
実際、今回の42人のなかに、JGTOメンバーの谷原秀人、木下稜介、香妻陣一朗の名も確認された。谷原にいたっては選手会会長も務めており、JGTOとして、PGAや欧州ツアーとの関係性に影響があるのかが懸念される。
6月9日に英国ロンドンのセンチュリオンクラブで開幕する新リーグは、初年度の2022年は全8戦を開催する。うち7戦のレギュラーマッチは、予選落ちなしの3日間54ホールのストロークプレイで、48選手が4人制12チームに分かれ、個人戦とチーム戦を同時に実施。シーズン開幕前に12人のキャプテンを任命し、チームメンバーは毎大会ドラフトを経て決定する。最終戦のみマッチプレー形式のトーナメントになるという。『ESPN』によると、2022年シーズンの賞金総額は2億5500万ドル(約329億4600万円)におよぶ。
今回発表から漏れた残りの6人は6月6日までに発表になるようだ。
【リブゴルフ・インビテーショナルシリーズ・トーナメント出場者】
※あいうえお順
- アドリアン・オタエギ(スペイン)
- アンディ・オグレツリー(米国)
- イアン・ポールター(イングランド)
- ウェイド・オームズビー(オーストラリア)
- オリバー・フィッシャー(イングランド)
- オリバー・ベッカー(南アフリカ)
- 木下稜介(日本)
- グレアム・マクドウェル(北アイルランド)
- ケビン・ナ(米国)
- 香妻陣一朗(日本)
- サドム・ケーオカンジャナ(タイ)
- サム・ホースフィールド(イングランド)
- JC・リッチー(南アフリカ)
- ジェームズ・ピオット(米国)★アマチュア
- ジェダイア・モーガン(オーストラリア)
- シファン・キム(米国)
- ジャスティン・ハーディング(南アフリカ)
- ショーン・ノリス(南アフリカ)
- スコット・ビンセント(ジンバブエ)
- セルヒオ・ガルシア(スペイン)
- ターク・ペティット(米国)
- ダスティン・ジョンソン(米国)
- ダビド・プイグ(スペイン)★アマチュア
- 谷原秀人(日本)
- チェイス・ケプカ(米国)
- チャール・シュワーツェル(南アフリカ)
- テイラー・グーチ(米国)
- パチャラ・コンワットマイ(タイ)
- ハドソン・スワフォード(米国)
- パブロ・ララサバル(スペイン)
- ピーター・ユーライン(米国)
- ブランデン・グレイス(南アフリカ)
- ブレーク・ウィンドレッド(オーストラリア)
- ヘニー・デュプレシ(南アフリカ)
- ベルンド・ウィースバーガー(オーストリア)
- マーティン・カイマー(ドイツ)
- マット・ジョーンズ(オーストラリア)
- ラチャノン・チャンタナヌワット(タイ)★アマチュア
- リー・ウェストウッド(イングランド)
- リチャード・ブランド(イングランド)
- ルイ・ウーストハウゼン(南アフリカ)
- ローリー・キャンター(イングランド)
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