マスターズの新型コロナウイルス関連ルール:2020年シーズンにおけるPGAの新型コロナウイルス対策とは

Billy Heyen

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もしあなたの体内時計がゴルフのトーナメントに依存していたとしたら、11月に行われるマスターズはあなたの季節感を大いに狂わせてしまっているだろう。

だが、それこそが新型コロナウイルス感染流行がスポーツの世界にもたらしたものだ。さまざまなスポーツのメジャーイベントがかつてない時期での開催を余儀なくされてきた。新型コロナウイルスの脅威は依然として去ってはいない。すでに何人かの選手がマスターズを欠場することになった。また再開されたPGAツアーの早い段階で、何人かの世界的トップ選手たちが新型コロナウイルスに感染しているのだ。

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マスターズの会場となるオーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブはゴルフ界でもっとも有名な風景で知られている。だが、今年のそれは木々が秋の紅葉に包まれたものになるだろう。出場するゴルファーたちは新型コロナウイルス検査で陰性と診断されるまでは、この伝統あるゴルフコースに足を踏み入れることさえできない。PGAの新型コロナウイルス検査手順は米国疾病予防管理センター (CDC) が定めるガイドラインに準拠している。既に陽性と判断された選手とそれが何を意味するかは以下の通りだ。

 

マスターズで選手たちはどのように新型コロナウイルス検査を受けるのか?

PGAツアー機構は開催するイベントを「バブル形式」で行うことを目指しているが、それはNBA, NHL, WNBA, MLS, NWSLなど他の米国メジャースポーツ団体が取った方法とは少し異なる。例えば、ゴルフ選手たちは大会で指定されたホテルに宿泊するが、大会会場までは自分の責任で移動し、また食事も自分の責任で取ることができるのだ。

6月下旬、PGAはより厳格な大会前の検査体制を導入した。選手とキャディーたちはトーナメント会場へ向けて遠征する前に検査を受け、さらに現地では会場入りするまえに検査で陰性になることを義務付けられる。それ以前までは、選手たちは検査結果が出るまで現地で練習をすることが許されていた。だが、今回の場合は、すべての選手とキャディーはオーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブに足を踏み入れる前に検査で陰性であることが証明されなければならない。 

そしてこのルールは関係者、トレーナー、コーチなど、大会中の「バブル」内部に立ち入りを許される、すべての人間に適用される。

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選手が新型コロナウイルス検査で陽性と診断されるとどうなるのか?

マスターズが行われる週の月曜日の朝までに、すでに2人の選手が新型コロナウイルス検査で陽性結果が出たことを理由に欠場が決まっている。ホアキン・ニーマンとセルヒオ・ガルシアの2人だ。

PGAの新型コロナウイルス検査手順は基本的に米国疾病予防管理センター (CDC) が定めるガイドラインに準拠している。CDCのガイドラインに従い、選手やキャディーが新型コロナウイルス検査で陽性と診断されても無症状の場合は、その選手やキャディーは最低でも24時間以上の間隔で2回の陰性結果が出ると、競技に戻ることができる。だが、今回のマスターズに関しては、その2回の陰性結果が木曜日のティーオフタイムまでに出ない限りは、大会からの欠場は避けられない。

PGAは症状がある場合についてもCDCのモデルに従っている。選手やキャディーが検査で陽性となり、症状も認められた場合、競技に戻るための条件は以下の通りである。

  • 回復(解熱剤を使用することなく平熱を保ち、かつ咳や呼吸困難などの疾患がなくなったことを指す)してから最低でも72時間が経過し、
  • 最初に症状が出てから最低でも10日間が経過した

さらに「上記の条件に当てはまるが、しかしその後の新型コロナウイルス検査で陽性結果が出た場合、その選手やキャディーは1人だけで競技をするか、あるいは同じ状況にある選手たちのグループに入る。その場合は会場にある屋内施設に立ち入ることはできない」というルールもある。これはウイルスが体内から消えても、PCR検査がリボ核酸(RNA)内にウイルスがあると判断する可能性をCDCが指摘しているからだ。

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まとめ:マスターズ期間中に新型コロナウイルス検査で陽性結果が出た場合、その選手が大会に戻ってくる時間的余裕はない。そもそも検査で陰性にならない限りは会場入りすらできないので、そのような選手がオーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブに現れることもない。

 

2020年に新型コロナウイルス検査で陽性と診断されたPGA選手たち

新型コロナウイルス検査で陽性と診断されたためマスターズを欠場することになったニーマンとガルシアに加えて、以下の選手たちはかつて陽性と診断された後に回復し、なおもマスターズの出場者リストに残っている。

  • キャメロン・チャンプ
  • ディラン・フリッテリ
  • スコッティ・シェフラー
  • トニー・フィナウ
  • ダスティン・ジョンソン
  • アダム・スコット

かつて陽性とされた選手たちの扱いに関しても、PGAはCDCのガイドラインに従っている。回復したと認められた選手はその後3か月間はPGAによる新型コロナウイルス検査を受ける義務はない。

上のリスト内の選手のうち、チャンプとフリッテリの2人はすでに回復してから3か月以上が経過しているため、他の出場選手たちと同じ条件の新型コロナウイルス検査の対象となる。シェフラー、フィナウ、ジョンソン、スコットらはまだ3か月が経過していないため、あらたに検査を受ける義務はない。ジョンソンはもしマスターズに出場するために検査結果を待っていたとしたら「間違いなく不安に駆られていた」とロサンゼルス・タイムズ紙に語っている。

 

なぜオーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブは無観客になるのか?

8月12日の段階ですでにオーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブは11月のマスターズが無観客開催になると発表している。その際、同クラブのフレッド・リドリー会長は以下の声明を発表した。

「2020年マスターズを延期すると当初に発表して以来、私たちは11月の開催に向けて、この危機の中で世界的なイベントを行う最良の方法を探し続けてきました。私たちが直面している諸問題を考慮したうえで、このマスターズに関わるすべての人の安全と健康が常に私たちにとっての最優先課題でした」

「その過程において、私たちは医療関係者や様々な分野の専門家たちと協議を重ねました。最終的に、11月に私たちの施設内にパトロン(訳者注:マスターズではギャラリーのことをこう称する)やお客様をお迎えすることは実施不可能であると判断しました」

この発表の際、リドリー会長は2021年のマスターズでは観客を迎え入れることを望むと述べている。PGAが再開して以来、ほとんどのゴルフ大会が無観客で開催されてきたが、先週テキサス州で行われたヒューストン・オープンでは大会期間中の1ラウンドごとに2千枚の入場チケットを販売した。

 

例年ならマスターズはいつ開催されるのか?

通常のマスターズは最終ラウンドが4月の第2日曜日になるようにスケジュールが組まれる。つまり、大会はすべての日程が4月に行われ、3月に始まる可能性はない。

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新型コロナウイルスと握手

PGAがツアー再開に先立って定めた安全と健康に関するプランでは、選手たちがコース上でいかなる形式の握手をしないことを推奨している。ゴルフで習慣となっているラウンド終了後の握手もそれに含まれる。PGAがさらにゴルフでエチケットとされる行為のうち、どれを選手やキャディーらが守るべきかについても示している。

選手はゴルフクラブのバッグからの出し入れを自分たちで行い、またホールからボールを取り出すことも自分で行うよう求められている。キャディーはバンカーの砂を熊手で掃くことや旗を抜くことは許されている(熊手や旗は使用後に消毒される)。

(翻訳:角谷剛)

Billy Heyen