ウッズを7年追いかけ続けたツイッターアカウントの、“中の人”インタビュー
タイガー・ウッズがプロスポーツ史上最高級の“カムバック”を飾ってから、1週間以上が経った。
ウッズがマスターズ優勝で絶え間ない賞賛を集めている間、もう一人、スポットライトを浴びている人物がいた。
『ゴルフチャンネル』が運営し、過去7年に渡りウッズを追いかけ続けてきたツイッターアカウント、“@タイガー・トラッカー”の“中の人”だ。ウッズのすべてのショットにハイセンスなコメントをつけてツイートし、多くのゴルフファンを魅了し続けてきた。これまで“タイガー・トラッカー”に唯一足りなかったもの、それはウッズのメジャー優勝に関するツイートだけだった。
2012年3月に開設されてから40万人近いフォロワーに支持されてきたこのアカウントが、ウッズが5枚目のグリーン・ジャケットを羽織った4月14日、待ち望んだ多くのファンたちに、ついに喜びを共有できる場所を提供することとなった。
今回、スポーティングニュースはこれまで謎に包まれてきたこのアカウントの管理者に話を聞くことに成功。マスターズの後の大きな反響について、その舞台裏についてなどいくつか質問をした。
スポーティングニュース(以下SN):マスターズで、ウッズが勝つかもしれないと思い始めたのはどの場面からですか?
タイガー・トラッカー(以下TT):不思議なことに、そう思うようになったのは、フランチェスコ・モリナリが12番ホールで池に落としてからなんです。でも、ウッズが本当に優勝したことにはまだ驚いています。その日、彼はベストではありませんでしたからね。
SN:ウッズには、どのようにトーナメントを戦ってほしいですか?
TT:トップ10に楽々入ってくれると、嬉しいですね。遡ってみると、8月終わりの『ザ・ノーザントラスト』以降、ウッズのプレーはそんなに悪くないんですよ。(40位に終わった)同大会だって、言うほど悪くなかった。それより前の全米オープンでは予選落ちでしたから。でもそれから彼はどんどん良くなっていって、『WGCデルテクノロジーズ・マッチプレー』でロリー・マキロイに大勝利した時、これはひょっとするかもしれないと思いました。きっと素晴らしい結果が見られるとは思っていましたが、まさか勝ってくれるとは。
記念すべきマスターズは、コースで直接見ることができなかった
SN:あなたがつぶやいてくれる、コースからの実況ツイートには本当に感激します。ウッズが優勝に近づいていく間、どうやってその冷静さを保っていたのですか?
TT:オーガスタナショナルは、自分のスマホでツイートすることができない唯一のコースなんです。すべて許可された室内でやらなければなりません。仕方がないので、従っています。周りで見ている観衆に、自分がちゃんとルールを守っていることをアピールしないと。私にとって、今回は7年間タイガーを追いかけてきて初めてのメジャータイトルだったんです。でもそうなんです、一番見たかった18番グリーンを、直接見ることができなかったんです。
SN:ウッズの優勝後、ソーシャル・メディアの受け取り方はあなたにはどう写りましたか?
TT:ものすごかったです。ただただ夢のようでした。皆がタイガーからもらう喜びと同じくらい、私も皆から喜びをもらいました。ちょっと変かもしれませんが、愛情のようなものも同時に感じました。私たち40万人(のフォロワー)は血の繋がっていない家族であり、いいことがあれば皆で喜びを分かち合うんです。
画像:Getty Images
SN:ここ何年もウッズは低迷していましたが、正直、こういうこと(メジャー優勝)が起きると考えていましたか?
TT:いいえ。正直、考えていませんでした。思い出してください、タイガー自身にも、こんなことが起きるなんて考えていなかった時期があったんですから。しかもそんなに前のことではありません。でも、誰もが不可能だと思っていたことが起きた時、その喜びはひとしおですね。そしてそれが、地球上で最も象徴的なゴルフコースで起きたんです。なんて感慨深い。最高の、最高の瞬間でした。
SN:ウッズが勝ったとき、オーガスタの空気はどんな感じでしたか? 最後の数ホールあたりから観衆がザワつき始めたなど、何か感じましたか?
TT:もう一度言いますが、私はその場にいられなかったんです。その日も朝早くに起きて、気を紛らわそうととにかく歩き回っていて。同じことを3日間繰り返しました。でもウッズのティータイムになったら中に戻って、定位置につき、無料のアイスクリームを食べて、仕事をしていました。もう、そのアイスがほろ苦くて、ほろ苦くて。全部飲み込むことができませんでしたからね。でも、ウッズがマスターで勝ったんだ。他のことはもうどうでもいいんです。
ちなみに、14番ホールで、私はフォロワーたちに自分が直接試合を見ることができていないことを明かしました。そしたらものすごい数の人が、「とにかくツイッター画面を閉じて、そこから出て、ウッズを見ろ!」と助言してくれました。その瞬間が、外に出たい衝動が一番大きくなった時でした。皆いい人たちです。でも私は、ツイートすることを選びました。そうして、スポーツ史上最高のカムバックの瞬間を目撃するチャンスを逃したんです。
ウッズは今年あと何回優勝する?
SN:ウッズは今年、あと何勝しますか? 2019年、またメジャーで勝つことはありますか?
TT:あと1回か、2回は優勝するでしょうね。これから、彼が好きなコースで開催される大会がいくつか予定されています。メジャーに関してははっきりとは分かりませんが、今や彼は水門を開け放した状態。もっと期待したいところです。でも彼がメジャーでもう1勝するかどうかと聞かれれば、私はそうは思いません。一方で心でははっきりと、そうなってほしいと信じています。多くの人がペブルビーチでの彼の成功を信じていますが、私は来たる全米オープンがここ最近の彼にとってベストな場所になるかどうか、いまいち確信が持てないのです。それよりもベスページ・ブラックでの『全米プロゴルフ選手権』か、もしくはロイヤル・ポートラッシュでの全英オープンのほうが可能性があると思っています。間違いなく、彼はその2箇所で獲物を狙っていくハンターになると思いますよ。
SN:ウッズはジャック・ニクラスのメジャー勝利数記録(18回)を塗り替えると思いますか? だとしたらいつ?
TT:これは答えるのが難しいです。なぜなら私は“タイガー・トラッカー”であり、塗り替えますと言ってしまいたいところなので。しかしニクラスを超えるにはあとメジャーであと4勝しなければなりません。つまり、43歳のウッズが、ロリー・マキロイやアーニー・エルスが現在までにメジャーで優勝した回数(4回)をもう一度、まるっと繰り返す必要があるのです。考えてみてください。1勝や2勝なら、まだ可能性はあるかもしれません。それが4勝ですよ。でも…そこはタイガー・ウッズですからね。
幾度となく顔を出す“中の人”のウッズ愛
SN:ウッズが優勝した日、どのようにしてお祝いしましたか?
TT:がっかりするかもしれませんが、あなたが思うほど…もしくは私が自分で望んでいたほど、ハチャメチャに盛り上がるなんてことはなかったですよ。ましてや、ジョージア州オーガスタの日曜の夜ですからね。たとえマスターズが行われた夜であろうが、お祭り騒ぎになるなんてことはありません。さらにその日も朝が早かったですから、高揚感と相まって私は芯から疲れ果てていました。でもその次の日から少しずつ祝い酒を重ねていって、今ではすっかりお祝いをし尽くした気になっています。
SN:ウッズのマスターズ優勝後、あなたはどのような毎日を過ごしていますか?
TT:まだふわふわと浮いているんです。いつ地面に足をつけられるようになるんでしょうか…。先週の写真を見返したりしてそのたびに興奮していますが、16日に撮影された優勝ディナーの写真を見て、来年、真ん中に座っているウッズの横にニクラスがいたら…なんてことを想像すると、鳥肌が立ちますね。
SN:ウッズが完全復活を果たしたことですし、あなたも正体を明かすことを考えたりしませんか?
TT:いいえ。でもウッズがニクラスの記録を塗り替えたら正体を明かすとつぶやいた過去のツイートを探し出すフォロワーがいるかもしれませんね。私は約束を守る人間でいたいので、撤回はしません。もしその時がきたら、いよいよ大きな決断を下すことになるんでしょうね。
原文:11 questions with Tiger Tracker, the biggest Masters winner not named Tiger Woods
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※記事はIOC公式サイト『Olympic Channel』提供
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「※」は提携サイト『Goal』の記事です