【F1日本GP特集】2度の鈴鹿出走経験を持つ中野信治「結果の読めないレースを期待」

Yusuke Kubota

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「どのドライバーも日本に来ることを楽しみにしている」(中野)

― 中野さん、よろしくお願いいたします。まずは今季F1世界選手権の展開についてお聞かせください。

中野信治さん(以下、中野) 今季はどのレースも、予選、決勝と最後の最後まで結果が読めないですね。昨季までは予想がつくレースもありましたが、今季はメルセデスだけではなくフェラーリも強いし、レッドブルも上位にいます。駆け引きも前面に出ているために先が見えない部分が多く、観る側をワクワクさせてくれますね。

─ 中野さんは1997、98年にF1ドライバーとして鈴鹿サーキットを走られましたが、どのような特徴を感じるコースでしたか?

中野 中高速コーナーがバランスよく配置されています。ドライバーが「こういうコーナーが来てくれれば面白い」というものが、きっちり用意されているんです。ドライバーの本能をかき立ててくれるサーキットという印象があります。

─ コース上でとりわけ難しい部分はどこでしょう。

中野 コース最初のセクター1は連続するコーナーがあり、流れを作らなければなりません。コーナーの入り口で失敗すると、全部のスピードが落ちてしまいます。ドライバーの能力でいかにうまくリズムを作れるかが大切であると同時に、マシンのセットアップがどこまで決まっているかも重要です。ここをどう制すかが鈴鹿攻略の鍵を握ると言っていいでしょう。

─ 今年の日本グランプリ(GP)の展望を聞かせてください。

中野 今季を通して見ていると、エンジンのパワーがある程度必要な鈴鹿に合うマシンはメルセデスです。パワーユニットを含め、フェラーリに差をつけていますからね。なんとかフェラーリにはここで盛り返してもらって、メルセデスとフェラーリのガチンコの戦いというのが見たいです。そこにコーナーワークに長けたレッドブルが入ってくるとさらに面白くなります。

─ メルセデスの強さの秘訣は?

中野 ひとことで言うと、非常に優秀なドライバーを揃えているということです。彼らは速いだけではなくセットアップ能力に優れ、チームワークに徹することができる。加えて、開発能力の高さと資金力を生かして、良いマシンを作ってきます。

─ フェラーリが鈴鹿でメルセデスに迫るために必要なものは何ですか?

中野 (フェラーリの)マシンは鈴鹿に合っていると思います。ただ現在では、メルセデスの(パーツ)アップデート能力がそれを上回り、フェラーリが慌てているという印象です。チャンピオンシップが懸かっているだけに、(両チームともに)パーツをアップデートしてくるはずなので、そこが大切になってきます。

─ ホンダはトロロッソとして初のホームレースを迎えます。

中野 最近、投入してきたパワーユニットは調子が良さそうですね。マシンのポテンシャルはシーズン通してアップデートされていないようなので、大きなステップアップは難しいかなと思いますが、パワーユニットのほうでは馬力が出てきているように見えます。うまく機能してマシンが鈴鹿に合えば、トップ10を狙える走りが期待できます。

─ 過去の鈴鹿で印象に残っているレースはありますか?

中野 私はアイルトン・セナとアラン・プロストで育った世代です。互いに接触したレース(1989、90年)があるのですが、ドライバーの意地と意地とのぶつかり合いを見て、「ここまでやらないと世界一にはなれないのか」と強烈な印象を持ちました。もちろん、自分自身が出た97、98年のレースも思い出深いものになっています。

─ 今年の日本GPに期待するポイントを教えてください。

中野 どのドライバーも鈴鹿を走るため、日本に来ることを楽しみにしています。好きなサーキットを走ることでドライバーたちも気持ちが上がるでしょうから、いい走りを見せてほしいです。また、今年のF1らしい、最後まで結果の読めないレース展開にも期待しています。

 

 

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