【F1日本GP特集】鈴鹿は“いじわる”なサーキット

Yusuke Kubota

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鈴鹿F1 30周年特集:セナとHONDA、そして日本GP

30回目の節目を迎えるF1日本GPは「今シーズンのクライマックス」

― 小倉さん、よろしくお願いいたします。いよいよ日本グランプリを迎えたF1世界選手権。今季ここまでの展開をどう見ていますか?

小倉茂徳さん(以下、小倉) 数年前まではシーズン序盤でメルデセスの優勝がほぼ決まってしまう部分もありましたが、今季はルイス・ハミルトン(メルセデス)とクリスチャン・ベッテル(フェラーリ)が熱戦を繰り広げ、すごく面白いシーズンになっています。中位グループに属するフォースインディアやハース、トロロッソ・ホンダなどを含め、毎回のように順位が入れ変わるレース展開になっているんです。「F1ってこんなに面白かったっけ?」と感じるほどです。

― そんな中で迎える日本グランプリ(GP)の見どころを教えてください。

小倉 やはりハミルトンですね。昨年の予選では1分27秒319のラップタイムを記録して、2006年にミハイル・シューマッハが出した1分28秒954という「今後破られないであろう」記録を上回ったんです。しかも、今年のマシンは去年のものより速い。予選からどんなタイムが出るのかも見ものです。

― 鈴鹿サーキットのコースはどのような特徴がありますか?

小倉 鈴鹿は多くのドライバーから「最も難しいサーキット」と呼ばれています。言い換えれば、もっともチャレンジのしがいがあり、完璧なラップを出しにくいサーキットということです。マシンも人も最高の状態にならないと勝てないので、「今シーズンのクライマックス」と言っても過言ではないでしょう。

― コース上の注目ポイントはどこでしょうか?

小倉 マシンとドライバーの調子が分かるのは、2コーナーの後のS字カーブです。ここをいかにスムーズに、そして早く抜けられるかで、その日の各車の具合が分かります。また、通常のサーキットはコーナーがそれぞれ独立しているので、うまくいかなくても挽回が可能ですが、鈴鹿はコーナーが連続しているため些細な違和感やミスがあるとそれを引きずってしまい、ラップタイムが遅くなります。加えて高低差もあるので、鈴鹿は“いじわる”なサーキットと言えます。

― 優勝争いに目をやると、メルセデスはチームとして鈴鹿4連覇中です。しかも、ハミルトンはイタリア、シンガポール、ロシアと3連勝しました。

小倉 今季のメルセデスは、「ストレートに強みを持つが、コーナー区間はフェラーリより弱い」と言われていましたが、シンガポールではコーナーでの速さも見せつけました。まさに、オールラウンダーなマシンを造ってきたと言えます。ここでハミルトンが勝てば、チャンピオン争いでも優位に立ちます。対するベッテルも、レッドブル時代に勝ち続けていた得意のコースで負けるわけにはいかないでしょう。コーナリングは互角なので、あとはマシンのパワー面がカギを握ると思います。

― 追うものと追われるもの、心理面で有利なのは?

小倉 最近のハミルトンは精神面も強いので、追われる立場でも変わらないでしょう。一方で追う立場のベッテルですが、今季はミスが目立つものの、ハミルトンより先にゴールするという目標がはっきりしています。どのアスリートにも言えますが、目標がひとつになったときは強い。精神的にも全力を出し切る戦いになるでしょうね。

― 最後に、30回目の鈴鹿、日本GPへの期待を聞かせてください。

小倉 世界最高峰のサーキットで、ドライバー、チーム、マシンが全力を出し切る戦いが楽しみです。DAZNの視聴者の方々と一緒に、歴史に残る名勝負を見届けることができればと思います。

 

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