現地時間5月17日、イタリアのエミリア・ロマーニャ地方で発生した豪雨により、今季F1エミリア・ロマーニャGP（5月19日～21日）の開催が見送られた。
現地の状況と延期開催があるとすればいつになるのか、スポーティングニュース・スペイン語編集部のセルジオ・ラビネル記者がリポートする。
かつてフェルナンド・アロンソは「雨なんてのは、濡れたくないという気持ちがあればどうってことはないさ」という皮肉を放ったことがある。しかし、目下、F1が今季のエミリア・ロマーニャGPで直面している切迫した現実は、単に路面がウェットかドライかという問題ではなく、イモラで週末のレースを開催することが可能かどうかという一大事だった。
現地の天候は引き続き危機的状況にあることから、F1は5月17日、エミリア・ロマーニャGPの開催中止を公式に発表した。
以下、スポーティングニュース・スペイン語編集部が今週末のF1の情報、判明していること、起こりうることをすべてお伝えする。
‼️ Así está el circuito de Ímola a unos días de que llegue la F1
— 𝐓𝐡𝐞 𝐒𝐩𝐨𝐫𝐭𝐢𝐧𝐠 𝐍𝐞𝐰𝐬 España 🇪🇸 (@sportingnewses) May 16, 2023
⛈️ Las lluvias han conquistado el Autódromo por cuyos límites pasa el río Santerno
📸 @LaurentDupin_f1 #F1 #EmiliaRomagnaGP #EmiliaRomagna pic.twitter.com/yQl54oXEOJ
エミリア・ロマーニャGP2023が開催中止になったのはなぜ？
数日前からイタリア北東部にあるエミリア・ロマーニャ州全域に降り注いでいる豪雨の影響で、地域内の交通網は麻痺している。いくつかの河川の堤防が決壊したため、道路や線路に大きな影響が出ている。
5月16日（火）、地域政府は、この種の災害に対する警戒レベルを最も厳しいもの（レッドアラート）に引き上げ、当局の救難・防災対応の策定を開始。F1およびFIAは、この週末にイモラ・サーキット（正式名称：アウトドローモ・インテルナツィオナーレ・エンツォ・エ・ディーノ・フェラーリ）で開催される予定だったグランプリ（GP）を見送ることを決定した。
イモラ・サーキットの状況はどうなっている？
現地紙『コリエレ・デ・ボローニャ』によると、この激甚災害により、同地域の6000人以上が緊急避難を余儀なくされ、2人が命を落としている状況だ。
F1主催者も、現地時間5月17日（水）朝、すべてのチームメンバーのパドックとサーキットへの立ち入りを禁止した。ただ、サンテルノ川に近く、標高が低いイモラ・サーキットの地理的な懸念とは対照的に、モータースポーツ記者のアルベルト・ファブレガ氏の報告によると、この時点でパドックは水浸しではあるものの、中止に至るほどではなさそうだという状況が伝えられていた。
Buenos días. Me llegan estas imágenes de Imola. El paddock y boxes de F1 están ok. Las zonas más bajas como F2 están con mucha agua. Hoy se ha prohibido al personal ir al circuito hasta que sean avisados. #f1 #EmiliaRomagnaGP pic.twitter.com/jzDnRqP54p
— Albert Fabrega (@AlbertFabrega) May 17, 2023
だが、問題はそこまでのアクセスルートだ。フォトジャーナリスト、ホセ・マリア・ルビオ氏によると、イモラ・サーキットへのアクセス路は20km離れた場所ですら水没し、致命的な状況にあることが報告されていた。
Así está en este momento el acceso a 20km de la zona del circuito @autodromoimola pic.twitter.com/mi3hv4JdOD
— F1 DESDE DENTRO (@PressRacing) May 17, 2023
イモラでのGPの実現に関して直面する問題は、厳密にはサーキットの状況だけでなく、あらゆるレベルでの安全性とも関係がある。つまり、サーキットへのアクセスは安全な条件でなければならないし、ドクターヘリは風雨の影響を受けずに飛べる状況でなければならない。一方、近隣の町で何千人もの人々が避難している場合、倫理的な問題が残る。
これらの状況を受け、イタリア閣僚評議会の副会長であるマッテオ・サルヴィーニ氏が、エミリア・ロマーニャGPの延期を要求した。
Italian Deputy PM Matteo Salvini has called for the #ImolaGP to be postponed, via @SkyTG24, "in the light of direct contacts between the minister, the institutions and the associations involved".
— Michael Lamonato (@MichaelLamonato) May 17, 2023
"Let's dedicate ourselves to relief efforts," he said.#F1
【続報 5/18 4:00】ロイター通信によると、死者は9名に増え、イモラ・サーキットも一部が水没していると報じられた。
Emilia Romagna F1 Grand Prix called off due to weather https://t.co/Ke8ilV05Mo pic.twitter.com/6wmaa6sXDG
— Reuters (@Reuters) May 17, 2023
2023年エミリア・ロマーニャGP中止に関するF1の声明
現地時間5月17日（水）13時過ぎ、F1は以下の声明でエミリア・ロマーニャGP（2023）の開催見送りを発表した。
F1コミュニティは、エミリア・ロマーニャ地方で最近起こった出来事によって影響を受けた人々や、地域社会に想いを寄せたいと思います。また、困っている人たちを助けるために全力を尽くしている救助隊の活動にも敬意を表したいと思います。
F1、FIA会長、関係閣僚を含む関係当局、イタリア自動車クラブ会長、エミリア・ロマーニャ州大統領、市長、プロモーターが協議した結果、イモラでの週末のグランプリを実施しないことを決定しました。
この決定は、ファン、チーム、スタッフのために安全にイベントを開催することが不可能であり、地域の街や都市の状況を考えると、正しく責任ある行動であると判断したものです。この困難な時期に、自治体や救助隊にこれ以上負担をかけることは間違っているからです。
The decision has been taken not to proceed with the Grand Prix weekend in Imola#EmiliaRomagnaGP #F1 pic.twitter.com/4taauGnFEA
— Formula 1 (@F1) May 17, 2023
エミリア・ロマーニャGP 2023の延期開催はあるのか？
この件に関する公式な見解はまだないが、F1は現時点でのステートメントにおいて、エミリア・ロマーニャGP自体の延期や（完全な）中止のいずれにも言及していない。その意味だけをとると、上記の声明は「この週末にイモラでGPを開催しない」ことのみを示している。
このような文脈や言葉を使用するということは、エミリア・ロマーニャGPが別の日程に延期開催される可能性があることを意味する。
過密日程の今季F1…延期開催があるとすればいつになる？
今季はレース数が多いため、実際のところ選択肢は限られている。8月の長期休暇を1週間遅らせて、ハンガリーGP（7月21日〜23日）の直後、7月28日〜30日に開催するというのもひとつの選択肢になるだろう。続報があり次第レポートする。
イモラの天候は今後どうなるのか？
イタリア気象局（空軍気象部）によると、水曜日から日曜日まで、エミリア・ロマーニャ州全域で雨量が緩和される見込みだという。一方、土曜日には再び雨が降ることが予想されるものの、降雨量は弱くなる見込みだ。予報の詳細はこちら（イタリア気象局公式サイトへ）。
- 5月18日（木）：曇り、のちにわか雨
- 5月19日（金）：曇り空で気温上昇
- 5月20日（土）：まとまった雨、降雨量は緩和
- 5月21日（日）：一部晴れ、雨の可能性あり
2023年シーズンも随時更新！
スポーティングニュース日本語版では、2023年もレース結果や放送配信予定に加え、英語記事だけでなく、F1人気が高い欧州の空気感を伝える本誌スペイン語記事の翻訳版など随時更新する予定だ。
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