【F1ガイド】2023年オーストラリアGPの変更点は? アルバート・パーク・サーキットの今

Sergio Rabinal

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La acción regresará a Australia. (Foto: F1)

F1第3戦となるオーストラリアGPが3月31日から開幕する。アルバート・パーク・サーキットに大きな改修を施して開催された昨季2022年は、以前と比べてもラップタイムは短縮され、見どころも増えた。

改修前の2019年以前と何が変わったのか、今年からの変更も含めて、本誌スペイン語編集部のセルジオ・ラビナルが改めて解説する。

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F1オーストラリアGPの舞台であるアルバート・パーク・サーキットは、長らくオーバーテイクの少ないサーキットの代名詞だった。高速ペースによってシャシーに負担のかかるこのサーキットは、ストレートが短すぎる上に、マシンの乱気流が多く発生するため、ほかのマシンを追い抜くことが困難になっていた。

パンデミックによるF1カレンダーからの2年間の休場中、オーストラリアGPのプロモーターは、ドラマティックなレース展開を増やすためにサーキットの改良を模索することになった。余談だが、2019年は合計14回のオーバーテイクがあり、2018年は15回だった。

そして、新たな変化を遂げた2022年はどうだったか? 何と「34回」だ。2019年の2倍以上に上昇したのだ。

オーバーテイクの数が多いからと言って、必ずしもレースの出来が良くなったり悪くなったりするわけではないが、トラック上でのアクションが増えることで、イベントが盛り上がりやすくなることは確かだろう。

では、メルボルンのこのサーキットは、具体的にどんな変化を遂げたのだろうか。

コーナー路面幅と角度の修正

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図に2021年とあるが、もともと2021年開催にあわせて改修されていたが、コロナ禍により中止になっていた。

さて、最も重要な変化は、外から見れば小さな変更にしか見えないこともある。このような半都市型サーキットでは、路面からウォールが近いためミスが許されず、前車への追従も容易ではない。またこの系統のサーキットの特徴として高速コースになりがちなので、コーナーの改修はレース展開全体に大きな影響を与える。

そのため、アルバート・パーク・サーキットは、第1セクターのターン1、3、6の頂点が変更され、いずれも右寄りとなった。ターン1とターン6路面の幅も広げられた。とくにターン6は幅が7メートルほど広がり、中速コーナーから高速コーナーに変身した。

一方、ペナルティコーナー(ターン13)も広くなり、DRS検知ポイントを抜けてからの競り合いを生む変更となった。

この改修の最終的な狙いは、後続車が前走車に近いポジションで追走できるようにし、コース上でのドラマやアクションを増やすことにある。

セクター2のオーバーテイクチャンス創出

Australian GP

これがオーストラリアGPの最大の新機軸となる。これまでのセクター2は、中高速コーナーとあまり長くない直線の組み合わせで、オーバーテイクが難しいポイントだった。その要因がシケインの存在だ。

2022年からシナリオは大きく変わった。セクター2の最初のターン6は非常に高速なセクターで、鋭いブレーキングが1回だけ行われる。その後のターン9からターン10のシケインがなくなったことで、フラットアウト(ベタ踏み)が可能なエリアに変化した。

この区間全体が長いストレートへとつながり、ターン11で締めくくられるのだが、そこにはオーバーテイクを容易にする大きなブレーキングポイントが存在する。このコーナーは自体は低速だが、直角でスピードの変化が顕著なため、見ごたえがある展開を期待できるようになった。

ピットレーン拡大によるタイヤ戦略の変化

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半都市型サーキットであるオーストラリアのコースでは、ピット内におけるマシンの制限速度が過度に制限されていた。実際、リミッターは60km/hに設定されており、各GPのなかでも最も遅い部類に入る。

その結果、各チームは新たなタイヤで走ることのメリットとロスを考え、なるべくピットインしない戦略を取るようになっていた。

2022年、ピットレーンの幅が2m広げられ、ピットレーンの景観は大きく変わることになった。その結果、最高速度は80km/hに 引き上げられ、各チームはライバルに対して優位に立つための新たな戦略を模索することができるようになった。

2023年から4つ目のDRSが正式追加に

実は2022年にすでに導入レベルに入っていたものだ。ターン8とターン9の間に4つ目のDRSゾーン(検知はターン7前)が追加され、金曜の最初のフリー走行で実走となったが、安全上の理由とドライバーからの懸念もあって、FP1だけでの採用となり、それ以降予選でも決勝でも使用されなかった。

2023年からはこの4つ目のDRSゾーンが正式採用となる。2022年は以前のレイアウトに比べて約2.5秒速くなったが、第4のDRSにより、さらなるスピードアップは確実だ。なお、各DRSゾーンは、DRS1(ターン14~ターン1、検知ターン13前)、DRS2(ターン2~3)、DRS4(ターン8~9、検知ターン7)、DRS3(ターン10~11)になる。

オーストラリアGP以降にも影響のある変更も

これはアルバート・パーク・サーキットに限った変更ではないが、オーストラリアGPからスターティンググリッドに変更が入った。今季はスタート時にグリッドボックスをはみ出して停車する違反が相次いだため、より分かりやすくするためだ。前節サウジアラビアGPでは、この違反によりフェルナンド・アロンソ(アストンマーチン)のピットイン時のペナルティ実行下でのレッカー接触問題が発生。余計なトラブルを生んだ経緯もあって変更が入った。

グリッドボックス(ライン)が20cm拡大され、センターラインも引かれた。また、フロントアクスルの停車位置を示すラインがコックピットから視認しにくいというドライバーからの意見もあり、進行方向右側だけだったものがグリッド両側に引かれた。アルバート・パーク・サーキットのようにスターティンググリッドから右側ウォールとの間隔が狭い場合、とくに視認しにくいためだ。

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2023年シーズンも随時更新!

スポーティングニュース日本語版では、2023年もレース結果や放送配信予定に加え、英語記事だけでなく、F1人気が高い欧州の空気感を伝える本誌スペイン語記事の翻訳版など随時更新する予定だ。

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Sergio Rabinal

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Sergio es productor de contenido en las ediciones en español de The Sporting News. Desde 2018 desempeña las funciones de productor senior de contenido NBA. A lo largo de ese tiempo ha cubierto dos All-Stars, Basketball Without Borders y el NBA Paris Game, así como otros eventos. Pesimismo de la inteligencia, optimismo de la voluntad.