サインツがポール初奪取、フェルスタッペンは2番手から7勝目狙う|F1第10戦イギリスGP予選結果・決勝展望・天気情報

神宮泰暁 Yasuaki Shingu

サインツがポール初奪取、フェルスタッペンは2番手から7勝目狙う|F1第10戦イギリスGP予選結果・決勝展望・天気情報 image

FIA(国際自動車連盟)F1(フォーミュラ1)世界選手権の2022年シーズン第10戦となるイギリス・グランプリ(GP)の決勝が、日本時間7月3日(日)23時から行なわれる。ウエットコンディションとなった予選では、フェラーリのカルロス・サインツがポールポジションを初獲得。スピンで自滅したマックス・フェルスタッペンは2番手から今季7勝目を狙うことになった。イギリスGPの予選結果、展望、現地天気予報を紹介する。

2022年F1第10戦イギリスGP:前節振り返り&予選結果から占うプレビュー・展望

第9戦カナダGP振り返り

前節の第9戦カナダGPでは、マックス・フェルスタッペンがポールトゥウィンで今季6勝目をあげた。ドライバーズランキングでも175点に到達。2位の同僚セルジオ・ペレスがリタイアもあって129点止まりでさらに差を広げた。ペレス機のトラブルはギアボックス不良だったが、レッドブルとしては4度目の信頼性問題であり、この点ではシーズン後半に向けて不安視される。

シャルル・ルクレール(フェラーリ)は、パワーユニットの各コンポーネント更新規定数超え罰則によりグリッド降格を受け19番発進となるも、5位入賞でダメージを最大限抑えることができた。規定数越えは各初回は10グリッド降格、以降は5グリッドになるため、カナダGP時点で大きいペナルティを消化した。サインツは2位とここ数戦安定した成績を残しており、不運続きのルクレールのサポート以上の活躍をみせている。

カナダGPはルイス・ハミルトンが3位で開幕戦以来の表彰台にのぼり、ジョージ・ラッセルも4位で、メルセデス勢の復活という側面もあった。

第10戦イギリスGPの舞台、シルバーストン・サーキットの特徴

イギリス空軍の飛行場跡に敷設されたサーキットとあってフラットな高速コース。F1は1950年が初開催で、『モータースポーツの聖地』とも称される一方、多くのレーサーやコンストラクターにとっては勝手知ったるサーキットでもある。

ストレートが多く、コーナーも高速で振り切る傾向からオーバーテイクは難しいとされる。連続コーナーの後半のターン13、DRSゾーンを経てストップアンドゴーになるターン15は制動を失いやすく、天候不順になると鬼門になってくる。

第10戦イギリスGP予選結果から占う決勝展望

7月2日、生憎の雨となり、予選スタート時点の路面温度は20度を少し上回る程度。全車インターミディエイトタイヤで飛沫をあげながら走り出した。Q1のトップ3は、フェルスタッペン、ルクレール、ラッセルの順となったが、Q2からはさらに雨が強くなり、路面状況は悪化していく。

フェルスタッペンは1番手を堅持したが、2番手はハミルトンが食い込み、ルクレールが3番手に後退した。日本人ドライバーの角田裕毅(アルファタウリ)は13番手で脱落。同僚のピエール・ガスリーも11番手でQ3進出を逃した。

Q3では雨も弱まってきたが、トップを守っていたフェルスタッペンが1走目で360度一回転するスピンで失速。マシンは無傷だったものの、2走目でもリカバリーできず、サインズにポールを奪われる事態に。サインツはこれがキャリア初のポールポジションとなった。ルクレールは3番手、4番手はセルジオ・ペレスとなった。

予選結果からフェラーリとレッドブルの2強が手堅く陣取った形で、5番手に入ったハミルトンがどこまで食い込めるかになりそうだ。カレンダーのなかでも屈指の高速コースであるシルバーストン・サーキットだが、ブリティッシュ・ウェザーと呼ばれる不安定な天候に左右されやすく、路面状況の変化を読み間違えると、致命傷になりかねない。各チームのピット戦略は注視すべきポイントだろう。また気温の低さからタイヤ温度があがらずグリップに難が出ることも予測され、ロングコーナーで無理なオーバーテイクを狙うと自滅するリスクもある。

なお、フェルスタッペンは昨季のイギリスGPを含め、地元のスターであるハミルトンとの年間タイトル争いの過程でクラッシュを厭わない戦法をとったことでヒートを買っており、今年は度々ブーイングをあびることになった。ハミルトンやメルセデスは地元のファンに対してブーイングをやめるように苦言を呈している。

イギリスGP予選結果・決勝グリッド

  1. カルロス・サインツ(レッドブル)
  2. マックス・フェルスタッペン(レッドブル)
  3. シャルル・ルクレール(フェラーリ)
  4. セルジオ・ペレス(レッドブル)
  5. ルイス・ハミルトン(メルセデス)
  6. ランド・ノリス(マクラーレン)
  7. フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)
  8. ジョージ・ラッセル(メルセデス)
  9. 周冠宇(アルファロメオ)
  10. ニコラス・ラティフィ(ウィリアムズ)
  11. ピエール・ガスリー(アルファタウリ)
  12. バルテリ・ボッタス(アルファロメオ)
  13. 角田裕毅(アルファタウリ)
  14. ダニエル・リカルド(マクラーレン)
  15. エステバン・オコン(アルピーヌ)
  16. アレックス・アルボン(ウィリアムズ)
  17. ケビン・マグヌッセン(ハース)
  18. セバスチャン・ベッテル(アストンマーチン)
  19. ミック・シューマッハ(ハース)
  20. ランス・ストロール(アストンマーチン)

第10戦イギリスGPで確認されたアップデート

予選前に公開されたアップデートは、アルファタウリ以外の9チームで確認された。とくにウィリアムズ(アレックス・アルボン機のみ)はフルアップデートとなり、サイドポッドに関してはファミリーのメルセデス型とは違う形状になった。メルセデスもフロントサスペンション、サイドポッド、フロアボディ、リアウイングに手を入れた。サイドポッドまわりについては、フェラーリやアストンマーチンも更新しており、空力面の最適解を求める試みが続く。レッドブルはブレーキの冷却性能の向上やフロアの効率化をさらに進めている。

PUアップデートは、ファラーリ系PUで軒並み更新が入った。2戦前のアゼルバイジャンGPでは、ルクレール機を含め、アルファロメオの周冠宇、ハースのケビン・マグヌッセンのマシンも相次いでトラブルが生じるなど、フェラーリPUは根本的な信頼性問題を抱えていた。ポールシッターになったサインツ機も4つのコンポーネントで上限基数越えにリーチがかかっており、イギリスGPで信頼性改善を示せるのか気になるところだ。

2022年F1第10戦イギリスGP:現地天気予報

レーススタート:現地時間7月3日(日)15:00(日本時間23:00)

イギリスGP決勝のシルバーストン・サーキット周辺の天気は、雨の可能性を考慮する必要がありそうだ。イングランド中部内陸部のノーサンプトンシャーは、気候的に夏でも曇りがちで、『ブリティッシュ・ウェザー』とも呼ばれる不安定な天気は、予測し難いとされる。例年の最高気温(すべて摂氏表記)は22度前後と非常に涼しい。決勝当日も、日中最高気温は19度の予想になっている。

土曜日の予選では、雨によるウエットコンディションにより順位に影響もでたが、現地時間3日の日曜日も、にわか雨の見込みと予報がでている。午前中は降水率は60%を越え、雷雨の可能性もあるが、午後の降水率は25%。ブリティッシュ・ウェザーに振り回され、路面状況の改善が遅れるとタイヤマネジメントが難しい局面を迎えるかもしれない。

注目のF1イギリスGP決勝は、日本時間7月3日(日)23時からスタートする。

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神宮泰暁 Yasuaki Shingu

神宮泰暁 Yasuaki Shingu Photo

日本編集部所属。ボクシング・格闘技担当編集者。