レッドブル今季4度目の1-2フィニッシュへ虎視眈々、不運続くフェラーリ復活はあるのか|2022年F1第9戦カナダGP:展望・現地天気予報

神宮泰暁 Yasuaki Shingu

レッドブル今季4度目の1-2フィニッシュへ虎視眈々、不運続くフェラーリ復活はあるのか|2022年F1第9戦カナダGP:展望・現地天気予報 image

FIA(国際自動車連盟)F1(フォーミュラ1)世界選手権の2022年シーズン第9戦となるカナダ・グランプリ(GP)が、ジル・ビルヌーブ・サーキットで日本時間6月18日(土)午前3時(決勝は20日午前3時)から行なわれる。前節アゼルバイジャンGPを制したレッドブルのマックス・フェルスタッペンとセルジオ・ペレスが再びワンツーフィニッシュを決めるのか。それともシャルル・ルクレールのフェラーリが悪夢の連鎖から抜け出すのか。前節を振り返りながら、3年ぶりとなるカナダGPの展望/プレビューと現地天気予報を紹介する。

▶F1カナダGPを観るならDAZNで。スマホやTVでスポーツをいつでも楽しもう

2022年F1第9戦カナダGP:前節振り返り&プレビュー・展望

前節の第8戦アゼルバイジャンGPは、マックス・フェルスタッペン、セルジオ・ペレスのレッドブル勢がワンツーフィニッシュを決め、フェラーリ勢はカルロス・サインツ、シャルル・ルクレールがWリタイアという悪夢のレースとなった。

フェルスタッペンにとってバクー市街地でのレースは、32歳にして黄金期に入った感のある僚友ペレスとのチーム内での争いに差をつける意味でも良い勝ち方ができた。開発面でフェルスタッペン機に先行して攻めたアップデートが試される一方で、信頼性が低下する諸刃の剣な面も続いていたが、バクーでは平穏無事に走り切った。この勝利で24歳255日という史上最年少でのキャリア25勝目に到達。今シーズン中にさらなる記録を伸ばすことは間違いないだろう。

バクーでのペレスは、タイヤデグレーションでペースがあがらずフェルスタッペンにトップを渡す場面があり、チームからは「戦うな」という指示が飛んだ。ただ、スペインGPでの順位禅譲に抗議したときのような対応はせず、「マックスの方が速かった」として受け入れた。ペレス自身は好調にあり、FP1とFP3でルクレールをおさえての1番手を奪い、決勝でもファステストラップを記録するなど、レッドブルとしては死角はない。フェルスタッペンもチームとしてペレスとともに今季4度目のワンツーフィニッシュを狙うことを宣言しているが、それを否定する大きな不安材料もない。

ライバルのルクレールは4戦連続でポールポジションを奪いながら、決勝で勝てないという悪夢のスパイラルに陥っている。バクーでは、僚友サインツ機は油圧計トラブルだったが、ルクレール機はパワーユニット(PU)トラブルでまたもリタイアを強いられた。フェラーリエンジンを積んだアルファロメオの周冠宇、ハースのケビン・マグヌッセンのマシンも相次いで見舞われた。モナコGPではピット戦略の失策で表彰台を逃したが、チームの技術的な信頼性問題で勝てない状況は深刻だ。結果、ルクレールは、ドライバーズランキングで1位のフェルスタッペンに34点差、ペレスには13点差をつけられ3位に後退することになった。

チームに対して理解と忍耐を示すルクレールだが、バクーで3基目のターボチャージャーを投入したため、早晩4基目で規定数を越えることは避けられない。スペインGPではMGU-H(ハイブリッドシステム)も破損している。早期解決できず、さらに信頼性トラブルが続く限り、ほかのコンポーネントも規定数オーバーのリスクがつきまとう。シーズン中、複数レースでグリッド降格ペナルティが重なることになれば、ライバルたちとの差は開くばかりだ。

フェラーリの自滅により、ジョージ・ラッセルが3位、ルイス・ハミルトンが4位で復活したかに見えるメルセデスだが、レース終了後にハミルトンがコックピットからしばらく立ち上がれないほどの激しい縦揺れが起きていた。メルセデス関係者は、これはバクーの凸凹の路面に起因するバウンシングであるとし、ポーパシングとは別問題だと説明している。ポーパシング解消により車高を下げるなど過度のセッティングをしたことと、バクーの路面の相互作用でバウンシングとボトミング(底づき)が発生したとし、モントリオールでは軽減されることを見込んでいるようだ。

なお、メルセデスは『縦揺れ』問題関連して、FIAにルール改正を訴えているが、ほかのチームやメディア関係者は「縦揺れが嫌なら車高をあげろ」と苦言を呈している。

日本人ドライバーの角田裕毅(アルファタウリ)は、ジル・ビルヌーブ・サーキットはキャリア初走行となるが、「ゲームで走り込んだコース」だとして本人は楽観的だ。しかし、下手な苦手意識もないため、オーバーテイクしやすいコース特性を最大限に利用し、好結果をつかむ可能性を期待したい。

アゼルバイジャンGPにおける全体的なアップデートでは、空力系はコースに合わせたダウンフォース調整の小幅なものとなったが、また、ほとんどのマシンがPUコンポーネントを何かしら更新した。各車前節で投入したPUは、収集したデータをもとにカナダGPで真価が発揮されるはずだ。

バクー市街地よりもダウンフォースレベルはさらに下がり、とにかくエンジンとブレーキ性能が求められる。レッドブルは典型的ストップ・アンド・ゴーのジル・ビルヌーブ・サーキットを見越してか、前節の段階でブレーキの冷却能力を向上させていた。各チームもカナダGPに合わせて手をいれるだろう。

ピット戦略は「ミディアム>ハード」の1ストップが理想とされるサーキットだが、F1レースが3年なかった路面と今季の重いマシンの組み合わせにおいて、タイヤのデグラデーションが未知数だ。過去のレースでは天候の変化も影響した。かの有名な「チャンピオンの壁」におけるピーキーな最終シケインを高速で切り抜けるには、デグに注意も必要だろう。

2022年F1第9戦カナダGP:現地天気予報

カナダGP開催中のモントリオールの天気は、現地金曜と土曜は小雨の予報が出ているが、決勝の日曜は晴れ予報となっている。地域的に寒暖差の激しい亜寒帯湿潤気候で、決勝昼間の最高気温は21度となっているものの、日照時間が長いため、路面温度は高くなる可能性がある。

注目のF1カナダGPは、日本時間6月18日(土)午前3時からのフリープラクティス(フリー走行)1で開幕する。

▶F1カナダGPを観るならDAZNで。スマホやTVでスポーツをいつでも楽しもう

神宮泰暁 Yasuaki Shingu

神宮泰暁 Yasuaki Shingu Photo

日本編集部所属。ボクシング・格闘技担当編集者。