伝統の市街地レースでルクレールは地元優勝を飾れるのか?それともフェルスタッペンの4連勝か?|F1第7戦モナコGP日程・放送予定

神宮泰暁 Yasuaki Shingu

伝統の市街地レースでルクレールは地元優勝を飾れるのか?それともフェルスタッペンの4連勝か?|F1第7戦モナコGP日程・放送予定 image

FIA(国際自動車連盟)F1(フォーミュラ1)世界選手権の2022年シーズン第7戦となるモナコ・グランプリ(GP)が、日本時間5月27日21時(決勝は29日)から開幕する。約93年の歴史を持つモナコGPの"伝統"のモンテカルロ市街地コースは、わずかなミスがリタイアにつながるカレンダー屈指の難コース。昨季覇者マックス・フェルスタッペンは4連勝、2連覇を遂げられるのか、それとも因縁のモナコでシャルル・ルクレールが久々の勝利を得るのか、注目のスペインGPの日程・放送予定を紹介する。

2022年F1第7戦モナコGP:レース概要

サーキットデータ

  • 名称:モンテカルロ市街地コース(モナコ公国モンテカルロ)

  • コース全長:3.340km

  • 周回数:78(時計回り)

  • コーナー数:18

  • 日本との時差:−7時間

  • 特徴:1950年のF1発足前の1929年から始まったモナコGPが、世界3大レースのひとつとされる所以は、モンテカルロ市街地コースにあるだろう。キリスト昇天祭に合わせて伝統的に木曜開幕、金曜休養のスケジュールだったが、今季から他GPと同様に金曜スタートに変更された。市街地コースの特徴として道路幅の狭さがあがるが、同地はとくに狭い箇所が多く、オーバーテイクが非常に難しいコースとして知られる。そのため、ポールポジションを得ることが勝利への絶対条件となり、土曜の予選時点から目が離せない。
    一方で、コース幅の狭いだけでなくブラインドコーナーも多く、退避場所もないため、ミス=リタイアにつながりやすい。赤旗もでやすく、レースペースも変動しがちだ。また、中低速コースのためタイヤの摩耗率は高くないものの、くねくねしたレイアウトゆえにブレーキ制動が重要視される。山側でアップダウンを繰り返すことからエンジン周りへの負担が過大になり、マシントラブルの危険性は高まる。様々な面でシビアな状況を強いられるF1カレンダー屈指の難コースだ。

直近の決勝成績(2021年5月23日)

  1. マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)1:38:56.820s
  2. カルロス・サインツ(フェラーリ)+8.968s
  3. ランド・ノリス(マクラーレン)+19.427s

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2022年F1第7戦モナコGP:タイムテーブルと放送予定

2022年度の日本国内におけるF1中継は、「DAZN」か「フジテレビNEXT」のみとなる。インターネット動画配信サービスの「DAZN」はフリープラクティス1~3、予選、決勝までの公式映像の全セッションに加え、それぞれの別視点(メインフィード、オンボードカメラ、タイムフィード、ドライバートラッカー)の映像も配信。レース前後の水曜には特別番組が配信され、さらにF2、F3やWシリーズも網羅する。CS放送の「フジテレビNEXT」は、全セッションを放送するだけでなく、「FOD」か「SPOOX」のいずれかのプラットフォームの「フジテレビNEXTsmart」でインターネット視聴も可能だ。

5月27日(金):フリープラクティス(フリー走行)1/2

  • FP1:21:00~22:00(現地14:00~15:00)
  • FP2:24:00~25:00(現地17:00~18:00)

5月28日(土):フリープラクティス(フリー走行)3/予選

  • FP3:20:00~21:00(現地13:00~14:00)
  • 予選:23:00~24:00(現地16:00~17:00)

5月29日(日):本戦決勝

  • 決勝:22:00~24:00(現地15:00~17:00)

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2022年F1第7戦モナコGP:みどころ

前節の第6戦スペインGPは、フェラーリにとって痛恨のレースだった。FPから予選まですべてでトップを走りポールポジションを奪ったシャルル・ルクレールは、途中まで独走するも、まさかのエンジントラブルでリタイア。同僚のカルロス・サインツも序盤のコーナー4に吹いた突風でスピンアウトした際、マシンにダメージを受け、4位に食い下がるも地元での表彰台入りを逃した。

レッドブルは、マックス・フェルスタッペンが2番手発進で、コーナー4の突風によるコースアウトも大事には至らず、レースに復帰。チームの指示で同僚セルジオ・ペレスに順位を譲られ、メルセデスのジョージ・ラッセルとのバトルを演じた。ところが、フェルスタッペンのマシンは予選から生じていたDRS開閉トラブルが再発し、一旦ペレスにラッセル攻略を任せることに。ペレスはラッセルを抜きトップに立つと、フェルスタッペンをドライバーズランキング首位に立たせたいチーム事情により、再び順位を禅譲。そのままフェルスタッペン、ペレスのワンツーフィニッシュとなった。

この勝利でフェルスタッペンはドライバーズランキング1位、レッドブルもコンストラクターズランキング1位に躍り出た。また、完全ではないにせよ、ついにポーパシング現象対策に成功したメルセデス勢は、ラッセル3位、ルイス・ハミルトン5位と復活の狼煙をあげ、ようやく2強時代から3強時代へと突入した。

フェラーリにとっては、モナコGPのモンテカルロ市街地コースは、コーナーの多い中低速コースで、「F1-75」の適正でいえば最もパフォーマンスが期待できる場所だ。ただ、ルクレール機は、スペインでターボチャージャーとMGU-H(ハイブリッドシステム)に修復不能となったため、規定上年間各4基までしか使えないなか、第7戦で早くも3基目を投入せざるを得なくなってしまった。4基目以降追加分だけグリッド降格のペナルティを受けるため、中盤戦以降綱渡りが続くことになる。

モンテカルロ出身のルクレール自身は、昨季モナコGPはポールポジションを得ながらレース前にリタイアの憂き目に遭っているが、今年もスペインGP前のモナコ・ヒストリックGPにおいて、ニキ・ラウダが乗ったことでも知られる1974年のマシンでクラッシュしている。その後日、件のスペインGP決勝でのエンジントラブルと続いており、地元での不運の連鎖を断ち切れるかが注目される。

レッドブルはスペインGPで小幅なアップデートを持ち込んだが、過度な軽量化でパフォーマンスが低下したことや、中低速コースであるため、一部旧パーツに戻す方針だという。とくに、フェルスタッペンのDRSトラブルについては、フェルスタッペンのマシンに先行投入したリアウイング軽量化パッケージ(DRSパーツ)に原因があったようだ。ペレスにおいては2度に渡るフェルスタッペンに順位を譲る指示について、レース中の無線で明らかに不満を述べていたが、レース後に「感情的になってしまった」と冷静になっていた。今季で満期の契約問題もあってか矛を収めているが、チームがフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)と交渉を持ったという報道もあり、尾を引く可能性もありそうだ。

メルセデスはスペインGPでの大規模アップデートで空力系を一新し、ポーパシング現象の大幅な改善(ゼロではないという)を実現した。ハミルトンもレース冒頭でのケビン・マグヌッセン(ハース)との接触がなければ、5位より上に入った可能性がある。だが、ラッセルが「ダウンフォースを失った」と証言した以外にも、エンジンパフォーマンスがオーバーヒートで出しきれなかったこともあり、まだレッドブルとフェラーリに対抗できるようなペースには至らないようだ。アップダウンの激しいモナコではエンジンの安定性が求められるだけに、メルセデスにとっては厳しい戦いになるかもしれない。

スペインGPでは10位入賞を果たした日本人ドライバーの角田裕毅(アルファタウリ)は、初モナコだった昨季の反省を活かし、予選Q3進出を目指すと意気込む。今季から金曜開幕となったことで集中力が維持しやすいとも話しており、好結果が期待される。

モナコGP開催中のモンテカルロ市街地コースの周辺の天気予報は、予選の土曜日までは降水率も低く、気温も26度とベストコンディションとなる。だが、決勝の日曜はにわか雨レベルながら降水率80%の予報がでており、時間経過による路面状況が気になるところだ。

注目のF1モナコGPは、日本時間5月27日(金)21時からのフリープラクティス(フリー走行)1から開幕する。

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神宮泰暁 Yasuaki Shingu

神宮泰暁 Yasuaki Shingu Photo

日本編集部所属。ボクシング・格闘技担当編集者。