伏兵ペレスがルクレール制して2勝目、フェルスタッペンの年間王者は持ち越し|F1シンガポールGP2022決勝結果・順位

神宮泰暁 Yasuaki Shingu

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現地時間10月2日、FIA(国際自動車連盟)F1世界選手権の第17戦シンガポールGP決勝はマリーナベイ市街地コース(5.063km/61周)で行われ、2番手発進のセルジオ・ペレス(レッドブル)がペナルティを跳ね除け、今季2勝目をあげた。ポールシッターのシャルル・ルクレール(フェラーリ)はベテランとの競り合いに敗れた。マックス・フェルスタッペン(レッドブル)は7位に終わり、年間王者連覇は日本GP以降に持ち越しとなった。

雨のマリーナベイは6台DNFの大荒れ模様

前日の予選以上の雨模様となった決勝は、約1時間遅れで始まった。気温は27℃、路面温度は30℃。湿度は80%と、ドライバーは蒸し暑さを感じる天候のなか、全車インターミディエイトタイヤでフォーメーションラップを終えた。ジョージ・ラッセル(メルセデス)は決勝直前のパワーユニット交換の影響でピットレーンスタートになっている。

スタート直後のターン1で、いきなりゲームが動いた。2番手のペレスがポールのルクレールを刺すと、4番手カルロス・サインツとの接触を避けたルイス・ハミルトン(メルセデス)はひとつ後退。序盤からフェラーリ勢がペレスを追う体制になった。

タイヤが弾く水しぶきとフロアが叩く火花を散らしながらのレースは、7周目のクラッシュでセーフティカー(SC)が初出動した。周冠宇(アルファロメオ)がニコラス・ラティフィ(ウィリアムズ)のマシンと接触し、右フロントを大破してリタイアとなり、ぶつけたラティフィもピットに戻った時点でDNF。10周目までSC導入となった。

21周目にはフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)がエンジントラブルでコース脇に止まり、バーチャルセイフティーカー(VSC)導入。26周目にはアレックス・アルボン(アルファロメオ)がターン8でのクラッシュの影響でピットに帰還したものの、コースには戻れなかった。VSC明けの28周目にはエステバン・オコン(アルピーヌ)がエンジンブローで白煙をあげてストップし、続けて3度目のVSC導入となり、この時点で5台がレースから消えた。

トップを走るペレスにとっては、スリッピーなウエットコンディションのなかでの度重なるペースダウンに焦らされる場面も多く、迫りくるフェラーリ勢から逃げるため、最初のSC導入手順において、SCと10車身以上離れるという規則を破ってしまった。

33周目には路面もドライとなり、次々にミディアムに履き替えられ、ラップタイムも更新されだした。10番手発進から12番手に落ちていた角田もここぞと先を急いだが、ターン10で痛恨のクラッシュとなり無念のリタイア。同時に2度目のSC出動となった。

2時間ルールの制限によりレース終了カウントダウンが始まるなか、依然として首位を死守するペレスは、最初のSCでの違反を警告されながらも、またも10車身ルールを破ってしまう。これにより5秒ペナルティを受ける可能性が出てきたが、2番手ルクレールをそれ以上に引き離して、そのままチェッカーフラッグを揺らした。

レース後、ペレスはSC手順違反の審議を受け、1回目は路面状況の悪さを考慮され戒告のみ、2度目の違反については警告点2点の罰則と5秒ペナルティを受けた。これにより2位ルクレールとは2.595秒差となったものの、それ以上のタイムペナルティもなく、シンガポールGP優勝は揺るがず。今季2勝目、キャリア4勝目をあげた。

フェルスタッペンの年間王者2連覇は日本GP以降に持ち越し

一方の僚友フェルスタッペンは、予選の燃料不足で8番手発進を強いられたうえ、スタート時のアンチストールでさらに12番手まで落とし、その後もアロンソがリタイアするまで抜き去ることもできず、我慢の時間が続いた。40周目には13番手にまで後退するも、どうにか7位に食い込み、ドライバーズポイント6点追加で計341点に。星取計算上、ルクレールやペレスの順位次第ながら、優勝(25点)+ファステストラップ(1点)で年間王者2連覇確定の可能性もあったが、次戦・日本GP以降に持ち越しになった。フェルスタッペンはあと34点獲得すれば年間王者が決まる状況にある。

ファステストラップはジョージ・ラッセル(メルセデス)の54周目1:46.458だった(ドライバーズポイント1点は10位以内の場合のみ発生)。

9度目のポールポジションを得ながらまたしても2位に甘んじることになったルクレール。これまで陣営の戦略ミスで勝てた試合を落としたレースも多かったが、今回はペレスの走りに押し切られた。ドライバーズポイントは18点得ての計237点。非現実的な話だが、フェルスタッペンが残り5戦で無得点となり、かつ自身が5勝しない限り、奇跡の年間王者はない。現実的な問題としては、2点差で迫るペレス(235点)との2位争いだろう。ドライバーズランキングでのレッドブルの1−2を阻止するためにも、4位のラッセル、5位のサインツの追撃をかわすためにも、残る5戦で優勝をつかみたい。

第17戦シンガポールGP決勝リザルト(順位/ドライバー名/走破周/タイム/獲得点)

  1. セルジオ・ペレス(レッドブル)59周 / 2:02:15.238 / 25点
  2. シャルル・ルクレール(フェラーリ)59周 / +7.595s / 18点
  3. カルロス・サインツ(フェラーリ)59周 / +15.305s / 15点
  4. ランド・ノリス(マクラーレン)59周 / +26.133s / 12点
  5. ダニエル・リカルド(マクラーレン)59周 / +58.282s / 10点
  6. ランス・ストロール(アストンマーチン)59周 / +61.330s / 8点
  7. マックス・フェルスタッペン(レッドブル)59周 / +63.825s / 6点
  8. セバスチャン・ベッテル アストンマーチン)59周 / +65.032s / 4点
  9. ルイス・ハミルトン(メルセデス)59周 / +66.515s / 2点
  10. ピエール・ガスリー(アルファタウリ)59周 / +74.576s / 1点
  11. バルテリ・ボッタス(アルファロメオ)59周 / +93.844s / 0点
  12. ケビン・マグヌッセン(ハース)59周 / +97.610s / 0点
  13. ミック・シューマッハ(ハース)58周 / +1 lap / 0点
  14. ジョージ・ラッセル(メルセデス)57周 / +2 laps / 0点★
  • リタイア(NC)
    • 角田裕毅(アルファタウリ)34周 / DNF / 0点
    • エステバン・オコン(アルピーヌ)26周 / DNF / 0点
    • アレックス・アルボン(ウィリアムズ)25周 / DNF / 0点
    • フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)20周 / DNF / 0点
    • ニコラス・ラティフィ(ウィリアムズ)7周 / DNF / 0点
    • 周冠宇(アルファロメオ)6周 / DNF / 0点

★:ファステストラップ、1:46.458(54周)

フェルスタッペン連覇まで秒読み段階

シンガポールGP決勝終了後のドライバーズランキング(スタンディング)は、1位のフェルスタッペンが6点追加に留まったが(341点)、もはやいつ世界王者2連覇を決めるかの秒読み段階にあり、あとはフェルスタッペン自身、己との戦いになる。ただし、2位以下は団子状態になっており、2位ルクレール(237点)、3位ペレス(235点)、4位ラッセル(203点)、5位サインツ(202点)と数戦で順位が入れ替わる混戦ぶりとなっている。角田はランス・ストロール(アストンマーチン)上昇によりひとつ後退し、17 位(11点)となった。

ドライバーズランキング(シンガポールGP後)

  1. マックス・フェルスタッペン(レッドブル)341点
  2. シャルル・ルクレール(フェラーリ)237点
  3. セルジオ・ペレス(レッドブル)235点
  4. ジョージ・ラッセル(メルセデス)203点
  5. カルロス・サインツ(フェラーリ)202点
  6. ルイス・ハミルトン(メルセデス)170点
  7. ランド・ノリス(マクラーレン)100点
  8. エステバン・オコン(アルピーヌ)66点
  9. フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)59点
  10. バルデリ・ボッタス(アルファロメオ)46点
  11. ダニエル・リカルド(マクラーレン)29点
  12. セバスチャン・ベッテル(アストンマーチン)24点
  13. ピエール・ガスリー(アルファタウリ)23点
  14. ケビン・マグヌッセン(ハース)22点
  15. ランス・ストロール(アストンマーチン)13点
  16. ミック・シューマッハ(ハース)12点
  17. 角田裕毅(アルファタウリ)11点
  18. 周冠宇(アルファロメオ)6点
  19. アレックス・アルボン(ウィリアムズ)4点
  20. ニック・デ・フリース(ウィリアムズ)2点
  21. ニコラス・ラティフィ(ウィリアムズ)0点
  22. ニコ・ヒュルケンベルグ(アストンマーチン)0点

コンストラクターズ(チーム)ランキングは、首位レッドブルの576点に対し、フェラーリ(439点)が着実に点を重ねて追うものの、今回も優勝を逃していることからその点差を大きく縮められていない。

コンストラクターズランキング(シンガポールGP後)

  1. レッドブルレーシング・RBPT 576点
  2. フェラーリ 439点
  3. メルセデス 373点
  4. マクラーレン・メルセデス 129点
  5. アルピーヌ・ルノー 125点
  6. アルファロメオ・フェラーリ 52点
  7. アストンマーチン・アラムコ・メルセデス 37点
  8. ハース・フェラーリ 34点
  9. アルファタウリ・RBPT 34点
  10. ウィリアムズ・メルセデス 6点

次戦は2019年以来の日本GP

次戦はいよいよ3年ぶりの開催となる日本グランプリ。鈴鹿サーキットにF1が帰ってくる。日本時間10月7日(金)13:00からのFP1で開幕し、予選は10月8日(土)16:00、決勝は同9日(日)14:00スタートとなる。

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神宮泰暁 Yasuaki Shingu

神宮泰暁 Yasuaki Shingu Photo

日本編集部所属。ボクシング・格闘技担当編集者。