レッドブルの本拠地で今季2度目のスプリント実施|F1第11戦オーストリアGP予選結果・決勝展望・天気情報

神宮泰暁 Yasuaki Shingu

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FIA(国際自動車連盟)F1(フォーミュラ1)世界選手権の2022年シーズン第11戦となるオーストリア・グランプリ(GP)の決勝が、日本時間7月10日(日)22時から行なわれる。8日の予選結果、9日のスプリント結果、そして決勝の展望、現地天気予報を紹介する。

2022年F1第11戦オーストリアGP:前節振り返り&予選結果から占うプレビュー・展望

第10戦イギリスGP振り返り

前節の第10戦イギリスGPは、スタート直後の多重クラッシュでアルファロメオの周冠宇のマシンが逆さまになるなど大荒れの幕開けとなったが、フェラーリのカルロス・サインツがキャリア初のポールポジション獲得から、初のポールトゥウィン、初の優勝を遂げた。ここまで安定した成績を残してきたサインツだが、今回は運にも恵まれた。

まず、ピエール・ガスリーと角田裕毅の同士討ちクラッシュによる車体破片がマックス・フェルスタッペン(レッドブル)のマシンのフロアに挟まり、ダウンフォース低下で失速しトップ争いから脱落。さらに終盤にかけて、同僚シャルル・ルクレールとセルジオ・ペレス(レッドブル)、ルイス・ハミルトン(メルセデス)による抜きつ抜かれつの近年まれにみる熾烈なバトルが展開されたことで、サインツが逃げ切る余地が生まれた。

不運だったのはルクレールで、一時はペースが上がらないサインツに代わってトップに立つも、ペレスとハミルトンとの競り合いでピットインを逃したことで4位に。ペレスはルクレールとの接触によるフロントウイング破損で一時最後尾まで落ちるも、セイフティカー導入に乗じて2位に這い上がった。ハミルトンは惜しくも3位となったが、王者復活といえる貫禄の走りをみせ、シーズン後半戦への手応えをつかんだ。フェルスタッペンは7位で無得点は回避し、ドライバーズポイントをわずかに増やした。

第11戦オーストリアGPのサーキット、レッドブル・リンクの特徴

エステルライヒリンク、A1リンク、そしてレッドブル・リンクと名を変えてきた名門サーキット。標高700mという比較的高地といえるオーストリアの中央に位置する山々に囲まれたシュタイヤーマルクの丘陵地にあり、コース内高低差は63.5m。全長4.318kmで10コーナーのみながらDRSゾーンは3つ設定されており、カレンダー中最速ラップが生まれる。コーナー3以降はほぼくだり坂で高速を維持しやすいが、ターン10はイン側の傾斜が高めのためコースアウトリスクがある。手前のコーナー9はオーバーテイクチャンスであると同時に、車体の大きなダメージを与える縁石が配されており、このセクションは大きなみどころになっている。

タイヤ負荷は低く、管理は難しくない一方で、メキシコGPのエルマノス・ロドリゲス・サーキット(最大標高2229m)ほど高地ではないものの、ターボチャージャー効率や各種冷却能力が落ちるため、マシントラブルの懸念は高まる。コーナー数の少なさから熱エネルギーのMGU-Hに過多になり、ERS効率のバランスが良くない。

第11戦オーストリアGP予選結果

オーストリアGPでは今季中3度予定されるスプリントの2回目が行なわれる。初日の7月8日、FP1の時点で赤旗が2度出たことで各車セッティングに十分な時間を取れないまま予選に臨むことになった。

気温19度、路面温度は37度でQ1がスタートしたが、ランス・ストロール、セバスチャン・ベッテルらアストンマーチン勢が全滅、前節の大クラッシュで体調が心配された周冠宇も18番手で脱落した。Q2では、アンガーマネジメント問題でチームから警告を受けている角田裕毅がQ3圏内に挑み、2度目のアタックでタイム更新を狙うも、ターン1でコースアウトし万事休す。14番手で終わった。また、セルジオ・ペレス(レッドブル)には2度目のアタックにおけるターン8域外走行疑いが浮上したものの、この時点では疑義にならずQ3に進出した。

Q3はルイス・ハミルトンが好タイムを予感させるも、ターン7でスナップしてバリケードにつっこみ車体右側を破損。ハミルトン自身は無傷だった。さらにジョージ・ラッセルもインの傾斜が高い厄介なターン10でスリップアウトし、リヤをバリケードにぶつけて赤旗となった。ポール争いはマックス・フェルスタッペン(レッドブル)がシャルル・ルクレールとカルロス・サインツのフェラーリ勢をおさえてポールを奪った。

予選順位は9日のスプリントのグリッドとなり、スプリントの順位が10日の決勝グリッドになる。ペレスは4番手についたものの、Q2での域外走行(トラックリミット違反)が確認され、Q2のベスト、Q3の全タイムを抹消、スプリントは13番グリッドに降格した。

オーストリアGPスプリントグリッド

  1. マックス・フェルスタッペン(レッドブル)
  2. シャルル・ルクレール(フェラーリ)
  3. カルロス・サインツ(フェラーリ)
  4. ジョージ・ラッセル(メルセデス)
  5. エステバン・オコン(アルピーヌ)
  6. ケビン・マグヌッセン(ハース)
  7. ミック・シューマッハ(ハース)
  8. フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)
  9. ルイス・ハミルトン(メルセデス)
  10. ピエール・ガスリー(アルファタウリ)
  11. アレックス・アルボン(ウィリアムズ)
  12. バルテリ・ボッタス(アルファロメオ)
  13. セルジオ・ペレス(レッドブル)
  14. 角田裕毅(アルファタウリ)
  15. ランド・ノリス(マクラーレン)
  16. ダニエル・リカルド(マクラーレン)
  17. ランス・ストロール(アストンマーチン)
  18. 周冠宇(アルファロメオ)
  19. ニコラス・ラティフィ(ウィリアムズ)
  20. セバスチャン・ベッテル(アストンマーチン)

F1オーストリアGPスプリント:トップ4は予選と変わらず

9日のFP2後、100kmの短距離レースとなるスプリントは、決勝のグリッドと、1位から8位まではドライバーズポイントを8〜1点得られる。気温21度、路面37度のドライコンディションでスタートした。

予選でポールシッターとなったフェルスタッペンは、スタート直後のフェラーリ勢との競り合いを制すとそのまま独走状態となり、スプリントも勝利。ドライバーズポイント8点と決勝ポールポジションも獲得し、ホームレースで今季7勝目を狙う準備は整った。

ルクレールが2番手、サインツが3番手、4番手はジョージ・ラッセルでトップ4は変わらず。5番手には予選Q2での域外走行違反で13番手スタートだったペレスが食い込んだ。ハミルトンはガスリーに接触された影響もあり、ひとつあげて8番手でフィニッシュとなった。

14番手だった角田裕毅は17番手に後退。本人はグリップが足りないと話しており、チームからもマシンの不調が認められた。

オーストリアGPスプリント結果

  1. マックス・フェルスタッペン(レッドブル)23周/26:30.059/8点
  2. シャルル・ルクレール(フェラーリ)23周/+1.675s/7点
  3. カルロス・サインツ(フェラーリ)23周/+5.644s周/6点
  4. ジョージ・ラッセル(メルセデス)23周/+13.429s周/5点
  5. セルジオ・ペレス(レッドブル)23周/+18.302s周/4点
  6. エステバン・オコン(アルピーヌ)23周/+31.032s周/3点
  7. ケビン・マグヌッセン(ハース)23周/+34.539s周/2点
  8. ルイス・ハミルトン(メルセデス)23周/+35.447s周/1点
  9. ミック・シューマッハ(ハース)23周/+37.163s周/-
  10. バルテリ・ボッタス(アルファロメオ)23周/+37.557s周/-
  11. ランド・ノリス(マクラーレン)23周/+38.580s周/-
  12. ダニエル・リカルド(マクラーレン)23周/+39.738s周/-
  13. ランス・ストロール(アストンマーチン)23周/+48.241s周/-
  14. 周冠宇(アルファロメオ)23周/+50.753s周/-
  15. ピエール・ガスリー(アルファタウリ)23周/+52.125s周/-
  16. アレックス・アルボン( ウィリアムズ)23周/+52.412s周/-
  17. 角田裕毅(アルファタウリ)23周/+54.556s/-
  18. ニコラス・ラティフィ(ウィリアムズ)23周/+68.694s周/-
  19. セバスチャン・ベッテル(アストンマーチン)21周/DNF周/-
  20. フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)0周/DNS周/-

第11戦オーストリアGPで確認されたアップデート

車体アップデートは、ホームのレッドブルがフロア、フロント、エンジンカバーを変更。メルセデスワークスのマクラーレンはリヤまわり、ウィリアムズはフロントサス、アルピーヌがリヤウイングに手を入れた。ベルギーGPに延期されたものの、ポーパシングおよびフロア規制導入も控えており、各チーム、大きなアップデートはフランスGP以降に持ち越した様子だ。

パワーユニット関連では、フェラーリ系PUで更新が目立ち、そのなかではバルテリ・ボッタス(アルファロメオ)がエキゾーストシステム以外ですべて規定数オーバー(コンボごとに超過初回10グリッド降格、以降5グリッド降格)となり決勝グリッドは最後尾が確定している。規定数超過罰則はスプリントグリッドには影響しない。

2022年F1第11戦オーストリアGP:現地天気予報

  • 予選スタート:現地時間7月8日(金)17:00(日本時間24:00)

  • スプリントスタート:現地時間7月9日(土)16:30(日本時間23:30)

  • 決勝スタート:現地時間7月10日(日)15:00(日本時間22:00)

オーストリアGPのレッドブル・リンク周辺の天気予報(8日時点)は、初日となる8日、FP1と予選のいずれの時間帯も降水率は0%で気温(すべて摂氏)も21度とコンディションに影響はないとみられる。スプリントが行なわれる9日は日中晴れ間もでる予報で多少路面温度に影響はありそうだ。9日夜から続く雨は10日の昼頃まで続くが、決勝レース開始の15時までには5%前後までさがる見込み。レース中に崩れる可能性も低いとみられる。

注目のF1オーストリアGP決勝は、日本時間7月10日(日)22時からスタートする。日本国内での中継はフジテレビNEXTDAZNで視聴できる。

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神宮泰暁 Yasuaki Shingu

神宮泰暁 Yasuaki Shingu Photo

日本編集部所属。ボクシング・格闘技担当編集者。