ペドロ・ロドリゲスからセルジオ・ペレスまで、メキシコGPを走ったメキシコ人F1ドライバーの歴史

Sergio Rabinal

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メキシコには、F1(Formula 1)に関連する長く豊かな歴史がある。その歴史は、つねにメキシコグランプリ(GP)の舞台となってきたアウトドローモ・エルマノス・ロドリゲスでのローカルレースから始まった。1960年代のペドロ・ロドリゲスから、現代のセルジオ・ペレスまで、メキシカンドライバーの歴史を本誌スペイン語記者セルジオ・ラビナル(Sergio Rabinal)が紹介する。

メキシコGPにおけるメキシコ人ドライバーの歴史

Pedro Rodriguez Brabham 1971
Getty Images, Alvis Upitis

「グラン・プレミオ・デ・メヒコ(メキシコGP)」は、ペドロ・ロドリゲス、リカルド・ロドリゲス兄弟の父ペドロ・ナタリオ・ロドリゲス・キハダのアイデアから生まれ、キハダを後ろ盾する人脈によって、1962年にまずノンスコアリングレースとして開催された。しかし、このレースに参加したリカルドは「魔のコーナー」というべき、ラ・ペラルターダで事故に遭い、命を落としてしまった。

1963年から1970年までの最初期のメキシコGPは、F1カレンダーのなかでも盛況だったが、その(最初の)終焉はリカルドの兄ペドロの事故死(1971年のドイツのレース)と符号した。2011年に「チェコ」ことセルジオ・ペレスがF1シーンに登場するまで、このカテゴリーで最も成功したメキシコ人ドライバーといえば、ペドロ・ロドリゲスだった。

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夜間であろうと、いかなる天候だろうと見事に走り切ることから「Ojos de gato(キャッツアイ=猫の目)」と呼ばれたペドロは、メキシコGPに計8度出場し、最高の成績を収めたのはBRM時代だった。この英国のコンストラクターのもとで1968年に4位を記録し、最後に参加した1970年では6位に入賞した。ペドロにとってメキシコGPは、表彰台に上がることなく最も多くの通算ポイントを獲得(通算8点)したレースでもある。

また同時期、モイセス・ソラーナは1963年から1968年にかけてBRM、クーパー、ロータスのマシンでアステカの地でのレースに出場した。10位となった1964年は、ソラーナがチェッカーフラッグをその目で見ることができた唯一の年であり、ほかの5度の出場ではマシントラブルやアクシデントで規定周回数に届かないか、リタイアを余儀なくされた。

ロドリゲス兄弟とソラーナ(彼もまた1969年のレースで事故死)の死により、当時のメキシコGPのプロモーターは1971年以降の開催続行を断念。1970年代後半から80年代初頭にかけてF1シーンで活躍したヘクトール・レバークは、ホームレースに出場できないままキャリアを終えた。

その後、1986年から1992年の第2期を迎えたメキシコGPだが、この期間は母国のドライバーが走ることはなく、2015年にアウトドローモが2度目のカレンダー復帰を果たすことによって、ようやくメキシコのファンはメキシコ人ドライバーが母国のレースで走る雄姿を観ることができた。

現在の第3期において最も輝かしい成績を残しているのはセルジオ・ペレスであり、完走したすべてのレースでポイントを獲得。2018年に限ってはブレーキトラブルでリタイアとなったが、2021年には母国GPで表彰台に上った、最初で唯一のメキシコ人ドライバーの栄誉を手にした。

2013-2016シーズンを戦ったエステバン・グティエレスは、自身唯一の出場となった2016年大会で地元ファンから暖かい歓迎を受けた。ただ、レースの結果はハッピーとはいえず、ハースのドライバーだったグティエレスは19位でフィニッシュしている。 

余談だが、アルフォンソ・セリス・ジュニアはフォース・インディアから2017年のフリープラクティス1のみに出場した。1分22秒342のタイムは最後から2番目の結果だった。セリス・ジュニアは2018年以降レース業界から姿を消している。

メキシコGPにおけるメキシコ人ドライバーの戦績

ドライバー

出場回数

最高のスタート位置

最高の決勝順位

ペドロ・ロドリゲス

8回(1963-1970年)

7番手(1970年)

4位(1968年)

モイセス・ソラーナ

6回(1963-1968年)

9番手(1965/1967年)

10位(1964年)

エステバン・グティエレス

1回(2016年)

17番手

19位

アルフォンソ・セリスJr.

1回(2017年)

FP1のみ

FP1のみ

セルジオ・ペレス

6回(2015-2019年, 2021年-現在)

4番手(2021年)

3位(2021年)

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原文:¿Cómo les fue a los pilotos mexicanos en el Gran Premio de México? Resultados e historia de sus carreras de Fórmula 1 en el Autódromo Hermanos Rodríguez
翻訳・編集:スポーティングニュース日本版編集部

※本記事はスペイン語版記事を翻訳・編集し、追加情報などを加えた日本版記事となる。

Sergio Rabinal

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Sergio es productor de contenido en las ediciones en español de The Sporting News. Desde 2018 desempeña las funciones de productor senior de contenido NBA. A lo largo de ese tiempo ha cubierto dos All-Stars, Basketball Without Borders y el NBA Paris Game, así como otros eventos. Pesimismo de la inteligencia, optimismo de la voluntad.