フェルスタッペン逆転V11もSC先導終了でルクレールとの直接対決は消化不良|F1イタリアGP決勝結果・順位

神宮泰暁 Yasuaki Shingu

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現地時間9月11日、FIA(国際自動車連盟)F1世界選手権の第16戦イタリアGP決勝はモンツァ・サーキット(5.793km/53周)で行われ、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)が7番手からの同GP初優勝で今季11勝目をあげた。シャルル・ルクレールはフェラーリの聖地でライバルとの激闘をみせるも、残り6周で発生したダニエル・リカルド(マクラーレン)のマシントラブルにより、セイフティーカー先導のままレースが終了し、勝利を逃した。

フェルスタッペンが7番手から逆転優勝、フェラーリ勢は聖地で勝てず

「スピードの殿堂」とも呼ばれるモンツァ・サーキットには、イタリアのフェラーリファン「ティフォシ」が大挙して詰めかけ、赤色に染め上げていた。10日の予選では、ルクレールがその期待に応え、ポールポジションを獲得。モンツァでの2019年以来の勝利へ近づいた。一方、年間王者争いを独走するフェルスタッペンは、予選2番手ながらICE(内燃エンジン)の規定数超過で5グリッド降格で7番手発進となったが、2戦前のベルギーGPでの14番手からの優勝を遂げたあとだけに、決勝開始前からロングレースに備えたセッティングとプランに自信をみせていた。

モンツァ周辺の天気は晴れ、気温27.6℃、路面温度は44.2℃のドライコンディション。先日亡くなった英国エリザベス女王への黙祷を終えてからレースが始まった。フェルスタッペンが5周目でポールのルクレールを捉えると、12周目、セバスチャン・ベッテル(ウィリアムズ)車がマシントラブルで停車し、バーチャルセイフティーカーが導入される。このタイミングでルクレールがソフトからミディアムに履き換えたが、フェルスタッペンはステイアウトでトップに立つと、25周目まで粘ってミディアムに換装した。

入れ替わるように再び首位となり、10秒近いアドバンテージを得たルクレールだが、後方ではフェルスタッペンがファステストラップを塗り替えながらジリジリと肉迫。フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)車の水圧系トラブルが出た34周目のタイミングでルクレールはソフトに履き直す。フェルスタッペンはまたもステイアウトでトップに返り咲きワンストップで逃げ切る作戦にでる。そしてそれをルクレールが追うというシーソーゲームの様相となった。

しかし、今季のルクレールには不運がつきもの。47周目、ダニエル・リカルドのマシンが停車。ギアのスタックによって退避路に押し出せないことが分かると、重機での撤去が必要となり、セイフティーカー導入に移行した。これによって各車が続々とソフトに履き替え、残り6周の超高速レースになると思いきや、赤旗はでず、SC先導のままレースは終了。1位のフェルスタッペンが5連勝、今季11勝目をあげることになったが、消化不良の最後となった。

FIAは「赤旗出すほどではなかった」と、SC先導完走の理由を説明

SC先導のまま優勝したフェルスタッペン自身が消化不良感を語れば、優勝の可能性を奪われた2位のルクレールも「ティフォシの前で勝てたはずだった」と悔しがった。レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表も「コース上でレースをしながら勝ちたかった」「レース再開する時間はあった」と、後半の熱戦に水を差したSC先導終了に不満を隠さなかった。

今回の対処についてFIAは、クレーンを使ってコースからスタックしたリカルドのマシンを退避させる必要があったため、あくまで安全面を優先したこと。一方で、路面にデブリが散乱するような状況ではなかったため、赤旗で全面的にレースを止めて仕切り直すようなインシデントではなかったとし、合意された規則に従ってSC先導のままレースを終えたとした。

もっとも、タイヤの持ちはレッドブルの方が良かったとフェルスタッペンが評したように、赤旗で仕切り直したとしても、新品のソフトを履いたレッドブルマシンに、デグラデーションに苦しんだフェラーリの勝機は薄かったという見方もある。ルクレール自身も「SC先導以前に問題があって2番手だった」と話している。悔しい結果に終わったが、イタリアのティフォシはルクレールを祝福した。

なお、3位はジョージ・ラッセル(メルセデス)で表彰台入り。ファステストラップは6位セルジオ・ペレスの1’24.030(46周目)。角田裕毅は14位に終わった。

後味の悪いレースとなったが、虫垂炎で離脱したウィリアムズのアレックス・アルボンの代役としてF1デビューとなったニック・デ・フリースが2点獲得の9位入賞を果たし、ドライバー・オブ・ザ・デイにも選出された。不慣れなF1レースで違反行為をおかしたものの、戒告処分にとどまるなど、上々のデビュー戦となった。

第16戦イタリアGP決勝リザルト(順位/ドライバー名/走破周/タイム/獲得点)

  1. マックス・フェルスタッペン(レッドブル)53周 / 1:20:27.511 / 25点
  2. シャルル・ルクレール(フェラーリ)53周 / +2.446s / 18点
  3. ジョージ・ラッセル(メルセデス)53周 / +3.405s / 15点
  4. カルロス・サインツ(フェラーリ)53周 / +5.061s / 12点
  5. ルイス・ハミルトン(メルセデス)53周 / +5.380s / 10点
  6. セルジオ・ペレス(レッドブル)53周 / +6.091s / 9点★
  7. ランド・ノリス(マクラーレン)53周 / +6.207s / 6点
  8. ピエール・ガスリー(アルファタウリ)53周 / +6.396s / 4点
  9. ニック・デ・フリース(ウィリアムズ)53周 / +7.122s / 2点
  10. 周冠宇(アルファロメオ)53周 / +7.910s / 1点
  11. エステバン・オコン(アルピーヌ)53周 / +8.323s / 0点
  12. ミック・シューマッハ(ハース)53周 / +8.549s / 0点
  13. バルテリ・ボッタス(アルファロメオ)52周 / +1 lap / 0点
  14. 角田裕毅(アルファタウリ)52周 / +1 lap / 0点
  15. ニコラス・ラティフィ(ウィリアムズ)52周 / +1 lap / 0点
  16. ケビン・マグヌッセン(ハース)52周 / +1 lap / 0点
  • リタイア(NC)
    • ダニエル・リカルド(マクラーレン)45周 / DNF / 0点
    • ランス・ストロール(アストンマーチン)39周 / DNF / 0点
    • フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)31周 / DNF / 0
    • セバスチャン・ベッテル(アストンマーチン)10周 / DNF / 0点

★:ファステストラップ、1’24.030(46周目)

フェルスタッペン無双はどこまで続く?

イタリアGP決勝終了後のドライバーズランキングは、1位のフェルスタッペンが335点。ルクレールは219点で114点差に。3位ペレス(210点)、4位ラッセル(203点)、5位サインツ(187点)、6位ハミルトン(168点)で3強の上位6人に順位に動きはなかった。角田は16位(11点)で変わっていない。

ドライバーズランキング(イタリアGP後)

  1. マックス・フェルスタッペン(レッドブル)335点
  2. シャルル・ルクレール(フェラーリ)219点
  3. セルジオ・ペレス(レッドブル)210点
  4. ジョージ・ラッセル(メルセデス)203点
  5. カルロス・サインツ(フェラーリ)187点
  6. ルイス・ハミルトン(メルセデス)168点
  7. ランド・ノリス(マクラーレン)88点
  8. エステバン・オコン(アルピーヌ)66点
  9. フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)59点
  10. バルデリ・ボッタス(アルファロメオ)46点
  11. ピエール・ガスリー(アルファタウリ)22点
  12. ケビン・マグヌッセン(ハース)22点
  13. セバスチャン・ベッテル(アストンマーチン)20点
  14. ダニエル・リカルド(マクラーレン)19点
  15. ミック・シューマッハ(ハース)12点
  16. 角田裕毅(アルファタウリ)11点
  17. 周冠宇(アルファロメオ)6点
  18. ランス・ストロール(アストンマーチン)5点
  19. アレックス・アルボン(ウィリアムズ)4点
  20. ニック・デ・フリース(ウィリアムズ)2点
  21. ニコラス・ラティフィ(ウィリアムズ)0点
  22. ニコ・ヒュルケンベルグ(アストンマーチン)0点

コンストラクターズ(チーム)ランキングは、レッドブルが545点で、2位のフェラーリ(406点)に139点差に広げた。3位メルセデスは371点となった。

コンストラクターズランキング(イタリアGP後)

  1. レッドブルレーシング・RBPT 545点
  2. フェラーリ 406点
  3. メルセデス 371点
  4. アルピーヌ・ルノー 125点
  5. マクラーレン・メルセデス 107点
  6. アルファロメオ・フェラーリ 52点
  7. ハース・フェラーリ 34点
  8. アルファタウリ・RBPT 33点
  9. アストンマーチン・アラムコ・メルセデス 25点
  10. ウィリアムズ・メルセデス 6点

次戦は秋のアジアラウンド初戦シンガポールGP

次戦から秋恒例のアジアラウンドとなり、第17戦シンガポールGPはマリーナベイ市街地コースで、日本時間9月30日(金)19:00からのFP1で開幕する。予選は10月1日(土)22:00、決勝は同2日(日)21:00スタートとなる。

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神宮泰暁 Yasuaki Shingu

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日本編集部所属。ボクシング・格闘技担当編集者。