フェルスタッペンが14番手から大逆転V9も、捨てバイザー騒動で物議|F1第14戦ベルギーGP決勝結果・順位

神宮泰暁 Yasuaki Shingu

フェルスタッペンが14番手から大逆転V9も、捨てバイザー騒動で物議|F1第14戦ベルギーGP決勝結果・順位 image

現地時間8月28日、FIA(国際自動車連盟)F1世界選手権の第14戦ベルギーGP決勝が名門サーキット、スパ・フランコルシャン(7.004km/44周)で行われ、降格ペナルティもあり14番手発進だったマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が、驚異の逆転優勝で今季9勝目をあげた。一方で、レース序盤でフェルスタッペンが投棄した捨てバイザーがシャルル・ルクレールのマシントラブルの原因となったとフェラーリ陣営が明かし、物議を醸している。捨てバイザー問題はかねてから議論されていた。

フェルスタッペンが13車ぶち抜き、2位ペレスに17秒差つけてのV9

7人のマシンがパワーユニット(PU)交換規定数超過のグリッド降格ペナルティを受ける「戦略的降格」を選んだことで、同27日の予選結果から大きく変動したスターティンググリッド。さらに角田裕毅(アルファタウリ)も決勝直前のPU交換でピットレーン発進となり、フェルスタッペンは予選トップタイプながら14番手発進となり、ポールポジションは本来2番手のカルロス・サインツ(フェラーリ)。ライバルのルクレールも同様に降格罰で15番手からとなっていた。

レースはいきなりクラッシュで開幕した。1周目のターン5でルイス・ハミルトン(メルセデス)がイン側を走るフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)のマシンの前輪に自身のマシンの後輪を乗り上げ、バウンドしながらコースアウトし、リタイヤ。さらに2周目でも同箇所でニコラス・ラティフィ(ウィリアムズ)のスピンに巻き込まれたバルテリ・ボッタス(アルファロメオ)がレースから離脱した。

フェルスタッペンは1周目の時点で呆気なく6つ番手をあげると、18周目にしてサインツからトップを奪取。以降、僚友ペレスが2番手に浮上してからも終始20秒前後先行。悠々と飛ばし続け、ファステストラップも計上した。そのまま44周を終えると、3連勝にして今季9勝目を獲得。ペレスとの1-2フィニッシュでレッドブルにとって最良のレースとなった。

3位はメルセデスのジョージ・ラッセルの猛追をかわしたサインツが食い込み、フェラーリがオーストリアGP以来の表彰台入りを果たした。ルクレールは6位に終わった。

決勝直前のPU交換でピットレーンスタートだった角田は一時7番手まで浮上するも、中盤のピットインで大きく後退。中段グループ以降は、アレクサンダー・アルボン(ウィリアムズ)を先頭にしたトレインが形成され、膠着した。最終的に角田は周冠宇(アルファロメオ)とのアジア人対決に競り勝ち、13位で終えた。

第14戦ベルギーGP決勝リザルト(順位/ドライバー名/走破周/タイム/獲得点)

  1. マックス・フェルスタッペン(レッドブル)44周/1:25:52.894/26点
  2. セルジオ・ペレス(レッドブル)44周/+17.841s/18点
  3. カルロス・サインツ(フェラーリ)44周/+26.886s/15点
  4. ジョージ・ラッセル(メルセデス)44周/+29.140s/12点
  5. フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)44周/+73.256s/10点
  6. シャルル・ルクレール(フェラーリ)44周/+74.936s/8点
  7. エステバン・オコン(アルピーヌ)44周/+75.640s/6点
  8. セバスチャン・ベッテル(アストンマーチン)44周/+78.107s/4点
  9. ピエール・ガスリー(アルファタウリ)44周/+92.181s/2点
  10. アレックス・アルボン(ウィリアムズ)44周/+101.900s/1点
  11. ランス・ストロール(アストンマーチン)44周/+103.078s/0点
  12. ランド・ノリス(マクラーレン)44周/+104.739s/0点
  13. 角田裕毅(アルファタウリ)44周/+105.217s/0点
  14. 周冠宇(アルファロメオ)44周/+106.252s/0点
  15. ダニエル・リカルド(マクラーレン)44周/+107.163s/0点
  16. ケビン・マグヌッセン(ハース)43周/+1 lap/0点
  17. ミック・シューマッハ(ハース)43周/+1 lap/0点
  18. ニコラス・ラティフィ(ウィリアムズ)43周/+1 lap/0点
  • リタイア(NC)
    • バルテリ・ボッタス(アルファロメオ)1周/DNF/0点
    • ルイス・ハミルトン(メルセデス)0周/DNF/0点

ルクレールに続く不運、フェルスタッペンの捨てバイザーがマシントラブル誘発か

今回6位となったルクレール。ライバル・フェルスタッペンの後ろ15番手スタートとなっていたが、これが不運につながった。1周目のハミルトンとアロンソの接触によりグラベル(減速用の砂利)のホコリがコース上に舞い上がり、そのホコリを浴びたフェルスタッペンが捨てバイザー(ティアオフシールド)を剥がして投棄した。英専門メディア『Autosport』の報道によると、フェアーリのチーフ、マッティア・ビノットは、これが後続のルクレール車の右前輪ブレーキダクトに詰まった可能性があるとした。

ルクレール車は3周目にピットインし、バイザーと思われる異物を取り除いたが、この時点で異物によるオーバーヒートで速度計測センサーが故障していたという。ルクレールは一旦は5位でレースを終えたはずだったが、ファステストラップ狙いで残り2周でピットインした際、80km/h制限規定を1km/hオーバーしていたことが判明。ペナルティで5秒加算され、アロンソが5位繰り上げ、ルクレールは6位に降格することになった。ビノットの発言前の時点では、ルクレールが自身の(焦った末の)ミスだと述べていた。

もっとも、意図的にルクレール車にめがけて投棄することは難しく、ほかのドライバーも投棄していたことからフェルスタッペンに非があると断定することはできないが、結果として物議を醸すことになった。

捨てバイザーについては、かねてから問題となっており、使用規制すべきではないかという議論がある。

フェルスタッペンとルクレールは98点差に拡大

ベルギーGP決勝終了後のドライバーズランキングは、1位のフェルスタッペンが284点、ペレスが191点で、186点のルクレールを抜き2位に浮上した。フェルスタッペンとルクレールの差は98点となり、後半戦も独走態勢を崩すことはなかった。4位には171点のサインツが返り咲き、ラッセル(170点)が5位に後退。リタイヤのハミルトンは変わらず146点で6位となった。角田は16位(11点)だった。

コンストラクターズランキングは、1-2フィニッシュのレッドブルが44点追加の475点。12点追加だけのメルセデスは316点・3位に留まり、2位フェラーリ(357点)との点差がやや広がった。

次戦は連戦でオランダGP

次戦の第15戦オランダGPは、ザントフォールト・サーキットで、日本時間9月2日(金)21:00からのFP1で開幕する。予選は同3日(土)23:00、決勝は同4日(日)22:00スタートとなる。

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神宮泰暁 Yasuaki Shingu

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日本編集部所属。ボクシング・格闘技担当編集者。